
株式会社千葉銀行
自分たちの手で最高の顧客体験を創造する施策を実行、内製化を可能にする 新たなデータ基盤を稼働
分析・マーケティング基盤構築で
新たな顧客体験へ
株式会社千葉銀行(以下、千葉銀行)は、「最高の顧客体験の創造」を目標にAI活用やDX施策を推進しています。その中で、「One to Oneマーケティング」の深化が大きな役割を担うと期待されています。同行は、その実現のために分析・マーケティング基盤を全面刷新。NTTインテグレーション株式会社(旧:日本情報通信株式会社、以下、NI+C)の協力で導入した「Treasure Data CDP」を活用し、新たな顧客体験を届けようとしています。

DXとAIに積極的に取り組む
千葉銀行は、千葉県を基盤とする地方銀行だ。県内シェアは圧倒的で、地方銀行トップクラスの資産規模および収益力を誇る。DX推進に積極的な金融機関として知られ、全行的なAI活用と内製化への取り組みを加速。営業力底上げに向け、営業担当者のロールプレイングの相手としてAIを活用するなど、ユニークな取り組みも行っています。
デジタル戦略部 マーケティング戦略グループ 調査役 清水 康裕氏は、「弊行では、デジタル戦略部にAIソリューション室を設置しています。銀行全体として注力するAI活用分野を決めていて、その中で“お客さまとのデジタル接点の高度化“を担うことも目的の一つです。現在、7人の専従メンバーが活動しています」と話します。
AI活用に取り組むにあたっては、AIに与えるデータの品質と量がカギになります。金融機関であり、データ品質は最高精度で、長期にわたる取引履歴もシステムに保存されていながら、データは勘定系と複数のオンプレミスシステム、一部のクラウドシステムに分散しており、One to Oneマーケティングを加速するために使いたいデータを集約し、自在に使える環境がありませんでした。
実際に、130万人のユーザーが親しんでいる「ちばぎんアプリ」は個人顧客にとって体験のコアになる部分です。“必要な情報がすぐ見つかり、手続きがトントン拍子に進む”ことを目指してリニューアルしたばかりのWebサイトも好評です。これらの顧客接点から得られるログデータは、AI活用とOne to Oneマーケティングのどちらにとっても、貴重な一次情報になります。
デジタル戦略部 マーケティング戦略グループ 調査役 榎本 康彦氏は、「オンプレミスの環境に、データベースマーケティング用の仕組みがありましたが、データ量が多すぎてなかなか結果が返ってこなかったのです。特に「ちばぎんアプリ」は重要なチャネルの1つで、お客さまの行動や興味を把握するには重要な情報ですが、ログ単位で保管されているため膨大なレコード数で利用するには多くの時間を要していました。」と明かしてくれました。
最高の顧客体験を創造するために、One to Oneマーケティング高度化を目指す
こうした状況を改善し「最高の顧客体験の創造」を目指すにあたって、同行は全行から必要なデータを集約し、分析できる新たなシステム基盤が必要だと判断。複数のソリューションを比較・検討することになりました。
市場にあるさまざまなソリューションと、その導入を支援してくれるパートナー候補から話を聞く中で、2つのソリューションがクローズアップされることになります。それが、全行のデータを集約し、高品質な状態で保持するデータウェアハウスになるSnowflakeと、「顧客を理解するためのプラットフォーム」として機能し、さらにデータを使った施策実行もできるTreasure Data CDPでした。

内製化を目指す現場を徹底的にサポート
この2つのソリューションで日鉄ソリューションズ株式会社と行った共同提案は好意的に受け止められ、採用いただきました。2024年5月にプロジェクトが始動し、わずか10か月後の2025年3月に稼働を開始。大規模なシステム開発プロジェクトを同時並行で進めながらも、スケジュール通りに稼働し、現在まで大きなトラブルなく運用を継続しています。
榎本氏は、「当初から、私たち自身で運用・開発の内製化を目指してきました。プロジェクト開始時からシステム構築のスペシャリストはいませんでしたが、だからこそ扱いやすいSaaSを採用し、実際に画面を見て運用のイメージを持ちながらプロジェクトを進められたことが大きかったです」と述べます。「NI+Cさんは、内製化したいという私たちの意図を汲んで、早い段階から適切なトレーニングを提供してくれました。プロジェクトで忙しい中、資料作りも大変だったでしょうが、本当に助かりました」。
同行には「DXトレーニー」制度があり、DXを勉強したい行員を募っていました。選ばれた行員は10人を目安に半年間、取引先企業に“武者修行”として派遣されています。このプロジェクトに際してNI+Cは、千葉銀行からひとりの担当者を受け入れました。NI+Cは出向してきたメンバーにTreasure Data CDPの基礎から応用、そしてNI+Cのノウハウについて教育した上で、出向の後半にこのプロジェクトへ配属。NI+C側のメンバーとして、プロジェクトの戦力として活躍してもらいました。現在、千葉銀行に戻った彼は、マーケティング戦略グループのメンバーとして内製化の主要な役割を担っています。
データ基盤のさらなる進化に向け、AI Agent Foundryの採用を検討
新システムでは、勘定系システムが持つ元帳や明細などすべてのデータをSnowflakeに集約します。データ分析やマーケティング活動に必要になるデータの加工はSnowflake側で行い、ここでデータの品質を担保します。このデータをTreasure Data CDPに引き渡し、アプリやメールなどのさまざまなチャネルへ配信するハブとして機能させる運用にしました。
「最大の効果は、やりたい施策をすばやく実装できるようになったこと。そして自動化です。自動化に際しては、効果検証のプロセスを回しながらブラッシュアップしていくことが重要ですが、これまでそこにかなりの時間を要していました。この部分の省力化によって、マーケターが本来の活動に多くの時間を割けるようになったことが大きいですね」(榎本氏)

榎本 康彦氏
NI+Cは、「Customer Journey Orchestration」のシナリオ構築や効果検証の手順をレクチャーした結果、エンドユーザは自らノンコーディングでシナリオ設定から効果検証までを実現することができました。口座数は個人で約400万、法人で約30万。アプリの累計口座登録者数は130万強で、アプリのログデータも含まれる巨大なデータベースです。マーケティング戦略グループのメンバーは、それを使って最高の顧客体験を提供するために、日々奮闘しています。
現在、自動化シナリオは19本。取引開始から銀行とより深く付き合ってもらうための、いわゆるオンボーディングプロセスをはじめ、ちばぎんアプリのガイド、デビットカードの案内などです。これまで担当者がデータを抽出してリスト化し、メール配信設定を行うなど手動プロセスが含まれていた作業は、Treasure Data CDPが自動検知し、最適なタイミングで自動的に案内を送るプロセスに変更されました。
システムの稼働後、これまで半年をかけて、NI+Cのサポートを受けながら自ら学び、シナリオを実装することに注力してきました。
Treasure Data CDPの機能では、生成AIを活用できるAI Agent Foundryに注目しています。従来のデータ抽出では、SQLを書く必要があり、現在も管理画面を操作する必要がありますが、この機能を使うと自然言語による質問や指示で、AIがデータを検索・抽出し、結果を返してくれるようになります。

清水 康裕氏
たとえば、ユーザーがチャット感覚で「定期預金を持っていない人のリストを出して」と指示すると、AIがデータベース内の膨大な項目から「定期預金フラグ」に該当するカラムを探し出し、条件に合う顧客データを抽出してくれます。つまり、データ抽出に必要な検索条件やテーブル名/カラム名を知らないユーザーも、やりたいことがあればAIに指示するだけでよくなるということです。マーケターにとっては、浮かんだアイデアを即座にリアルなデータで検証できるようになるため、仮説検証サイクルのさらなる高速化が期待できます。NI+Cでは、PoCを実施するなどで、こうした新機能の実装もサポートしていきます。
清水氏は、「アプリに実装したコミュニケーション機能でやり取りした情報や、設定データなども分析に取り込むことを考えています。これにより、預金残高や入出金履歴だけでは見えてこない顧客の興味や関心をより深くつかみ、一人ひとりに最適な提案を行うOne to Oneマーケティングをさらに深化させていきます」と話してくれました。
<NI+C プロジェクト担当者より>

データ&アナリティクス事業本部カスタマーエクスペリエンス部第三グループ 二村 辰一
AI Agent Foundryは、専門知識がなくてもだれもがデータを直感的に扱えるようにする技術です。まだ世に出たばかりの機能だからこそ、千葉銀行様と一緒にその可能性を形にしたいと考えています。「何を実現したいか」という目的の整理からPoCまで伴走し、現場の方々がデータを自由に使いこなせるよう、お客様の挑戦を全力でサポートしていきます。

データ&アナリティクス事業本部カスタマーエクスペリエンス部第二グループ 中村 俊祐
無事リリースを迎えましたが、私たちの本当の役割はこれから試されると考えています。千葉銀行様が目指すOne to Oneマーケティングを実現するためには、施策のさらなる高度化や自動化が不可欠です。システムは作って終わりではありません。データ活用基盤は整いました。今後、ビジネスで目に見えるさまざまな成果が生み出されるまで、責任を持って伴走したいと考えています。
お客様情報
名 称 株式会社千葉銀行
設 立 1943年(昭和18年)3月
代 表 者 取締役頭取 米本 努
所 在 地 〒260-8720
千葉県千葉市中央区千葉港1-2
従業員数 4,271人
(2025年9月30日時点)
1943年設立の株式会社千葉銀行。千葉市に本店を置き、千葉県内の貸出金シェアは約40%、預金シェアは約28%※を占めるなど、県内トップの顧客基盤を誇るほか、地方銀行トップクラスの資産規模および収益力を有している。
また各地域トップ地銀による広域連携「TSUBASAアライアンス」に加え、武蔵野銀行との包括的な連携や、横浜銀行とのパートナーシップ、ソニー銀行との業務提携など、積極的なアライアンス戦略も強みの一つ。
※出所:金融ジャーナル、2024年3月末時点

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