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運用効率化導入事例

西日本電信電話株式会社(Turbonomic 導入事例)

システム運用の効率化とクラウドコスト20%削減をPoCで検証

取材日:2024年12月

西日本電信電話株式会社(以下、NTT西日本)では、顧客データプラットフォームシステムに対し、パフォーマンス管理の自動化など運用の効率化とクラウドリソースの適正化によるコスト削減を目指し、IBM Turbonomic (以下、Turbonomic)のPoC(Proof of Concept:概念実証)を実施。そこで確認できた効果を踏まえ、正式導入に至りました。

左より、西日本電信電話株式会社 高須賀将秀氏、西日本電信電話株式会社 中西優介氏、日本情報通信株式会社 下地馨


はじめに

本事例でご紹介する「顧客データプラットフォーム」は、NTT西日本の営業活動におけるカスタマサクセスを実現するためのシステムです。2020年より弊社エンタープライズ第一事業本部にてシステム運用を請け負っています。

主要機能
データ集約・蓄積機能社内外のデータを集約、データカタログとして視える化する
名寄せ機能集約したデータを、分析に適した形式に加工・集約する
データウェアハウス分析要求に迅速にデータを提供する
分析・視える化機能お客様の興味・課題を分析し、対応方針(提案内容)を提示する

お客様の課題

顧客データプラットフォームのシステム運用を行う中で、以下の2つの課題を認識しました。

クラウド費用の削減

AWS上では100台弱のサーバー・サービスが稼動し、年間のクラウドコストは大きな負担でした。

対価に見合ったクラウド活用が行われているか、余剰なシステムリソースは存在しないかといった確認は難しく、システムが導入されてから、リソースの見直しには手が付けられていませんでした。

運用の効率化

システムの安定稼動のためには、システムのパフォーマンス管理が重要となります。パフォーマンスの定期的なチェックは、弊社運用担当者の定常作業として実施されてきましたが、作業の効率化により工数・時間の削減が実現できないか、以前から検討していました。


PoCのご提案

運用チームに所属するエンタープライズ第一事業部の下地は運用課題解決のため、システム運用効率化ソリューションを担当している弊社リーディングエキスパートの森に相談。そこで ARM(Application Resource Management)製品である Turbonomic を紹介されました。

「Turbonomicであれば、AI技術で適正なシステムリソースに自動調整することができるのでコスト削減ができるのではないか、パフォーマンス管理製品との連携が可能なので運用管理の効率化が図れるのではないか」と考え、NTT西日本へPoCの実施を提案するに至りました。


導入システム概要

顧客データプラットフォームを構成するAWSに対して、Turbonomic SaaS版を導入し、以下に挙げた機能を運用業務で活用することを目的にPoCを実施しました。

・システムパフォーマンスとリソースを適切な状態に維持する、最適化アクションの自動生成
・クラウドコストの実績値と、リソース変更に伴うコスト増減の予測値の提供
・運用担当者による、のパフォーマンス管理業務に必要なデータの提供

Turbonomic SaaS版は利用の申し込み後、すぐにTurbonomicの管理画面が利用できます。利用開始に必要な作業はAWS側の連携準備だけのため、数日でTurbonomicの機能を利用できる状態となり、PoCを開始しました。

NTT西日本 Turbonomic 導入システム図

クラウドコストの低減・運用効率化をPoCで実証

PoCでは以下の4点を中心に評価し、運用効率化やITコストの適正化に寄与するかについて検証しました。

評価ポイント1:パフォーマンス管理における運用業務の効率化

従来のパフォーマンス管理業務には、AWS標準のCloudWatchサービスを用いていました。全EC2や全RDSのシステムリソースやネットワークIO・スループットを対象に、運用担当者は毎週システムリソースの不足を検出するために、グラフデータを収集し、各グラフごとに判定基準(しきい値)に達しているかを確認していました。

Turbonomicを導入することで、リソースの過不足の判定はTurbonomicが自動的に生成するリソース調整アクションを全面的に採用することが可能と判断しました。運用担当者は毎週リソース調整アクションの内容をチェックすることで、システムリソースの不足が発生している箇所を確認できるため、全てのリソースを確認する業務が省力化されると評価されました。

評価ポイント2:統合的なシステムリソースの適正化

従来のパフォーマンス管理業務は、運用担当者が定期的にデータを確認するといった対応だっため、管理はCPU・メモリ・ストレージ・ネットワークIOといった基本的なリソースのみに限定されていました。

Turbonomicでは基本的なリソースの管理が省力化されることに加え、
・EC2利用状況を加味して、Reserved Instanaceへの変更の推奨
・ストレージの負荷を加味した、ストレージ種別(Tier)の変更を推奨
・未使用のリソースの削除を推奨
といった、より広範囲にリソースの最適が自動的に行われていると評価しました。

評価ポイント3:システムリソースの変更・切り戻しの省力化

従来はシステムリソースの変更には、事前作業として変更手順の作成、手順の検証が欠かせず、1つのリソース変更を実施するための運用担当者の作業負荷が少なくありませんでした。

Turbonomicは各種システムリソースを変更する機能が備わっているため、手順の作成・検証が不要となり、運用担当者は変更対象リソースを確認し、「実行」の決定のみで済むようになると評価されました。またシステムリソースの変更を中止し切り戻す場合についても、Turbonomic がリバーシブルと提示している処理は、手動で戻すことが可能と判断できるため、切り戻し可否の調査・検証が不要となりました。

評価ポイント4:クラウドコストの削減効果とコスト予測の妥当性

利用率が低い余剰リソースを削減することで、クラウドコストの20%削減が見込めるということが確認されました。
またTurbonomicによるクラウドコストの予測値についても、AWSが提供するPricing Calcuatorとリソース単位・単価レベルで比較を実施し、Turbonomicの試算が正確であることを確認しました。システムの利用状況に合わせて随時システムリソースの増減を行う場合、Turbonomicが提示したコスト情報を利用することで、コストの事前確認作業がほぼ不要になると評価されました。


PoCから本番採用 / 今後について

いずれの評価項目も、PoC実施前に策定した基準を満たすだけの機能・効果を認めたことから、本番採用に至りました。これらのPoCは約1.5ヶ月の検証期間を含め、企画から実施・レポート報告までを約3ヶ月でまとめています。

今後は運用業務を担う中で、お客様のクラウドがより最適なリソース環境になるよう、引き続き最善の提案をしてまいります。


お客様からのメッセージ

西日本電信電話株式会社 中西優介様

Turbonomicを最大限活用した自動化・効率化について、今後も継続して取組・提案頂けることを期待しています。


担当社員コメント

エンタープライズ第一事業本部西日本事業部 担当課長 下地 馨   

従来、EC2やRDSのスケールアップには、手順検証を行いながら商用環境を変更する必要がありました。しかし、Turbonomicの高度な変更提案機能を活用することで、可逆的な変更に対し「Execute Action」ボタンを押すだけで、瞬時に変更作業を完了できることが検証されました。これにより今後の変更作業の効率向上に期待をしています。(*商用変更提案の自動更新をすることも可能ですが、今回はお客様要件に従い対応していません)
また、TurbonomicはEC2のストレージTierがIOスループットに及ぼす影響を考慮した変更提案を行うため、従来の運用では見落としがちだったリソース利用効率の最適化が可能となります。追加の稼働を割くことなく、新しい視点で利用効率を高められる点は、運用者としても非常に有益であると考えています。

データ&アナリティクス事業本部テクニカルセールス部  リーディングエキスパート 森 正臣

Turbonomic PoCを開始してから、クラウドコスト削減効果を確認するまで2週間で実施しております。PoCではクラウドコストの削減効果が提示できるため、導入時の効果(ROI)を確認することが容易です。
加えて今回のPoCでは、弊社運用メンバーによる運用作業の効率化についても、PoCの報告書で提示できたのが、お客様の製品採用にむけてご判断いただく重要なポイントとなりました。

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