EDIとは?仕組みや導入のメリットをわかりやすく解説
投稿者:藤生
企業にとって、受発注に関する業務は収益に直結するため、ヒューマンエラーやミスは事前に防がなければなりません。
しかし、精度を向上させることに集中するあまり、業務スピードが下がってしまうことによって多くの人件費が発生します。
高精度かつ高速で受発注業務を行うための方法として、「EDI」と呼ばれるものがあります。
本記事では、EDIの仕組みや導入メリットについて解説します。
EDIとは
EDIとは、Electronic Data Interchange(電子データ交換)の略称で、伝票や文書を電子データで自動的に交換することを指します。
企業間では受発注だけではなく、契約書など取引に関するさまざまな文書をやり取りしています。
従来であれば紙媒体でやり取りを行っていましたが、確認や読み書きなどに多くの時間がかかってしまうことが課題でした。
また、手作業で書類や数量を記載することから、入力ミスなどの問題が発生してしまうことが多いものです。
さまざまな文書をデータで管理するEDIを使用することで、手間や経費を削減することができます。
そのため、近年の販売業界や物流業界では、EDIが標準で導入される傾向にあります。
EDIの定義
国税庁によると、EDIとは下記のように定義されています。
「取引情報(取引に関して受領し、又は交付される注文書、契約書、送り状、領収書、見積書、その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。」
電子取引であることから、EDI以外には下記も対象となります。
- インターネット
- 電子メール
- Webサイトを通じた取引
EDIの実用性は国も認めていることから、中小企業庁では「中小企業共通EDI」と呼ばれるものを公開しています。
背景には、多くの中小企業の受発注業務がいまだに電話やFAXが主流であり、電子化が進行していないことが挙げられます。
また、EDIを導入していても、企業ごとに異なる複数のシステムに対応していることから、有効活用できていないという状況です。
上記の要因により、平成28年度経営力向上・IT基盤整備支援事業にて、特定の地域や業界を選定しました。
選定された地域や業界ではそれぞれの間でEDIの連携ができるように実装したのです。
その結果、対象となった企業では受発注業務にかかる時間が50%程度削減することができました。
参考ページ:国税庁ホームページ「法第2条((定義))関係」
(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/050228/02.htm)
参考ページ:中小企業庁ホームページ「中小企業共通EDI」
(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/gijut/edi.htm)
Web-EDIとは
Web-EDIとは、企業間で行う取引をインターネット回線上で行うEDIの一種です。
インターネット回線とブラウザを利用するため、比較的容易に導入することができるといった特徴があります。
Web-EDIを導入する際、専用のEDIシステムをインストールする必要がないため、スピード感を持って導入できます。
また、インターネット環境とパソコンがあれば運用できることから、低コストでの導入を実現しています。
近年ではインターネット技術の発展により、多くの企業がWeb-EDIを導入する傾向にあります。
EDIの仕組み
EDIは発注者が送付したデータを受注者が読み取ることで、受注業務を行います。
データのやり取りを行う際には下記のようなデータで送付し、それぞれの端末で変換されます。
- 文字コード
EDIで使用する文字コードのなかには、シフトJISやUnicodeといったものが含まれています。
しかし、取り扱える文字コードは企業によって異なるため、受け取ったデータを自社で取り込めるように変換します。 - レイアウト
データのやり取りを行う際には、どこに何が記載されているといったレイアウトが設けられています。
XML形式やCSV形式といったデータの形式を、自社で読み取れるように変換します。 - データコード
データコードとは、商品の情報が記載されているコードを指すもので、受発注だけではなく在庫管理などの際にも用いられています。
しかし、同一商品でもデータコードが異なることがあるため、その際は自社コードに置き換えなければなりません。
EDIを導入することで、対象となる商品の必要な数量を入力し、データを送付することで受注先の企業に発注を行います。
受注先の企業は受注データを自社に最適な形式に変換し、受注した商品をピッキング・出荷作業を行うのです。
一方、電話やFAXなど、EDIを導入する前の受発注業務は下記のようになります。
- 発注企業がパソコンや手書きなどで発注書を作成する
- 作成した発注書を発注先に送信、もしくは電話で発注する
- 受注した企業は自社のシステムに受注データを入力し、ピッキングや梱包、発送作業を行う
- 受注企業が商品や出荷伝票、納品書などを準備する
- 発注企業は商品が届いたあとに、数量を確認して問題なければ検収書を作成する
- 作成した検収書を、受注企業に送付する
このように、EDIを導入しなかった場合多くの業務が発生するため、業務効率を下げる要因となります。
EDIを導入することで発注する商品の選定や検品、検収書の作成・送付といった作業を自動化することができます。
EDI導入のメリット
こちらでは、EDIを導入することによって得られるメリットをご紹介します。
業務効率の改善
先述の通り、EDIを導入することでこれまで手作業で行っていた入力業務を、ほぼ自動で行うことができるようになります。
また、手作業では入力ミスや入力漏れといったヒューマンエラーが発生しやすい一方、EDIではそれらを防ぐことができます。
手作業が減ることでヒューマンエラーが無くなり、修正ややり直しの回数が少なくなることから、人件費の削減に貢献します。
データを参照する際もパソコンを確認すれば良いため、探す時間も大幅に減らすことができる点もメリットといえます。
コスト削減
EDIは手作業を大幅に減らすことができるため、人件費の削減に貢献するシステムです。
また、FAXのように紙を使用することがないことから、印刷・発送にかかるコストもかからなくなります。
紙媒体で受発注を行っていると、書類の紛失や整理作業に多くの時間を要するほか、保管場所が必要です。
EDIで受発注業務を行うことによって、省スペースで書類の保管ができるため、探す時間なども短くなるでしょう。
リードタイム短縮
リードタイムとは、発注から納品までにかかる時間であり、短いほど良いとされています。
手作業で行っている場合、送付前に間違いがないか、相手に発注書が届いているかなどの確認をしなければなりません。
ほかにも、目視でのチェックや照合などを行う必要があるため、多くの時間を要するものです。
EDIは瞬時に送付・参照ができることから、リードタイムの短縮を実現することができます。
EDI導入時の注意点
EDIを導入することでさまざまなメリットを得ることができますが、導入時には下記のような注意点があります。
専用のシステムが必要
EDIは受注者・発注者間でデータのやり取りを行うものであることから、それらに対応したシステムを導入しなければなりません。
すでにEDIを導入している企業がありますが、文字コードやレイアウト、データコードを合わせる必要があります。
そのため、EDIを導入する際は、業者やエンジニアに依頼して各受発注先に合ったシステムを導入・構築する手間が発生します。
しかし、近年ではシステムを導入する必要がないWeb-EDIを導入する企業が増加傾向にあります。
企業間の関係に依存する
ビジネスでは受注者・発注者ともに対等な立場で行われなけなければなりません。
しかし、企業規模や取引金額によっては、どちらかが優位に立ってしまうことで対等ではなくなってしまうことがあります。
EDIを導入する際も同様で、相手の力が強い場合はそちらに合わせなければならないシチュエーションが多くあるものです。
そのため、力が強いほうに弱いほうが合わせるといった状況に陥ることも少なくありません。
効率を下げる場合がある
中小企業によっては、手書きやメールなどで発注をするほうが、かえって効率が高いことがあります。
また、客単価が低かったりSKU数が少なかったりする場合、EDIの導入にかかる費用を減価償却しにくいことも考えられます。
こちらも中小企業でEDIの導入が進まない理由のひとつであり、導入しないというよりも導入する必要がないといった状態です。
特に、老舗の中小企業では高齢な発注者が在籍していることが多く、手書きに慣れている方が多くいらっしゃるものです。
EDIの種類
EDIには下記のようにさまざまな種類が含まれており、それぞれに特徴があります。
個別EDI
個別EDIとは、通信方法や識別コード、フォーマットなど、取引先によってルールを取り決めて自由に構築できるEDIです。
しかし、ルールは発注者が主導で行うことが多いことから、取引先が少ない場合に利用することを推奨します。
標準EDI
標準EDIとは、取引規約やフォーマットといった、基本的なルールが標準化されているEDIです。
同じ規格のEDIを使用している場合、複数の取引先間でやり取りを行うことができます。
業界VAN
業界VANとは、ネットワーク技術を活用して異なる機種間で接続が可能な、特定の業界に特化したEDIです。
商品コードや取引先コードなどが標準化されているため、同じ業界であればスムーズな取引が可能となります。
しかし、他業界や異業種の場合は商品コードや取引先コードが異なるため、編集や回収といった手間が発生します。
レガシーEDI
レガシーEDIとは、固定電話回線を使用したEDIで、現在では古いやり取りの方法となっています。
サービスを終了する企業が増えたため、レガシーEDIを使用している企業はインターネットEDIへの切り替えが必要です。
おわりに
本記事では、EDIの仕組みや導入メリットについて解説しました。
EDIとは伝票や文書を電子データで自動的に交換することを指すもので、下記のようなメリットを得ることができます。
- 業務効率の改善
- コスト削減
- リードタイム短縮
一方、専用のシステムが必要である、企業間の関係に依存する、効率を下げる場合があるといった点には注意が必要です。
EDIには個別EDIや標準EDIといったものがありますが、レガシーEDIは徐々にサービスが終了しているため、導入している企業はインターネットEDIへの切り替えが求められています。
受発注作業に多くのリソースを割いている企業は、EDIの導入を検討しましょう。
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