【イベント報告】 DevOps Forum 2018 『 やってみようDevOps 』
DevOps推進協議会は、「 激変するビジネスに俊敏に対応・継続できるグローバルなITサービスモデルと技法の普及 」を目指し、2016年8月から様々な活動を行ってまいりました。NI+Cも設立当初から参画しています。
2回目となる今回のForumでは 『 やってみようDevOps 』 をテーマとし、大学教授、経済産業省企画官、雑誌記者、SIer、ユーザー企業、様々な立場の講師の皆さまにご登壇いただきました。最先端の国内事情や、日本国内、海外における事例の紹介、日本市場で有効と思われるプラクティスや効果の測定方法などについて講演が行われ、聴講した参加者は約170名となりました。
丸一日を通して行われた講演は非常にボリュームがあるため、ここではいくつかの講演をピックアップし、ご紹介させていただきます。
◆オープニング/キーノート・スピーチ
須藤様の講演では、日本が「電子政府」から「デジタル・ガバメント」ヘ着実に歩みを進めてはいるものの、シリコンバレーでは自らベストプラクティスを組み立て政府と交渉を行っており、アメリカが日本のかなた遠くの存在であること、そんな彼らと日本がどう付き合うのか危惧される発言もありました。
/ 和泉企画官は前段の講演を受け、政府としては中小企業へのIT支援やAIシステム共同開発支援事業、予算の確保など全面的な支援を惜しまないことをお話しされる一方で、Docker技術者が少ないことや、技術的に深い内容をもっとマネージャークラスの人間が議論すべきといった、個人的な見解も熱く述べられました。
◆DevOpsは今どう? 日本企業の理想と現実
昨年発表された講演資料を振り返りつつ、1年が経過してどのような変化があったのか、DevOpsの取り組みは進んでいるのか、といったことについてお話がありました。
新たな事例として、ソフトバンク、Sansan、パナソニック、メルカリ、ファナック、旭鉄工といった企業様の紹介があり、昨年に比べて着実にDevOpsへの取り組みの裾野が広がり始めているといった印象を受けました。
IDCジャパンの調査によれば、実践している企業はまだ2割未満とのことですが、日本でクラウドが普及するまでに、ある程度の時間を要したように、DevOpsも火がつけば一気に広がりを見せるのではないかと感じました。
◆一休での開発における改善の取り組み@2018
お客様に価値を届けるためにはスピードアップが必要、との思いから取り組まれたDevOps。ミッションオーナーに開発部を近づけるといった組織変革をされたことで、メンバーそれぞれが、より主体的にオーナーシップを持って業務に取り組むといった変化を感じられたとのこと。
テスト時も本番相当のDBと組み合わせることで、お客様が利用した際に見る画面、検索して表示されるまでの時間など、お客様と同じように体験/体感することが出来るようになったことが非常に良かったとおっしゃっており、お客様の立場を意識して取り組まれた点が非常に印象的でした。
◆ライトオンのシステム内製化の取り組み
自社で使用されていた大規模なパッケージソリューションをやめ、必要な機能だけに絞った自社でのスクラッチ開発に取り組むことになった経緯や、その過程についてお話がありました。
大幅なコスト削減、処理のスピードアップの実現など、大きな成果を出された背景には、社内業務を熟知するベテラン社員をプロジェクトマネージャーに登用したり、開発を担当するインド人SEと密なコミュニケーションを取ることを心がけるなど、プロジェクト責任者である川崎様のきめ細やかな心配りが随所にあったことを感じました。
SEの負担になることをできるだけ減らしたいという心遣いが、非常に印象的でした。
複数の講師の発表から、DevOpsを推進していく上での大切な要素として、下記の事項が繰り返し挙げられました。
・業務を縦割りの組織ごとに分断してしまうのではなく、関連部署と協力し連携する
・課題を他人事ではなく自分事として捉える仲間を増やす
・特定のエンジニアのみに依存するのではなく、企業やチームが一丸となって取り組む
DevOpsに限ったことではありませんが、企業・組織、それに属する個々の社員の、より柔軟な姿勢が求められそうです。
◆DevOps Forum 2018 アジェンダ◆
・オープニング DevOps 推進協議会 理事長 須藤 修 様 (東京大学大学院 情報学環教授)
・キーノート・スピーチ 経済産業省 商務情報政策局 情報産業課 企画官 和泉 憲明 様
・「DevOpsは今どう?日本企業の理想と現実」
株式会社日経BP 日経コンピュータ/日経クロステック編集 シニアエディター 田中 淳 様
・事例-1「一休での開発における改善の取り組み@2018」
株式会社 一休 宿泊事業本部 システム開発部 エンジニアリングマネージャー 田中 健介 様
・DevOps推進協議会報告 DevOps推進協議会 モデル・技法分科会
・DevOps推進協議会報告 DevOps推進協議会 検証分科会
・事例-2 「米国での事例を踏まえた失敗例、成功例、成功パターン」
Inedo代表 Alex Papadimoulis 様
・事例-3 「ライトオンのシステム内製化の取り組み」
株式会社ライトオン 取締役 経営推進本部長 兼 業務改革室長 兼 Eコマース部長 川崎 純平 様
・クロージング
DevOps 推進協議会 広報分科会主査 山中 進 様 (株式会社エム・アンド・アイ 代表取締役社長)
◆関連・参考サイト◆
・DevOps推進協議会設立について(2016年8月1日付ニュースリリース) http://www-03.ibm.com/press/jp/ja/pressrelease/50277.wss
・NI+Cで開催した事例分科会の様子(2016年11月28日開催) http://www.niandc.co.jp/sol/news/date20161128_451.php
・DevOps Forum 2017(2017年2月28日開催) http://www.niandc.co.jp/sol/news/date20170322_615.php
・DevOps推進協議会およびDASA合同セミナー(2017年11月14日開催) http://www.niandc.co.jp/sol/news/date20171115_751.php