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「SAP ERP 6.0」サポート終了迫る

ERP更改についていくのが大変……
負担軽減に効く開発基盤とは

ERPでアドオンを追加するとERPのアップデートのたびにアドオンの再構築が必要になる。しかし業務プロセスの標準化にも限度がある。核になるシステムには手を入れず、少ない工数でアドオンを代替する方法とは。

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ERP更改についていくのが大変…… 負担軽減に効く開発基盤とは

ERPでアドオンを追加するとERPのアップデートのたびにアドオンの再構築が必要になる。しかし業務プロセスの標準化にも限度がある。核になるシステムには手を入れず、少ない工数でアドオンを代替する方法とは。

 

※当ページの内容は、アイティメディア株式会社の許諾を得て、アイティメディア制作記事を転載しております。

ERP更改についていくのが大変…… 負担軽減に効く開発基盤とは【ITmedia掲載記事】

SAPは「SAP ERP 6.0」の標準サポートを2027年に終了する予定だ。次世代ERPの「SAP S/4HANA」に移行するに当たり課題になるのが、既存のアドオンをいかにSAP S/4HANAに対応させるかだ。ユーザー企業はそれぞれのニーズに合わせてアドオンを作るが、バージョンアップのたびにアップデートとテストが必要になるため、多くの工数とコストが継続的に発生する。

そこでSAPは、ERPの標準機能に業務を合わせる「Fit to Standard」アプローチを提唱している。アドオン開発を不要にすることで、コスト削減や導入期間の短縮につながる。だが、どうしても発生する“足りない機能”を追加するためにERP本体に手を加えるとしたら状況は改善しない。

ここで大切なのが、「Keep the Core Clean」の考え方と、独自要件や他システムとの連携をアドオンではなく周辺システムが担う「Side-by-Side」拡張のアプローチだ。核になるシステムにはできる限り手を入れずに機能を追加することで、アップデート時の負担を減らせる。

それでも、特に変更が多いGUIや外部連携の仕組みをつくる際は作業負担が発生する。これを軽減できる基盤とはどんなものか。

まるで地獄 終わりの見えないアドオン改修

アドオンで拡張を繰り返してできたSAP ERP 6.0の運用に苦労している企業も多い。バージョンアップのたびに要件の確認と開発、テストを実施しなければならない。ただでさえ長期化しやすいERP導入、移行プロジェクトがさらに長引き、想定以上の工数とコストを費やすことになる。

山口拓也(日本情報通信 エンタープライズ第二事業本部ビジネス開発部第二グループ グループ長)

「SAP ERP 6.0の内部に閉じたカスタマイズであれば、まだ良い方です」と話すのは、1985年の会社設立以来、基幹システム周辺の開発、運用やデータ分析で多くの企業を支援してきた日本情報通信の山口拓也氏(エンタープライズ第二事業本部ビジネス開発部第二グループ グループ長)だ。

仮に他システムとの連携機能をコアシステムに作り込んだ場合、連携先のインタフェースの変更に伴って何度もカスタマイズ部分の改修が必要になるという。

「内部に閉じていれば運用面で大きな問題は生じないかもしれませんが、外部連携部分も含めると運用の柔軟性が著しく低下するため苦労するでしょう。そもそも、基幹システムで頻繁に改修が発生するのは経営者や情報システム部門にとっては地獄のような苦しみではないでしょうか」

SAP ERP 6.0の標準サポートが2027年に終了するため、多くの企業がSAP S/4HANAへの移行プロジェクトを進めている。SAP S/4HANA をSAPシステム開発用言語「ABAP」で開発する選択肢もあるが、開発者が取り合いになって人材単価が高騰することで、アドオン開発のコストが膨らむばかりか開発者を確保できない可能性さえある。

更新が多いアプリはローコードで構築するのが賢明

アドオンの作り込みによる負担を避けるため、SAPは標準機能に業務を合わせることでカスタマイズを極力しない「Fit to Standard」アプローチを提唱している。独自要件や他システム連携などへの対応が必要な場合は、アドオンを追加するのではなく「Side-by-Side」拡張によってコアシステムの外部に作れば基幹システムの改修を最小限にできる。

これを実践するためのプラットフォームとしてSAPが2021年から提供しているのがSAP BTPだ。

「SAP BTPは、SAP S/4HANAなどの拡張機能を周辺システムとして開発できるクラウドプラットフォームです。今後はコアシステムに手を加えない“Keep the Core Clean”の考えの下、拡張機能はSAP BTPに作るというスタイルが王道になるでしょう」

SAP BTPはPaaS開発プラットフォーム「Cloud Foundry」などをサポートしており、JavaやRuby、Node.js、Go、Pythonなどの言語でアプリケーションを開発できる。

しかし、データ活用や他システムとの連携など、ユーザーインタフェース(UI)や仕様が頻繁に変わる可能性のあるアプリケーションについては、もっと素早く手軽に開発できる環境が欲しいこともあるだろう。

そこで注目を集めているのが、ローコード開発プラットフォーム「Mendix」だ。

GUIでパーツを組み合わせるだけでアプリケーションの画面やビジネスロジック、ワークフロー、データモデルなどをスピーディーに開発できる。完成したアプリケーションはクラウドネイティブなWebアプリケーションとしてだけでなく、スマートフォン向けのネイティブアプリとしてデプロイすることも可能だ。

「MendixはSAPとパートナーシップを締結しており、SAPの承認を受けた唯一の企業向けローコード開発プラットフォームであると表明しています。海外では経費精算ツール『SAP Concur』などと連携するアプリケーションの開発にも利用されるなど、SAPのSide-by-Side開発のためのローコード開発環境として普及が進んでいます」

図1:SAPのERPとMendixの構成図

バージョン管理ツール「Git」やプロジェクト管理ツール「Jira」などと連携させて、開発からテスト、デプロイ、運用保守まで、アプリケーションライフサイクル全体の管理もできる。開発環境はローカルでも動作するため、従来スタイルの開発プロジェクトに導入しやすいこともメリットだ。

Mendixでは基本的にコーディング不要だが、Javaで詳細な制御を開発することも可能だ。ABAPよりも人材を確保しやすいのが利点だ。

「Mendixにはマーケットプレースも用意されており、各ベンダーのさまざまな製品と連携させるためのモジュールやコネクターが提供されています。SAP製品と接続するためのコネクターも用意されており、連携部分の開発を大きく省力化できることもSAP製品ユーザーにとっては大きな魅力でしょう」

ローコードは楽なだけじゃない 内製化プラットフォームにも有効

日本情報通信はさまざまな業界でのMendixの活用支援に力を入れている。ある専門商社は、中規模コンピュータシステム「AS/400」の周辺アプリケーションの開発にMendixを活用している。同社はAS/400からの脱却を目指しており、徐々に台数を減らすために一部機能を外出しにする作業をしている。予算管理や発注管理システムの画面をMendixで作り、他システムと連携する部分は既存ロジックを生かすためAS/400に残し、MendixとAS/400をデータベース経由で連携させている。

Mendixの導入で、ユーザーが操作する画面をコマンドベースで使いにくいCUIからグラフィカルで使いやすいGUIに移行できた。開発中に実際に動作させ、挙動に問題がないかどうかをユーザーに直接確認しながら作り上げられることが大きな利点だと山口氏は話す。

「ウオーターフォール型で開発した場合、ユーザーはシステムが完成するまでどのような使い勝手になるのかを実感できません。Mendixを使えば作りながら機能を確認できるので、ユーザーの意図に沿って仕様を取り込めます。基幹システムを全てアジャイルで開発するのは困難ですが、画面に関する部分はユーザー目線で使い勝手をチェックして、重要なフロント部分を先行して確認していただけるという点で非常に有効なツールだと感じています」

この専門商社では最初のシステムを日本情報通信が開発し、それ以降は内製化している。Mendixはパーツを組み合わせて開発するスタイルであるため、事前に自社の標準パーツを用意するなど開発環境の標準化を進めやすく、内製化に適したプラットフォームだと言える。

SAPのアドオンの保守、運用に苦しむ時代は終わり

SAP製品利用が多い製造業にとってもMendixはお薦めのツールだと山口氏は強調する。

「自動車部品メーカーの場合、自動車メーカーからの発注データを日次で受け取り、自社の商品コードや製品コードへの変換、発注数量の読み替えなどをしています。さまざまな変換処理がありますが、Mendixを使えばSAP製品のコアシステムズには手を加えずSide-by-Side拡張で対応できます。データ連携、変換が必要な製造業のアプリケーション開発でMendixが活躍する場面は多いでしょう」

図2:Mendixの画面イメージ

日本情報通信は今後、製造業などさまざまな業界のサポートを通じて蓄積したノウハウを生かして、SAP S/4HANAベースの基幹システムをカスタマイズしたい企業のMendix活用を支援する。

「SAP製品のアドオンの保守、運用に苦しむ時代は終わりました。Mendixを使えば、SAP S/4HANAベースの基幹システムに対するさまざまな要件を、コアシステムには手を入れずに対応できます。大規模なプロジェクトにも対応できるローコード開発プラットフォームとして、より多くのお客さまにMendixをお届けしたいと思います」

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