【Databricks:AI/BI Genie】会社がもつデータでどんな分析ができるのか?生成AIで簡単にデータを深堀り
投稿者:杉山
目次
- はじめに
- Databricks AI/BI Genieとは? 〜データ分析の常識を変えるAIアシスタント〜
- AI/BI Genieを使ったデータ分析
- あなたの会社ではどう使える?〜部門別ユースケース〜
- AI/BI Genieがもたらす3つの変革
- さいごに
1.はじめに

データ活用に取り組む企業が年々増加傾向にある一方で、課題をお持ちの企業も多いのではないでしょうか?せっかくの貴重なデータが、ビジネスの意思決定に活かしきれていないのは、非常にもったいない状況です。しかし、優秀なデータ分析アシスタントに話しかけるだけで、瞬時にデータ分析やグラフ作成をしてくれるとしたらどうでしょうか?
今回ご紹介するDatabricksの「AI/BI Genie」は、そんな未来を実現する生成AIを活用した新しい機能です。本記事では、AI/BI Genieがどのようにデータ分析の常識を変えるのか、デモ画面の内容を追いながら分かりやすく解説します。
2.Databricks AI/BI Genieとは? 〜データ分析の常識を変えるAIアシスタント〜
AI/BI Genieは、一言でいうと「自然言語で対話するだけで、データ分析から可視化までを自動で行う」AIアシスタントです。
これまでデータ分析に必要だった、SQLなどの専門的なクエリ言語や、特定のBIツールの複雑な操作知識は一切不要です。まるで人間に質問するように、チャット画面に分析したいことを入力するだけで、AI/BI Genieがその意図を汲み取り、必要なデータを探し出し、分析結果をテキストやグラフで分かりやすく提示してくれます。
従来のBIツール | Databricks AI/BI Genie | |
必要な知識 | SQL、ツールの専門知識 | 不要(自然言語でOK) |
操作方法 | ダッシュボードのクリック操作が中心 | チャット形式で対話的に分析 |
分析の深掘り | 事前に設計された範囲での分析 | 文脈を理解し、会話で深掘り可能 |
スピード | レポート作成に時間がかかる場合がある | リアルタイムで回答、即座に可視化 |
この革新的な体験は、Databricksが持つ強力なデータ基盤(レイクハウス)と、組織のデータや専門用語を定義するUnitiy Catalog(データカタログ)によって実現されています。
データカタログには生成AI機能が導入されており、データの内容や列名から自動でデータ辞書を生成してくれるため、データカタログの作成に手間をかける必要もありません。
3.AI/BI Genieを使ったデータ分析
AI/BI Genieが実際にどのように動作するのか、実際のデモ画面のシーンに沿って見ていきましょう。今回使用するデータはDatabricksが用意しているベーカリーのフランチャイズビジネスをシュミレーションした各フランチャイズ店の売上情報や顧客情報が含まれたサンプルデータです。
質問1:そもそもどんなデータがあるのか、どんな分析が可能か
データ分析に慣れていないユーザーにとっては企業がどんなデータを蓄積し、データ分析に利用できるのかを知ることが1stステップになると思います。そのため、今回は以下のような質問をGenieに投げかけてみました。

Genieはデータカタログに定義されている内容から、今回取り扱うデータが前述に記載の通り、ベーカリーのフランチャイズビジネスをシュミレーションしたデータで販売トレンドや顧客行動に関する洞察を得るような分析が可能だと回答しています。また、回答を生成後、次の質問を提案する機能が備わっているため分析に慣れていないユーザーもスムーズに使うことが可能です。
質問2:各フランチャイズの売上トレンドはどうなっているか?
質問1に続けて、質問後にGenieによって提案された質問を1つ投げてみたいと思います。

結果は以上の通り、各フランチャイズ店の売上金額が日別で集計され、時系列の折れ線グラフで表示されています。
正しい処理がされているかどうかは[Show code]から実際に実行されたSQLを表示することで確認が可能です。

質問3:どの地域のフランチャイズ店の売上が良いか?
質問2の結果から、さらに深堀する質問を投げてみたいと思います。先ほどは1つのテーブルにある情報について分析結果を回答していたのに対し、今回は2つのテーブルの情報を組み合わせて回答しています。

本来テーブル同士の結合にはJOINの定義が必要ですが、Genieは結合情報を定義していなくとも、テーブル内のデータやカラム名から動的にテーブル同士の結合を行い集計することが可能です。今回の場合、売上情報はsales_transactionsテーブルに、フランチャイズの所在地はsales_franchisesテーブルのみにデータが格納されているため、Genieが各テーブルを組み合わせた集計を行い、地域ごとに棒グラフで表示しています。

テーブル同士の結合が複雑な場合は、あらかじめテーブル同士を結合したものや結合条件を設定に含めることも可能です。
番外編:データのない質問に対して
生成AIを活用していると「本当に正しい情報なのか?」「間違った情報が表示されている」といわゆる『ハルシネーション』が起こる場面もあるかと思います。Genieだとどうでしょうか?
試しに要因分析としてデータのないプロモーション情報について質問をしてみます。

結果は「回答できません」でした。追加のデータが必要になることが回答に含まれており、ハルシネーション対策も行われていることが確認できました。
4.あなたの会社ではどう使える?〜部門別ユースケース〜
この強力なAIアシスタントは、様々な部門で活躍します。例として以下3部門とそれぞれのユースケースを紹介していますが、記載の限りではなく、幅広い部門また全社的にご利用いただくことが可能です。
営業部門
- 分析例::担当者別・地域別の進捗確認、失注要因の分析
- 効果:会議の直前に最新の状況をチャットで確認。データに基づいた的確な営業戦略をその場で立てられます。
マーケティング部門
- 分析例:キャンペーンの効果測定、顧客セグメント別の行動分析、Webサイトのアクセス解析
- 効果:「この広告からの流入で、最もコンバージョン率が高いのはどの層?」といった質問に即座に答えを得て、ROI(投資対効果)を最大化します。
経営・企画部門
- 分析例:全社のKPIモニタリング、新規事業の市場性調査、コスト構造の分析
- 効果:経営会議で出た疑問点をその場でAI/BI Genieに質問。データドリブンな経営判断をこれまで以上に迅速に行えます。
5.AI/BI Genieがもたらす3つの変革
AI/BI Genieの導入は、単なるツール更新にとどまらず、企業文化そのものに変革をもたらします。
- データ活用の民主化
専門部署やIT部門に頼ることなく、ビジネスの現場にいる誰もが、必要な時に自分でデータを活用できる文化が醸成されます。 - 生産性の劇的な向上
これまでデータ抽出やレポート作成にかけていた膨大な時間を削減できます。従業員は、分析結果を元に「次の一手を考える」といった、より創造的で付加価値の高い業務に集中できます。 - 新たなビジネスチャンスの創出
人間だけでは気づけなかったデータの関連性や異常値をAIが発見し、それが新たな施策やビジネスチャンスの芽につながる可能性があります。
6.さいごに
DatabricksのAI/BI Genieは、生成AIとの自然な対話を通じて、データ分析の専門的なスキルや知識の壁を取り払う革新的なソリューションです。
これにより、データ分析は一部の専門家の仕事ではなく、ビジネスに関わる「社員の武器」に変わります。これからのビジネスでは、いかにAIと対話し、データを迅速に意思決定に活かせるかが、企業の競争力を大きく左右することになるかと思います。
弊社では導入検討~活用促進まで、お客様のデータ活用を成功に導くための各種サービスを提供しております。
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