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開催日:2023/03/10〜2024/03/31

「今だからこそ考えたいクラウド戦略と鍵を握るCCoEの最新動向」
仕事がさくさく進むマネージドCCoEにおける優れたパートナー選定の価値とは(2023年3月10日開催セミナー報告)

2023年3月10日(金)、当社本社「NI+C Garden」において、「今だからこそ考えたいクラウド戦略と鍵を握るCCoEの最新動向」と題しまして、セミナーを開催いたしました。

今回のセミナーでは、DXの実現に向け、本格的なクラウド活用を推進したい企業の担当者に参加いただき、クラウドテクノロジーを最大限に活かすためのアーキテクチャや運用体制など最新動向を紹介しました。

 最初にCCoEを設置し、改革を進めよう

CCoE(Cloud Center of Excellence)は、クラウド推進に特化した全社横断型の組織として、近年注目を集めています。今回のセミナーで、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 パートナーマネージャー 黒須 義一氏はCCoEについて、「クラウドトランスフォーメーションを出発点にDXを組織的に進めるスキーム」と定義しました。

黒須 義一氏

黒須氏は、「クラウド推進にあたっては、その初期にさまざまなことを固めておく必要があります。Google Cloud が推奨するマイグレーションジャーニーには、様々なポイントが記載されています。、例えば、アプリケーション開発基盤の確立、クラウド運用の設定、データプラットフォームと基盤の構築などです。

その中に重要な要素として、CCoEの設置を検討しましょう、とあります」と話します。

優れたアプリケーション開発基盤は、アプリケーションのモダナイゼーションを可能にします。運用を進化させれば、インフラのモダナイゼーションが実現します。データ基盤の整備により、最新のデータ分析やAI活用によるインサイトを期待できます。そして、CCoEは、それらのテクノロジーを活用し、組織の変革を加速していく存在になります。

「最初が肝心です。まずCCoEを導入することで、変革が進み、やりたいことを実現できます。これは日本に限った話ではありません。全世界のあらゆる組織に、優れたCCoEが存在しています。」(黒須氏)


組織の壁を打ち破る存在として

CCoEは、全社のクラウド戦略・戦術の中心として機能します。そのため、デジタルサービス利用のガイドラインを規定したり、セキュリティに代表される組織のポリシーを設計したりするなどの細かな役割も担います。「たとえば、クラウドを使っていると、ある日突然、機能がアップデートされていることもありますよね。。そうした情報を常にウォッチし、組織への影響を見定め、判断して対応することも大切な仕事です」(黒須氏)。さらに、CCoE は企業がクラウドを利用していく際に乗り越えていかなければならない様々な壁を突破していくことになります。

クラウドの推進には、さまざまな壁が立ちはだかります。既存のやり方を変えたくないという抵抗勢力は一定数存在しますし、人材不足やセキュリティへの不安、コスト効果への懸念などの障壁もあるでしょう。黒須氏は、かつて大手メーカーやメガバンクでCCoEの立ち上げやリーダーを担った経験があり、実際にさまざまな抵抗があったと明かします。

それを乗り越えられたのは、CCoEを組織し、多くの仲間の協力を得たことで、“壁が出来てしまっている原因”を1つずつひも解くことができたためです。リーダーシップと交渉力を備え、ビジネス知識が深く、テクノロジーにも詳しいスーパーマンは居ませんが、さまざまな能力を備えた多様な人材が各部門から集まることで、CCoEの体制が整ってきます。

バーチャル型でスタートし、独立型へと移行するのが理想


では、CCoEはどの部門が所管することになるのでしょう。実情を見てみると、大きく3つのパターンに分かれているようです。まずは、バーチャル型。ふだんは事業部で働いている人たちにCCoE業務を兼務してもらいます。次に、IT部門内に置かれるケース。最後に、独立組織としてのCCoEです。

黒須氏は、「2015年前半まではバーチャル型とIT部門内が多く、現在は独立型が増えている印象があります。個人的には、最初はバーチャル型組織からスタートして、徐々に独立型組織に移行するのが良いのではないかと考えています。IT部門内に閉じてしまうと、ビジネス部門のニーズを拾いきれずに活動がシュリンクしてしまう傾向が見られるためです。クラウドを実際に使ってくれる“お客様の声=ビジネス部門、ユーザー部門の声”は、大切です」と話します。

多様な人材がそろうことで、CCoEの活動は加速します。黒須氏がメガバンクに勤めていたときには、弁護士資格を持った法務担当者がCCoEのメンバーでした。その人材には、個人情報保護の観点でクラウド利用ルールを作る際などに大いに助けられたといいます。当時は、経営層との交渉力の高い人材、オンプレミスシステムに詳しい人材、人事のエキスパートなど、一見クラウドとは関係ないような人たちがCCoEの一員として活躍していました。

「立ち上げ初期は人数も限られているのでクラウドアーキテクトを求めてしまいがちですが、当初から裾野を広げて、多様な人材をスカウティングしていく可能性を見出すべきだと考えています」(黒須氏)

コミュニティへの貢献は自分のためになる

CCoE を軌道に乗せるための方策の1つとして、コミュニティは重要な要素です。黒須氏は、「本業そっちのけで楽しいことをしたい人たちが集まっている、とうがった見方をされたり、忙しいのになぜ社外の人と親しくしなければならないのか、と消極的だったりするケースもあるようですが、全く違います」と話します。「コミュニティへの参加と貢献は、自分のためになるのです」。

大手メーカー時代、黒須氏はクラウドのコミュニティに積極的に参加し、大規模イベントで登壇する機会を得ました。会社の名前を背負って人前に立つことで、その活躍を耳にした経営幹部にバックアップしてもらい、CCoE を立ち上げて会社としてのクラウド推進に踏み出すことができたといいます。

こうした経験から、黒須氏は Google Cloud でも、Jagu’e’r というコミュニティを立ち上げました。現在、500社、2000人以上が参加する大きなコミュニティへと育っていて、さらに会員数は増えています。この Jagu’e’r  には、「CCoE 研究分科会」があります。今回のセミナーで黒須氏は、この分科会で CCoE のリーダーたちに協力してもらったアンケート分析結果の一部を紹介してくれました。中でも興味深かったのは、仕事への満足度の高い CCoE のリーダーは、「公式の組織として認められている CCoE で働いている」という点です。

ハード組織かバーチャルな組織かは問いません。中期経営計画に CCoE と記載されているなど、公式に認められていることが満足度に影響を及ぼしているのです。さらに分析すると、「専任担当者の存在」、「予算がついているかどうか」も大きなファクターになっており、それらは公式な組織であることの裏返しでもあります。そして、公式でありかつ満足度の高いリーダーに率いられた CCoE は、そうでない CCoE に比べて明らかにタイムリーなクラウド利用ガイドラインの更新を実行していました。予算のついた公式組織としての CCoE は、リーダーの満足度が高く、クラウドを全社で利用する活動に積極的に取り組めていることになります。

CCoEは内製型よりマネージド型で

CCoE の運営には、内製型とマネージド型があります。黒須氏は、メガバンクで前者、大手メーカーで後者を経験しました。その経験から、マネージド型の方がプロジェクトは進みやすいと考えています。内製型では基盤設計や継続的サービス改善(CSI:Continual Service Improvement)に膨大な工数がかかり、負担が大きすぎると感じたためです。

「これらはビジネスにおいて競争力の源泉にはならない部分です。マネージド型なら、テクノロジー領域を NI+C さんのように信頼できるパートナーにアウトソースできるため、CCoE メンバーは次々とプロジェクトに着手できます」

マネージド型 CCoE のリーダーとして成果を出しているのが、続いて講演した株式会社イオンファンタジー 戦略本部 IT戦略グループ ゼネラルマネジャー 志田 弘和氏です。同社は、イオンモール内にあるアミューズメント施設運営をビジネスの中心とする企業。最近では、子どもたちとファミリーが夢中で遊びながら地球の面白さや自然の大切さを学べるインドアプレイグラウンド「ちきゅうのにわ」を東京ソラマチにオープンするなど、新業態でも注目を集めています。

志田 弘和氏

志田氏は、長いコンサルタント経験があり、同社に入社して5年目です。顔認証の勤怠システムでは、顔をカメラに映してグーで出社、チョキで退社が記録されるシステムを導入。45インチのタッチパネルモニターを全国450店舗に設置するなど、身近なところから遊び心をもってデジタルに触れてもらう機会を創出してきました。最近では、日本で初めて顔認証シングルサインオンを導入するとともにクラウドストレージの利用を本格化し、従業員を複数システムのパスワード管理やPC内データの移行作業から解放したことでも話題をさらいました。

従業員数5000人の会社ですが、IT部門はわずか10人と少数精鋭。ニーズはいたる所にあり、システム開発を内製化することは事実上不可能です。志田氏は、「基本的にアプリケーションレイヤー以下のものはパートナーに任せ、内部ではユーザー管理だけをやるよう指示しています。いわゆるフルマネージドCCoEで、プロジェクトごとに現場担当者に参加してもらいながら1人の担当者が複数プロジェクトを回すスタイルで仕事を進めています」と話します。

提案力のあるパートナーを選び、スムーズなシステム移管を達成

このスタイルには、クラウドが最適です。実際に、「データセンターをなくす」という方針を取っており、その一環として10年以上の期間運用してきたSAP BOをクラウドへ移行するプロジェクトが始まりました。採用したのは Google Cloud。長く使用してきたために複雑化したデータ構造を整理し、BigQueryに移行します。

志田氏は、「NI+Cさんと出会ったのは、Googleさんの紹介です。フルマネージドでやることになると、私たちは“要求”しか言いません。パートナーには、その要求をどう実現するか提案する能力も求めることになりますが、NI+Cさんは期待以上の仕事をしてくれました」と話します。

開発は、アジャイルで進めました。NI+Cが進め方の提案から行い、プロトタイプをまず作ってそれに対して意見を言いながらブラッシュアップしていくスタイルを取りました。プロジェクトメンバーはリアルな成果物を見ながら Google Cloud に慣れていき、SAP BOでやっていた複雑な処理をシンプルなものへと変えることもできました。現時点で、目立ったバグはありません。

志田氏は、「私たちは、すべてのシステムを疎結合な構成にして、“主要部分であっても、いつでも取り替えられる”ようにすることを目指していました。NI+Cさんはその部分を汲み取ってきれいにシステムに落とし込んでくれました。すばらしいパートナー選定ができたと自画自賛しています」と話します。「ただ、アジャイルを本気でやろうとするので、当初はとまどいました。毎朝イテレーションをするのはさすがにきついと(笑)。もう少しライトなやり方に軌道修正してもらって、ちょうどいい状態になりました」

IT部門の使命は「人を動かす仕組みを考えること」になる

当初は、SAP BOを Google Cloud + BigQueryに置き換えることがプロジェクトのスコープでしたが、NI+Cはデータ構造の最適化により、運用コストを抑えることも提案し、実行しました。稼働後にも、使用頻度の高いリクエストで運用コストの改善を見込めるものを発見し、ジョブ実行回数の最適化を提案。最も顕著な例では、月額9万円の処理をわずか210円に削減するなど、継続的にプロジェクトを支援しています。

志田氏は、「すでに、私たちはシステムを使う側からシステムに使われる側になっています。ITが人を動かす時代ですから、IT部門の使命は人を動かす仕組みを考えること。そうした仕事をやっていくにあたり、相手のことを思って、私たちと接してくれるパートナーの存在は本当に貴重です」と話してくれました。

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