Technical Blog テクニカルブログ
  1. HOME
  2. テクニカルブログ
  3. 【API連携】IBM i(AS/400)のモダナイズ、DXについてのご紹介

【API連携】IBM i(AS/400)のモダナイズ、DXについてのご紹介

投稿者:クラウド事業本部 クラウドサービス部 野口

日本情報通信 NI+C i モダナイズ推進担当 野口です。
今回は、TechTargetに掲載された私のインタビュー記事を紹介します。

クローズシステムと誤解されがちなIBM i (AS/400)は、APIを利用して皆様がよく利用されているスマホアプリやSaaSなど、オープン系のシステムとの連携が可能です。長年磨き上げたIBM i のアプリケーション資産を活用したDXの実現を提案します。

是非、ご覧ください。

以下、TechTarget Japanからの転載記事


「IBM i(AS/400)はクローズドなシステム」という誤解 DXに寄与する一歩

IBM i(AS/400)を利用している企業の中には、「DX推進」と「現行システムの安定運用」という2つの命題に悩む担当者も多い。既存のIBM iシステムを生かしつつ、DXに貢献するにはどんな方法があるのか。

IBM iのシステムは「DXの足かせ」?

日本情報通信
クラウドサービス部第3グループ
 グループ長 兼 NI+C i モダナイズ推進担当
 野口一成氏

 1988年に登場したAS/400は、専用OSである「OS/400」が稼働するミッドレンジ向けコンピュータシステムだった。日本ではオフィスコンピュータ(オフコン)とも呼ばれ、運用の手間が極めて少ないことから、情報システム部門のリソースが十分ではない中小規模の企業などに幅広く利用されてきた。2008年には名称を「IBM i」に変更し、現在も進化を続けている。IBMは2019年にIBM iを「IBM Power Systems Virtual Server」でも利用できるようにしており、2022年11月現在のロードマップでは2035年以降も開発が継続される予定になっている。

 このように進化を続けるIBM i(AS/400)ではあるが、「30年以上にわたって顧客の基幹システムを継承し支えてきたこともあり、システムの利用状況を見ると画面の表示が少し古く感じる、技術者が高齢化しているなどの不安要素があるという意見もあります」と、日本情報通信の野口一成氏(クラウドサービス部第3グループ グループ長 兼 NI+C i モダナイズ推進担当)は言う。

 画面表示の古さから「IBM iのシステムは最近の新しい技術に適用できないという誤解」が生まれ、IBM iの見直しを考える理由になっていると野口氏は指摘している。IBM iをクラウドネイティブな新しい技術には適用できないと考え、「デジタルトランスフォーメーション」(DX)の妨げになると思い込んでしまっているというのだ。

 業務を支える基幹系システムとして、IBM iのシステムはいまだに多くの企業で使われている。それは前述したように安定性が高く、運用の手間が少ないというIBM iの特性によるものだが、情報システム部門としては「安定稼働しているものにはなるべく手を加えたくない」と考えるのは当然だ。安定性の確保とDXへのチャレンジをいかに両立させればいいのか、IBM iの基幹システムを運用する情報システム部門の担当者は頭を悩ませている。

 また、いざIBM iの環境を刷新しようと一歩を踏み出しても、具体的にどこから始めればいいのか分からず足踏みしてしまう、もしくは全面的に環境を刷新しようとしたが移行プロジェクトが失敗してしまったといった企業はある。逆に、刷新した結果、業務効率が下がってしまいIBM iに回帰することになった企業もあると野口氏は言う。

 「今はIBM iのクラウドサービスもあるので、オンプレミスのIBM iのシステムをそのままクラウド化するのはそれほど難しくありません。ですが、クラウドに移行した次のステップで、アプリケーションは使い続けるのか、違うものに乗り換えるのか。その選択次第でコストや手間は大きく変わってしまうため、判断が難しくなっています」と野口氏は指摘する。クラウド移行の前準備として現状把握をしようとしたら、過去の改修のドキュメントなどが残っていない上、積み重ねてきた修正の規模も大きく、解析に時間がかかり過ぎるといった事態も起こりがちだ。

IBM iの「課題」と「誤解」

 では、IBM iに新しい技術を適用するにはどうすればいいのか。それにはまず、現状の課題を整理する必要がある。

 IBM iは主に基幹システムで利用されており、外部システムと連携していないケースも多い。そのため、参照したいデータがあれば画面を照会して「Microsoft Excel」などに手入力するといったことは珍しくない。もしくは夜間に必要なデータをバッチ処理などでファイル出力し、そのファイルを他のシステムに渡すといった運用をしている企業もあるだろう。そのため「リアルタイムでIBM iのデータを取得し、他システムと連携する」といった発想は出てこないのが普通だ。

 具体的なシチュエーションで例えてみよう。

 営業担当者であれば外回り中に商品の在庫状況を確認したいときがある。従来のIBM iのシステムを使っている企業であれば、営業担当者は会社に電話をかけ、社内にいる人に該当商品の情報をIBM iの画面で照会してもらい、結果を口頭で教えてもらうといった運用になる。もしくはノートPCからVPNで会社のネットワークに接続してIBM iのシステムにアクセスし、該当商品の在庫を調べるといったやり方をする。もちろんこれらのやり方はスマートではない。不便な運用だが「営業担当者は『自社環境がIBM iだから仕方がない』と諦めている現状があります」と野口氏は言う。

 マーケティング担当者であれば、データ分析のために基幹システムから商品を購買した顧客の情報を取得することがある。対象のデータを今すぐ見たいと思っても、従来のIBM iのシステムではバッチ処理を待ち、さらに別のシステムにデータが取り込まれるのを待つ必要がある。これまでに抽出していなかったようなデータを見たい場合は情報システム部門にデータ抽出を依頼する必要があり、もし担当者が忙しい場合は依頼してもすぐには対応してもらえない。このような状況ではタイムリーなマーケティング活動は不可能だ。「『CRM』(Customer Relationship Management)などを導入したとしても、IBM iの基幹系システムとデータ連携できなければ、うまく使いこなせないでしょう」と野口氏は指摘している。

 こうした状況を見て、経営層の中には「IBM iのシステムはDXのために刷新すべきだ」と言う人もいるだろう。しかし情報システム部門の視点で考えると、既存の環境を全て変更するとなれば、多くの工数とコストが必要になる。アプリケーションも刷新するとなればこれまでと同じように安定稼働できるどうか分からず、新たなリスクも発生する。その上、言われた通りにシステム刷新にかかる費用を試算したら「コストがかかり過ぎる、費用対効果はどうなのか」などと問い詰められることにもなりかねない。

実はLINEやkintoneなどと連携できるIBM i

 これらの懸念点を解消するポイントとして野口氏は「『IBM iは閉じたシステムだ』という誤解を解く必要がある」と言う。

 「実はIBM iはAPIを使うことで簡単に外部システムと連携できます。しかもAPIを活用すれば、既存資産にはなるべく手を付けずに段階的にDXに取り組むことも可能です」(野口氏)

 前述した営業担当者の例では、外部から「LINE」を使ってIBM iのシステムにある商品の在庫情報を確認する、といったことが可能だ。IBM iとLINEをAPIで連携させることで、営業担当者は使い慣れたLINEに問い合わせするだけで、リアルタイムに最新の在庫を確認できる。

 SaaS(Software as a Service)との連携も可能で、例えばサイボウズのkintoneを導入している企業であれば、ユーザーはkintoneの画面からIBM iに格納されたデータの検索、更新などの処理が可能だ。従来はIBM iとkintone側のそれぞれで更新されたデータをバッチ処理で双方向に受け渡しする必要があったが、kintoneとIBM iがAPI連携することでデータは裏側で自動的に連携されるため、その作業が不要になる。

 「この仕組みならば作業者はIBM iを意識する必要はありません。もちろんIBM i側のデータ更新もkintoneの画面操作のみで完結します」と野口氏は説明している。閉じたシステムだと思われがちなIBM iだが、APIを使うことで他の新しいシステムとのリアルタイムな連携が容易にできるということが分かる。

IBM iを活用してDXへの段階的なアプローチをサポート

 日本情報通信は、数多くのIBM iに精通したエンジニアを抱えており、さまざまなクラウドを使いこなす仕組みの構築経験も豊富に持つ。これらの強みを生かし、同社はIBM iを利用している企業に対して他システムとの最適な連携手段を提供している。

 「まずはヒアリングを行い顧客のニーズを把握します。その上で、目的に応じたAPI連携ツールを用いて、他システムとの連携を実現します。もちろん必要であれば外部システムとIBM iを連携させる仕組みを独自に構築することもできます。重要なのは『どう業務を変えたいのか、そのために必要なシステム連携をどのように実現するか』です。われわれにはIBM iの環境の解析ツールもあり、それらを使うことで最適な連携方法を提案できます」(野口氏)

日本情報通信は、IBM iのクラウド化から他システムとの連携、さらにはアプリケーションの作り替えに至るまでの“DXアプローチ”を「IBM iモダナイゼーション」として提案している。同社にはIBM iの専門部隊があり、クラウド開発の部隊などとも協力して、現状の調査から提案、移行やアプリケーションの構築、さらにIBM iのアプリケーションの運用、保守に至る、トータルな支援ができる。

 「協力会社が多く、IBM iの技術者も十分に確保できます。クラウドインフラやネットワークの技術を提供でき、1社でトータルなサポートができることが強みです。IBM iの運用を継続しながら移行後の運用、保守まで段階的にDXの実現を支えます」(野口氏)

 IBM iはOS、データベース、アプリケーションサーバが一体化しているため、相性の問題は発生しない。安定性、バッチ処理性能も高く、上位互換性に優れているため、情報システム部門からの評価も高いという。「IBM iは長期間でも安心して使えるシステムです」と野口氏は語る。

 現在IBM iは「RPG」や「COBOL」だけでなく、「Java」「PHP」などオープン系の開発言語も利用でき、API連携も可能なことから“オープンなシステム”として進化している。「IBM iのシステムは決してレガシーな古いシステムではありません。せっかくオープンなシステムへと進化しているのに、多くの場合、使い方がレガシーになっているのです」と指摘している。

 「堅牢性が高く高性能な点はこれまで通りで、その上でAPIなどのオープンな機能を有効利用することで、DXにも取り組めるようになっています。日本情報通信としては、IBM iのレガシーな使い方から脱するためのモダナイズを支援し、顧客のDX実現に寄与していきたいと考えています」(野口氏)

———————————————————————————-

転載元:TechTarget Japan

TechTarget Japan  2022年12月13日掲載記事より転載

本記事は TechTarget Japan より許諾を得て掲載しています

———————————————————————————-

製品名、サービス名、会社名、ロゴは、一般に各社の商標、または登録商標です。なお、本文および図表中では、「™」、「®」は明記しておりません。
製品の仕様・性能は予告なく変更する場合がありますので、ご了承ください。

———————————————————————————-

本サービスの詳細リンク先: https://www.niandc.co.jp/sol/i-moda/

本サービスの詳細を知りたい場合は、こちらよりお問い合わせください

ページのトップへ