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クラウド導入事例

芙蓉オートリース株式会社

~クラウドシフトでハードウェアの資産管理業務を軽減。コア業務に注力し更なるAWSの活用へ~

取材日:2024年2月

20台を超えるサーバーを仮想化し、5分の1以下に集約。
次の目標となる全システムクラウド化に向けた5年プロジェクトを開始

芙蓉オートリース株式会社(以下、芙蓉オートリース)は、約6年をかけたサーバー仮想化プロジェクトを完了。 次の目標として、クラ ウド化へと踏み出した。 第1弾は、 DominoのAWS移行だ。 日本情報通信(以下、NI+C)はAWSの豊富なノウハウでプロジェク トをサポート。すでにAWS環境の構築を終え、アプリケーション開発フェーズが開始されている。

サーバー仮想化を完了。
次は全システムのクラウド化へ

芙蓉オートリース株式会社
IT・システム部 次長
横尾 陽一氏

芙蓉オートリースは芙蓉リースグループのオートリース事業会社として 1987年に設立された企業。 自動車のリースおよび整備・保守サービス などを手掛け、業界に先駆けてEVの専任セクションを設置するなど、自 動車にかかわる社会環境の変化に先回りして対応する社風で知られる。IoTデバイスを含めたソリューションとして、顧客ニーズに最適化した提案力も強みだ。

同社はITインフラも時代に合わせて進化させている。 現在、同社のITイ ンフラ領域を主管するIT・システム部 次長 横尾 陽一氏は、2002年の入社。以来、サーバー/ネットワーク関連を中心に、さまざまなプロジェ クトにかかわってきた。

横尾氏は、「入社した当時は一般的なオンプレミスシステムでしたが、2017年ごろからサーバーの仮想化に取り組み始めました。 NI+Cさんと は入社以来ずっとお付き合いしていて、そのプロジェクトもNI+Cさんの 提案を受けてスタートしたものです」と話す。

サーバー仮想化プロジェクトは、社内にあるすべてのサーバーを仮想 環境に集約するというスケールで実行され、約6年をかけて段階的に行われた。最終的には20台以上のサーバーを4台の物理サーバーに集 約し、ファイルサーバーやバックアップを除くすべてのシステムを仮想化することができた。

プロジェクトにおける最大の成果は、 若干のコストアップを補って余りある故障率の低下と管理機能の向上だ。ハードウェア関連の業務負荷が大きく下がったため、チームのサービス範囲を広げることができた。

実は、サーバー仮想化プロジェクトは先を見た提案だった。まずサーバーを仮想化させ、次のクラウド化を構想したものだったのだ。 横尾氏 は、「2017年当時、顧客データを社外に出すことに抵抗感が残ってお り、さすがに時期尚早でした。ただ、将来はクラウドがスタンダードになるだろうなという感触はあり、実際にいまとなっては“まだクラウド使っ てないの?”という意見の方が支配的です」と話す。「NI+Cさんも私たちも、提案時のことを覚えていて、いつかはクラウドに移行させようと考えてきました」。

2023年、いよいよ機は熱した。 NI+Cより提案された 「AWS Direct Connect」でのAWSへの専用ネットワーク接続を利用することで、極めてセキュアに運用できる環境が整えられた。 NI+CもAWSプロジェクトを重ねて豊富な知見を得ている。そして、おあつらえ向きのニーズが顕在化した。物理サーバー1台の60%ほどを使用するシステムをアップグレードする必要に迫られたのだ。

各分野のスペシャリストが
チームでプロジェクトを進めてくれる

アップグレード対象は、 Dominoだ。当時運用していたバージョンのサポート期限が2024年6月に切れる。 芙蓉オートリースはDomino を長く活用し、その歴史の中で必要なプロセスを取り込み、業務に不可欠な存在へと育っていた。 他のソリューションへの切り替えも検討したが、一旦、Dominoをバージョンアップし、保証期間中に再検討することとした。このため今後のDominoについては柔軟なシステム運用が必須とされていた。

そうなると、2つの選択肢が残る。 仮想環境内でのバージョンアップと、AWSを使ったクラウド化だ。そして、4台の仮想サーバーに十分なキャパシティは残っていない。 前者を選択すると、導入およびテストと並行 運用のために5台目のサーバーを新たに購入する必要があった。 仮に5年リースを組むとすると、 クラウド化はそれだけ遅れることになる。

横尾氏は、「ネットワークコストが下がったことでAWS Direct Connectの選択肢を取れるようになりました。とはいえ、従量課金のシ ステムは私たちにとってほぼ初めてです。 NI+Cさんに協力してもらっ てトータルなコストを試算し、経営の理解を得ることができました」と話す。「円安が進む中で試算していたので何度も金額を変更すること になりましたが、 仮想サーバーを1台追加するコストと比較して、納得してもらえる範囲に収められたのではないかと考えています」。

クラウド化により、機器の故障を気にする必要はなくなり、運用に伴う業務負担はさらに減ることを期待できる。 プロジェクトは2023年秋に開始。環境のセットアップからスタートし、2024年2月末現在、AWSの環境構築は完了している。

横尾氏は、「AWSは初めてで手探り状態でしたが、 NI+Cさんのサポートのおかげで私たちの理解も進み、スムーズに進めることができまし た。話をしていて込み入った部分になるとスムーズに合いの手を入れ てくれるイメージ。スペシャリストにとってはつまらない質問をいくつもしたかもしれませんが、いつもわかりやすく回答してくれて助かりま した」と話す。

3月よりDominoの最新バージョンを設定し、構築とデータ移行を実施。5月のゴールデンウィーク明けから並行運用を開始する予定で、6月には完全な切り替えとなる。
「DominoもNI+Cさんが担当してくれます。 各部門のスペシャリストがうまく引き継いでプロジェクトを進めてくれる点もNI+Cさんの良いと ころで、信頼してお任せすることができています」(横尾氏)

5年以内のクラウド化が目標。
将来はマルチクラウドも検討へ

今後は、現在運用している仮想環境を順次クラウドに移行する。仮想サーバーのリースアップと足並みをそろえて段階的に移行する計画で、5年以内の完全なクラウド化を目指す。

現時点でクラウド化の課題は大きく2つある。まずは、バックアップ環境のAWSへの移行だ。物理的なテープのコストはAWSを利用するより安価で、コスト面では現状を維持するメリットはある。一方、現状の体制を維持する場合、運用に人手がかかるためトータルなコストを考えると移行した方が低コストになることも期待できる。

隔地保管はAWSのメリットが大きい。物理的なサーバーは日本にも海外にもあり、バックアップの内容に合わせて自在に使い分けることができる。たとえば重要なデータは海外のデータセンターに分散させて3か所にバックアップしたり、重要性の低いデータの保管期限を短縮してストレージコストを圧縮したりする運用も可能だ。これらのメリット/デメリットを十分に検討した上で、バックアップ環境の方向性を定めていく。

もうひとつは、ファイルサーバーの移行だ。ファイルサーバーは物理サーバーで構築されているが、AWSにそのまま移行するとコストが割高になると想定されている。

横尾氏は、「実際のところ、不要なファイルがかなり多いのではないかと見ています。引き継ぎ資料などで、“一旦は置いておく削除できない”ファイルで、消せないけれど使わないものです。こうしたファイルを保存しているだけでコストがかかっているという意識を現場のユーザーに持ってもらうことも必要になるでしょう。そのためにも、重複ファイルのアラート機能は必要になりそうです」と話す。「ファイルには機密性の高い情報も含まれますから、ファイルサーバーはセキュリティ面を強く意識して選定する必要があります。先の話にはなりますが、NI+Cさんにもいくつか提案してもらって、さまざまなソリューションの中から最適解を得たいと考えています」。

ファイルサーバーの課題への向き合い方と同様に、AWSを第一の選択肢とはするものの、Oracle Cloud InfrastructureやGoogle CloudPlatform、Microsoft Azureなどマルチクラウドの利用やOracleとのライセンスコストを考慮したハウジング環境とのハイブリッド環境での展開も視野に入っている。DominoのバージョンアップとAWS移行を成功させ、クラウド化の第1弾が完了すれば、そこで得た経験を生かすことができそうだ。

横尾氏は、「ソリューションやシステムごとに最適なクラウドプラットフォームを見極め、私たちの運用にかかる手間とコスト、システムのパフォーマンスをトータルに検討して可能性を広げていきたいと考えています。NI+Cさんには、伴走して常にアドバイスしてもらうことを期待しています」と話してくれた。



<担当より>

今回のプロジェクトは、仮想サーバーを1台減らしてコストダウンできるタイミングでシステムの更改時期が来るという絶好のタイミングでスタートさせたものです。長く温めてきた構想でしたから、感慨深いものがあります。

AWS環境の構築は、新規のセットアップなのでやったことはシンプルです。とはいえ、AWSに特有の作法があり、横尾様と担当の方々に重点的に説明させていただいたのはその部分。芙蓉オートリース様とは長いお付き合いで、みなさん基本的なスキルが高く、リテラシーを備えていますので、質問のレベルが高く、私たちもしっかり対応するように心がけました。

今後は、段階的に全システムを移行させることになります。全体最適と個別最適のバランスを取りながらクラウド化を進めていくことになりますが、私たちとしてもお客様にとって何が最適なのかを十分に検討し、ニーズを先回りして理解した上でサポートしていきたいと考えています。

日本情報通信株式会社
クラウド事業本部
ハイブリッドクラウド部
第五グループ グループ長
西戸 晋太郎

日本情報通信株式会社
クラウド事業本部
ハイブリッドクラウド部
第五グループ 主査
原 文崇

会社概要

芙蓉オートリース株式会社

1987年1月に芙蓉総合リース株式会社の自動車営業部が分離独立して設立。
芙蓉リースグループの一員として自動車のリース事業のみならず EVのインフラ設備のリースや各種自動車の給油カード ETCカー ド・IoT関連機器の提供、管理業務受託サービス、損害保険代理店業務など、モビリティに関する幅広い事業をしている。
2022年度からスタートした芙蓉リースグループの中期経営計画 「Fuyo Shared Value2026」において、CSV (Creating Shared Value 2026: 共有価値の創造)の実践を通じた社会課題の解決と 経済価値の同時実現により、企業グループとしての持続的な成長 を目指している。

本 社:〒102-0083 東京都千代田区麹町5丁目1番地1 住友不動産麹町ガーデンタワー21階

設 立:1987年(昭和62年)1月

事業内容:
・各種自動車およびEVインフラ設備のリース・割賦・売買
・各種自動車の整備・修理・保守サービス
・各種自動車の給油カード・ETCカード、 IoT関連機器などの取り扱い
・各種自動車の管理業務受託サービス
・損害保険代理業

資本金:2億4,000万円

社員数:165人

URL:https://www.fuyoauto.co.jp/

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