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クラウド導入事例

コニカミノルタ株式会社

OSS・サーバーレスシステムによる 高度なデータ分析基盤の実現

取材日:23年10月25日

OA機器の製造・販売において日本のトップクラスメーカーである コニカミノルタ株式会社(以下、コニカミノルタ)。
製品販売からサービス提供型へのビジネスモデルへ転換する中で取り組んだ2つの施策についてご紹介いたします。

    • Step1.予兆保全の取り組み
    • Step2.データ分析基盤のフルクラウド化


Step1.予兆保全の取り組み

コニカミノルタでは、お客様の複合機の品質を保ち、お客様の業務に影響を与えるダウンタイムを回避するための保守サービスを提供しています。
従来は、保守サービスとして、カスタマーエンジニアがお客様を定期的に訪問していました。

〈 課題 〉

複合機の利用状況によらない定期メンテナンス

  • 定期訪問前の故障発生による業務影響
  • 早すぎる交換による余計なコスト発生

サービス品質が一定しない

  • 作業員の熟練度によるメンテナンス品質の差
  • 作業員の属人化

〈 調査&仮説 〉

  • 部品交換の分布は、部品が仕様値に達した時点の定期交換と故障交換に分かれていて、定期交換時期では部品がまだ使用できることが判明
  • 顧客の使用状況に合わせることで交換数を減らし、複合機の稼働時間を向上させることができると仮説

〈 解決策〉

最適な交換タイミングを得るため、顧客の使用状況を反映した予測モデルの作成と適用

  • 設置している機器のセンサー情報を収集
  • 交換に至る傾向を探索し、重要因子をピックアップ
  • 交換因子の条件から予測モデルを作成
  • 経済効果をシミュレーションし、最も経済効果の高いしきい値を採用
  • 予測モデルでの効果を検証、様々な観点から数値で評価

〈 効果 〉

顧客満足度の向上

  • ダウンタイムを削減させ、安定稼働を実現
  • 複合機のトラブルや故障を減少
  • サービス品質の均一化と向上

コスト削減

  • 早期交換を防ぎ、コストを削減
  • 交換数を減らすことで作業員の稼働工数を削減

Step2.データ分析基盤のフルクラウド化

複写機内のセンサーから集まるデータをもとに予兆保全・分析をするシステムは、コニカミノルタ社内のオンプレミス環境に構築されていましたが、データや処理にかかるジョブは年々増える一方、パフォーマンス低下をはじめとする課題が顕在化。
オンプレミス環境がEOSを迎えるタイミングを機に、クラウドへの移行の必要性が高まりました。

〈 背景 〉

内製でのデータ分析応用拡大によるナレッジ・ノウハウの蓄積を推進

拡大するデータ量と処理能力の限界

  • データ量増加に伴うシステムパフォーマンス低下
  • データ量増加に伴う蓄積領域の逼迫と、データストレージの拡張限界

システム維持コストの増大

  • 予兆保全モデル増加によるリリース作業の負荷増、煩雑化

特定製品技術への依存

  • 特定製品の技術を採用していたため、スキル育成・要員拡大が難しく、今後の内製でのデータ分析応用拡大のネックに

〈 検討 〉

クラウド化の検討・検証

  • 拡張性の確保と性能向上を図るため、データ分析基盤をクラウド化し、システム運用性・保守性の向上を図る策としてサーバーレスでの構成を検討

OSS採用の検討・検証

  • 技術者を育成しデータ分析内製化を推進するためにPython/OSSを中心とした技術の採用を検討・検証

〈 解決策 〉

OSS・サーバーレスを採用した高度データ分析基盤の実現

  • スケーラビリティとインフラ運用の負荷軽減のためのサーバレスアーキテクチャ
  • 特定ベンダに縛られないOSS(オープンソースソフトウェア)を採用
  • 処理性能向上のためデータ特性に応じたETLを使い分けた設計

〈 効果 〉

処理能力の大幅向上

  • 処理の並列化・スケールアップにより、スコアリング処理の実行時間を2/3に短縮

コスト削減

  • クラウド化による時間課金でコスト削減
  • サーバーレスアーキテクチャによりインフラ運用保守稼働を削減

競争力の向上

  • OSSの汎用技術により、社内データサイエンティストが高度な分析を内製で行えるようになり、リリースや高度化サイクルを迅速化

コニカミノルタについて

https://www.konicaminolta.com/jp-ja/index.html

コニカミノルタ株式会社(英文名称は KONICA MINOLTA, INC. )

設立:1936年(昭和11年)12月22日 [ 創業:1873年(明治6年)4月 ]


コニカミノルタ様からのコメント

本プロジェクトでは、ビジネスの成長を支え、運用コストを抑えつつシステムの効率性とスケーラビリティを向上させるため、オンプレミスシステムからクラウドへのシフトを目指しました。

現在、システム移行から1年ほど経過していますが、目標通りの効果が得られていると感じています。

これは、私たちの要望や課題に対して、深く議論を重ね、NI+Cさんの専門知識と経験に基づき、本質を捉えた解決策を提案・構築していただいた結果だと思います。
これにより、今後の成長を支える強固な基盤を築くことができましたので、さらなるお客様への付加価値提供を目指しより質の高い予兆保全によるサービス保守を実現していきたいと考えています。

今後も、一丸となってシステムの運用と改善に取り組んでいきたいと思います。


NI+C担当者コメント

OSS・サーバレスシステムへの移行( = 異なる言語への移植)では、「既存モデルと同等の予測精度を確保」するために、何度も試行錯誤を繰り返しました。また、オンプレミス から AWSクラウド環境 への移行では、処理性能の向上・日々増大するデータとコストの最適化・ DevOps の導入といった「AWSのメリットを活かすためのアーキテクチャ設計」に、多くの時間を費やしました。

一年でシステムのアーキテクチャ検討からリリースまでを実施することが前提となっていたため、スケジュールと品質の両立には正直とても苦労しましたが、無事に既存モデルの移行を完了し、現在は継続的にモデルの改善や機能追加を行っているところです。

今後はさらに新規機種へのモデル適用やモデル活用対象国の展開に対応し、より一層コニカミノルタ様のビジネスに貢献して参りたいと考えています。

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