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マーケティング導入事例

株式会社ポーラ

ポーラが「OMO」実現のために構築した新しいマーケティングシステムとは オンラインとオフラインのあらゆる顧客接点を組み合わせ、一人一人の顧客に優れた体験を提供するにはどうすればよいのか。 複数の接点ごとに分断された顧客データの一元管理を実現した、化粧品会社ポーラの事例を基に探る。

取材日:2022年4月(転載元:TechTargetジャパン)

オンラインとオフラインの垣根を越えて

オンラインとオフラインのあらゆる顧客接点を組み合わせ、一人一人の顧客に優れた体験を提供するにはどうすればよいのか。複数の接点ごとに分断された顧客データの一元管理を実現し、その後の展望について語っていただきました。

OMOの実現に向けた仕組み作りに着手

ビューティーディレクター(BD)という専属の担当者が顧客の自宅を訪問し、カウンセリングを通じて一人一人に最適な美容を提案するカウンセリング販売を強みとして、事業を成長させてきた。近年はエステティックサービスを提供することを通して、店舗販売にも積極的に取り組む。その拠点となる「ポーラ ザ ビューティー」は、2021年12月末時点で全国約590店舗にまで拡大している。一方で百貨店の店頭販売やEC事業にも取り組んでおり、いずれも有力な販売チャネルとして育った。
ポーラの課題は、これらの複数のチャネルの連携だ。顧客は企業が想定するように、常にいつもの店舗で商品を購入するとは限らない。仕事帰りにふらっと立ち寄った百貨店で購入することもあれば、夜中に思い立ってECで購入することもある。本来は一人一人の顧客がどのチャネルを利用しても、同一の顧客と見なして、一貫した顧客体験を提供しなければならない。既に店舗で購入済みの製品をメールマガジンで薦められたり、これまでの利用歴を顧みずに新規来店者としてカウンセリングされたりすれば、顧客は快適な体験を得られない。
この状況を解決するには、一人の顧客をデータで多面的に把握できる仕組みが必要だ。オンラインとオフラインの施策を組み合わせ、顧客体験を向上させるOMO(Online Merges with Offline)の仕組み作りに取り組むポーラの蓮見史弥氏(ブランドマーケティング部 CRMチーム)は、「ばらばらのシステムごとに顧客データを管理する状態を脱し、顧客データを一元管理して分析するための仕組みを構築しなければいけないと考えました」と語る。「『One POLA』としてお客さまに向き合いたい」。その気持ちが、ポーラが顧客データ統合システムの整備に挑戦する動機になった。

顧客データの一元管理に向け「Treasure Data CDP」を導入

顧客データの分断という課題を解決するために、2019年にポーラが導入したのがトレジャーデータのCDP(カスタマーデータプラットフォーム)製品「Treasure Data CDP」だ。CDPは企業内のさまざまな部門が保有する大量の顧客データを集約して、顧客体験価値向上を実現するためのデータ統合・利活用基盤として機能する。
蓮見氏はTreasure Data CDPについて、他のシステムとの連携が容易な点と、ノンプログラミングで使える点を高く評価している。
Treasure Data CDPはユーザーがさまざまなサービスやシステムとの連携ができるようにするために、複数のコネクターを用意している。顧客データ統合システムを構築した後からでも、企業が顧客データを活用した新たな取り組みに着手したときに、比較的容易にシステムに機能を追加できる。そのため初期構築が成功すれば、その後は追加開発を内製してマーケティング施策を機動的に実施する仕組みが整う。
スピーディーな施策の展開には、分かりやすいUI(ユーザーインタフェース)も重要だ。データベース言語の「SQL」を使いデータ分析ができる人材はどの企業にとっても貴重な存在で、人材不足が課題となっている。Treasure Data CDPを使えば、SQLのスキルがない
マーケターでもデータ活用を容易にするための機能が備わっている。ポーラでマーケティングや顧客コミュニケーション施策の企画、実行を担当する那須智之氏(ブランドマーケティング部 CRMチーム)は「一度使い方を学習すれば、特別なスキルがなくても、セグメントの抽出ができます」と語る。

NI+CがCDPの構築を支援

ポーラのTreasure Data CDP導入と顧客データ統合システムの初期構築を支援したのが日本情報通信(以下、NI+C)だ。同社はNTTと日本IBMの出資でできたシステムインテグレーターで、データ統合は注力分野の一つだ。ユーザー企業への製品提案から導入、運用までを包括的にサポートする実績を持つため、トレジャーデータから正式なパートナー認定を受けている。NI+Cは、ポーラ社内のオンプレミスの自社システム内の店舗販売データやEC販売データ、他ベンダーのSaaS(Software as a Service)で取得したWeb行動データなどをTreasure Data CDPに集約するプロジェクトを担当した。

顧客データ統合システムの導入でマーケティングに生まれた変化とは

顧客データ統合システムを構築した結果、マーケティング施策の実施スピードは飛躍的に向上した。例えば以前は手作業が多かったメール配信先リストの作成を自動化できるようになった。煩雑で時間のかかる作業負荷を軽減させることで、マーケターは本来の業務である企画の中身を磨くことに注力できるようになる。
既にメールの文面には変化が現れている。具体的には、エステティックサービスの回数券を購入している顧客に対し、回数に応じた文面で来店を促すといった試みが可能になった。顧客データを集約し精度の高い顧客データが得られるようになった結果、実施できるようになったマーケティング施策は他にも複数ある。

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