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ローカル5G(第2弾) ローカル5Gとパブリック5GやWi-Fiの違いとは!?最新のネットワーク技術紹介

投稿者:鈴木 幹矢

こんにちは。ネットワーク担当の鈴木です。

第1弾では「ローカル5Gとは!?最新のネットワーク技術紹介」をテーマに新しいネットワークとして活用が議論されているローカル5Gについて定義や特性、利点、課題を中心にご紹介しました。第2弾となる今回は、ローカル5Gとパブリック5GやWi-Fiを比較します。

まず、ローカル5Gとパブリック5G、Wi-Fiの特徴について簡単にご説明いたします。
Wi-Fiとは、米国電気電子学会が定めるIEEE802.11の規格に適合した無線LANです。LANケーブルがなくても無線で通信を行うことができるため、幅広く利用されています。
パブリック5Gとは、通信事業者が提供している5Gネットワークのことをいいます。一般的に5Gと聞くときはこちらを指していることが多いです。パブリック5Gは各通信事業者によるエリア展開も進んでいるため、スマートフォンでパブリック5Gを利用したことのある方も多いのではないでしょうか。
ローカル5Gとは、第一弾の記事でご紹介しましたが、自社の敷地で自社専用で使うことができる5Gネットワークになります。一般利用者と5G電波を共有するパブリック5Gとは異なり、ローカル5Gでは5G電波をプライベートに利用することができます。
ではそれぞれの違いについて①エリアカバレッジ②通信の安定性③セキュリティ④自由度⑤価格⑥免許の有無の6つの観点からご説明いたします。

ローカル5Gとパブリック5G、Wi-Fiの違い

①エリアカバレッジ

Wi-Fiと比べ、ローカル5G、パブリック5Gは広いエリアカバレッジを持ちます。
Wi-Fiのカバー範囲は数十m程度で狭い範囲での利用に適しています。そのため、Wi-Fiで広い範囲をカバーするとなると複数のAPを設置する必要があります。また設置するAPの台数が多くなると、取り付けや配管などの工事や費用が追加で発生したり、電波干渉が起きないように設計・設置するなどの注意が必要になります。
一方、パブリック5G、ローカル5GはエリアカバレッジがWi-Fiと比べ広域となります。パブリック5Gは各通信事業者が全国のパブリック5Gエリアを順次展開していっており、通信事業者の電波が届く範囲で利用することできます。
ローカル5Gは利用する周波数帯にもよりますが、アンテナ1台で直径200m程度の広い範囲カバーすることができます。Wi-Fiと比較するとエリアカバレッジが広域なため、アンテナ(AP)の数は少なく設計することができます。またパブリック5Gの電波が届かない場所でも、ローカル5Gを個別構築することで5Gの電波を利用することが可能となります。

②通信の安定性

Wi-Fiと比べ、ローカル5G、パブリック5Gの方が通信の安定性が高いと言われています。
安定性の差として、利用している電波周波数帯の違いが挙げられます。Wi-Fiでは2.4GHz帯もしくは5GHz帯を使用して通信を行います。2.4GHzや5GHzではテレビや電子レンジなどの家電製品やBluetooth機器でも使用されているため、電波干渉のリスクがあります。また、APを複数台設置した場合は、AP間で電波干渉が発生するリスクがあります。電波干渉が起こることで、通信速度が急激に低下したり、通信状態が不安定になります。
一方、ローカル5Gとパブリック5Gでは、5G専用周波数帯を利用するため、周りとの電波干渉のリスクはありません。但しパブリック5Gは、他のユーザの利用影響を受けるリスクがあります。例えば、駅やイベント会場などの込み合った場所で利用する場合や、災害発生時などユーザが一斉に利用する場合に、通信が不安定になることがあります。

③セキュリティ

Wi-Fiでは、多種多様な機器が使える一方で、接続する機器を制限するのは難しく、LAN側の設定等ネットワーク内で制限をかける必要があります。
一方、ローカル5Gの場合、接続にあたっては端末に搭載されるSIMカードを使って認証するため、接続できる端末を制限し、セキュリティを高めやすいという利点があります。パブリック5Gでも同様のSIMでの認証を行いますが、公衆回線を利用する点で、ローカル5Gがよりセキュリティを高めることができます。

④自由度

ここでは自由度を対応装置・端末、カスタマイズ性で見ていきます。
対応装置・端末でみると、Wi-Fiは製造しているベンダーも多く、販売されている機種も豊富にあります。そのため、機器選定の選択肢は広いと言えます。一方、ローカル5Gは、Wi-Fiと比べるとまだまだ数も少なく限られています。昨年6月にApple社のiPhone、iPadデバイス(iOS17、iPadOS17以降)がローカル5Gに対応するなど、今後対応端末が増えていくことが期待されます。
次にカスタマイズ性で見てみます。パブリック5Gでは、アップロード/ダウンロードの速度比率は、通信事業者が設計しているため、その比率を変更することはできません(ダウンロード優先の速度比率)。
一方、ローカル5Gはアップロード/ダウンロードの速度比率をカスタマイズすることが可能です。アップロード速度に比率を置くことで、パブリック5Gでアップロードに時間を要していた大容量データの伝送が可能となります。4K・8K等の高精細カメラを活用した遠隔作業支援や遠隔監視なども実現することが可能となります。

⑤価格

Wi-Fiは機種も製造ベンダーも多く、低価格帯の製品も多く販売されております。性能やコストに応じて機種を選定することができます。但し広いエリアをカバーする際には複数のAPを導入することで高額となることがあります。
パブリック5Gは、基地局等の設備は通信事業者が提供しているため、その利用料が端末(SIM)毎に発生します。価格帯は通信事業者の料金プランと、SIM台数に依ります。
一方ローカル5Gでは、敷地内に専用の基地局を構築するため、構築・工事費用がかかります。ローカル5Gの課題としてよくコストが高いことが挙げれてます。しかし2022年頃から各ローカル5G事業者から低廉なローカル5Gサービスの提供が開始され、広域な敷地であれば、Wi-Fiより広いカバレッジエリアを持つローカル5Gの方がコストメリットを出せるケースもあるようです。

⑥免許の有無

Wi-Fiは免許は不要ですが、ローカル5Gでは免許が必要となってきます。ローカル5Gの免許申請にあたっては、総合通信局との打ち合わせや免許申請書類の作成、書類提出後の審査対応など、様々な準備や対応が必要となります。
しかし免許取得することで、周りと干渉することのない周波数帯の電波を占有できるため、電波干渉の心配がないというメリットがあります。

おわりに

Wi-Fi、ローカル5G、パブリック5Gを比較した結果としては、通信の品質やセキュリティ等、利用場面によって棲み分けがされているように感じました。そのため、特徴を理解した上でどの技術を選定するのかが大事になってくると思います。またWi-Fi、ローカル5G、パブリック5Gを共存させることも可能です。例えば、同じエリアにWi-Fiとローカル5Gを構築しても、Wi-Fiとローカル5Gは異なる周波数帯の電波を利用しているため、電波干渉することはありません。共存することで、用途・目的に応じて最適な無線を選択することが可能になります。
弊社でもお客様の課題解決にあったネットワークを構築していくため、無線LANソリューションの1つとしてローカル5Gサービスの提供を開始いたしました。次回は弊社でサービス提供を開始したローカル5Gの無線LANソリューション「ギガらく5G」についてご紹介いたします。


※「Wi-Fi」は、Wi-Fi Allianceの商標または登録商標です。


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