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クラウド導入事例

スタンレー電気株式会社

仮想ホスティングサービス「Power Cloud i」(現:NI+C Cloud Power)の採用によりTCOの削減、運用効率化、災害時のBCP(事業継続性)対策の実現

取材日:2010年

導入背景

  • 増え続けるサーバー、ストレージの集約
  • 運用管理の効率化とITコストの削減
  • 災害時等における事業継続対策
  • システムのアウトソース

徹底した業務効率の追求によりコスト削減、品質向上を図る

自動車用照明製品や電子機器製品の製造・販売を行うスタンレー電気株式会社(以下、スタンレー電気)の生産体制は「お客様が求める製品を必要なときに必要なだけ生産する体制」を理想とし、全社を挙げて独自の生産革新活動「SNAP(Stanley New Approach for higher Productivity)」を実践している。徹底してムダを省くことでリードタイムの短縮、コスト削減、品質向上、納期遵守が図られており、この活動は生産現場だけではなく、管理・間接部門においても徹底した業務効率が追求されている。インテグレーテッド・システム・ソリューション部でチームマネージャーを務める松本氏は「システム部門でもサーバー台数の抑制や運用効率の改善、トータル・コストの削減は常に大きな命題」と語り、サーバーの集約や、災害対策などの課題への対応としてクラウドサービスの活用も検討していた。そして、本社社屋建て替えのタイミングとも重なったことから、計画は一気に実行に移されることになった。

スタンレー株式会社
コーポレートマネジメントセンター
インテグレーテッド・システム・ソリューション部
チームマネージャー
松本 健治 氏

サーバー集約と、クラウド化計画がスタート

「Lotus Notes(以下、Notes)のバージョンアップをきっかけとして、それまでのx86系のサーバーから、より安定性の高いIBM i (旧称 i5/OS®)を搭載したPower Systems™への移行を順次進めていたが、今回はクラウドサービス活用により、サーバー集約に必要な資源を確保しつつ、コスト削減を目指した。

また、もう一方の目的である災害対策については、自社内のコンピューター・ルームに施す対策には限界があり、より安全性に優れたデータセンターへの移設が得策であると判断しました」と松本氏は今回の計画を語る。こうしてスタンレー電気では、本社内および全国の拠点に設置されたNotesおよびファイルサーバーの集約とクラウド化がスタートした。

選定理由

  • Power Systems(IBM i)上でのNotes稼働実績
  • 最新データセンター・サービスの提供
  • リース資産のサービス化転用
  • 豊富なクラウド・サービスメニュー
  • 所有から「必要なときに必要なだけ」のサービス利用へ

 

システム・ベンダー数社の提案を比較検討した結果「Power Systems(IBM i)上でのNotes稼働実績が豊富なことと、データセンター・サービスが充実していることからNI+Cをパートナーとして選びました」と語る松本氏だが、実はもうひとつ大きな選定理由があった。それは既存ハードウェアのリース資源をNI+Cに移譲した上で、コンピューター・リソースとインフラをサービスとして提供するという提案だ。

「いずれは自社で資産を持つのではなく、サービス利用に切り替えていきたいと考えていました。また災害対策や運用効率の面からも我々のニーズにピッタリの提案でした」と選定理由を語る。仮想ホスティングサービス「Power Cloud i」の採用により「必要なときに必要なだけ」というスタンレー電気の生産体制とも合致したシステム運用が可能となった。

  • キャパシティーに応じたリソース提供
  • オンプレミスとクラウド環境とのシームレスな結合
  • 必要なキャパシティーもサービスとしてクラウド化に取り組む

 

スタンレー電気は2010年1月より本社内のサーバーから集約を始めていたが、サーバーの集約を進めるにあたり、都度キャパシティーの増強が必要であった。しかし、その増強分も自社の投資ではなく、NI+Cのサービスを利用することでコストを抑えつつ必要な資源を確保した。2010年8月にオンプレミスのサーバー機器をNI+Cのデータセンターへ移すことで、クラウドサービスと融合し、最適化されたインフラサービスをユーザーへ提供する環境が整った。

また、スタンレー電気ではサーバー集約と並行し、セキュリティー強化に向けたシンクライアント化も進めていたため、ネットワークを強化する必要もあった。そこで帯域圧縮装置も導入し、更にクラウド型ネットワークサービスを採用することで、必要な帯域を確保するとともに、ユーザー・パフォーマンスが落ちないよう万全の対策が取られた。

  • キャパシティーの増強とコスト削減の両立
  • 管理工数の低減と運用効率の改善
  • データーセンター活用による災害リスクの低減
  • IT資産のオフバランス化

 

コスト削減、管理工数の低減、災害対策を高いレベルで実現

スタンレー電気では、今回の仮想ホスティングサービス「Power Cloud i」導入への期待値として、 自社運用と比較しての“トータル・コスト削減”、“管理工数の低減“、”災害対策“を挙げていたが、 「そのいずれにおいても満足できる結果です」と、インテグレーテッド・システム・ソリューション部で 係長を務める千足氏は評価する。

また、「サーバーを集約すると、どうしてもサーバー1台あたりの重要度が増し、その分リスクも増えてしまうのではないかと思ったが、システムのベースをより信頼性の高いPower Systems(IBM i)に変えたことでその心配もなくなりました」と語る。さらに千足氏は「Notes、ファイルサーバーという全社員が利用するシステムの移行でしたが、クレームはほとんどありませんでした。プロジェクトにおけるリスクの洗い出しを実施し、その低減を図るために段階的にプロジェクトを進めつつ、事前検証や実行フェーズに万全な体制を取る等、リスクコントロールが十分できた結果だと思います」とNI+Cのプロジェクトサポート体制を振り返る。

スタンレー株式会社
コーポレートマネジメントセンター
インテグレーテッド・システム・ソリューション部
係長 千足 直子 氏

ユーザーにクラウド化を気付かせない、スムーズな移行

「設計などの特殊な端末を除き、これまで約1,500台の端末をシンクライアント化したが、今回システムのクラウド化自体に気付いていない社員が大半ではないでしょうか」と松本氏は話す。スタンレー電気はシンクライアントを採用してセキュリティーだけでなく、“デスクトップ仮想化“を進めることでシステム柔軟性を得たといえる。また千足氏は、「ITのトータル・コスト削減、運用効率の改善とともに、数年先の計画であった災害対策についても、本来ならコスト増になり、費用対効果も出にくいものですが、運用を優れた設備環境のNI+Cデータセンターからのサービス提供に切り替えることで今回実現できました」と語る。今回のNotes、ファイルサーバーの集約・クラウド化の成功を受け、スタンレー電気では基幹システムのデータベースサービスをクラウド環境へ移行する次のステップに着手した。

今後の展望

  • 基幹システムのクラウド化
  • グローバルIT戦略

ますますグローバルを意識したIT戦略が求められている

今回のNotes、ファイルサーバー集約・クラウド化は、国内拠点およびグループ企業が対象であったが、今後の展開について松本氏は「Notes、ファイルサーバーなどの情報系システムに限らず、いずれは基幹系システムもクラウドサービスによる最適化を検討したいと思います。またスタンレー電気では、海外に展開している生産や販売の拠点を5つの局に分け、グローバル・マトリクス経営を進めています。今後は、そうした海外拠点のシステム運用を集約し、最適化を検討していく方針です。IT戦略もますますグローバルへの意識が求められています」と今後への意欲を語る。生産革新活動「SNAP」により、徹底した「ムダ」の削減に取り組んでいるスタンレー電気にとって、IT資源を「所有から利用」へと移行し、「必要なときに必要なだけ」活用する体制づくりは、きわめて自然な流れであり、今後その流れはますます大きなものとなっていくことであろう。

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