Technical Blog テクニカルブログ
  1. HOME
  2. テクニカルブログ
  3. なぜ、あの企業はAIを全社展開できるのか?Dataikuが実現する「データ分析の民主化」とは

なぜ、あの企業はAIを全社展開できるのか?Dataikuが実現する「データ分析の民主化」とは

投稿者:杉山

目次

  1. はじめに
  2. Dataikuとは?- AIプロジェクトの「サイロ化」を防ぐ統合プラットフォーム
  3. Dataikuを使ったデータ分析・活用
  4. こんな業務にすぐ使える!Dataiku活用シナリオ例
  5. 【層別メリット】Dataikuがもたらす3つの変革
  6. さいごに

1.はじめに

AI活用を推進しようと試みる多くの企業で、以下のようなお悩みをよく伺います。

  • 一部の専門家に業務が集中し、プロジェクトが属人化・停滞している
  • 現場の業務担当者にとってAIは「自分ごと」になっておらず、ビジネス課題の解決に繋がらない
  • PoC(概念実証)は実施したが、「PoCの壁」を越えられず本格展開や現場への定着が進まない
  • 高価なツールを導入したが、結局一部の専門家しか使えていない

これらの課題の根っこにあるのは、AIを扱う「専門家」と、ビジネスの現場を知る「業務担当者」との間に存在する『分断』です。

本記事でご紹介する「Dataiku」は、その分断に橋を架け、専門家からビジネスの現場担当者まで、社内の誰もがそれぞれのスキルレベルに応じてAI活用に参加できる「コラボレーティブ(協業)プラットフォーム」です。

2.Dataikuとは?- AIプロジェクトの「サイロ化」を防ぐ統合プラットフォーム

Dataikuは、データの準備・加工~機械学習モデルの開発・本番運用、そして結果の共有まで、AI開発の全プロセスを単一の環境で実現するプラットフォームです。

その最大の特長は、「ビジュアル」「コード」の共存にあります。

  • ビジュアルフロー

    プログラミング知識がなくても、まるでフローチャートを描くようにマウス操作で直感的にデータ分析のパイプラインを構築できます。これにより、業務担当者が「データがどのように処理され、予測結果が導き出されているのか」を理解し、主体的にプロジェクトに関わることが可能になります。
  • コード環境の統合

    一方で、PythonやRを使いこなすデータサイエンティストは、同じプラットフォーム上で高度なコーディングも可能です。ビジュアルとコードがシームレスに連携するため、専門家と業務担当者が互いの作業内容を可視化・共有でき、プロジェクトのブラックボックス化を防ぎます。

この協業環境があることで、それぞれの専門性を持つメンバーが、以下のような主要な機能を共同で利用しながらプロジェクトを進めることができます。

  • データ準備

    社内に散在する様々なデータソースに接続し、GUI操作でデータのクレンジングや変換ができます。
  • データ分析・機械学習

    AutoML(自動機械学習)機能で予測モデル構築を自動化し、専門家でなくても高精度なモデルを素早く作成できます。
  • 運用とアクションへの接続

    開発したAIモデルを「作って終わり」にせず、本番環境へスムーズに展開し、その後のパフォーマンス監視や再学習までを一元管理します。さらに、定型的な分析フローを自動化し、常に最新の予測結果を得られる仕組みを構築できます。

3.Dataikuを使ったデータ分析・活用

Dataikuが実際にどのように動作するのか、あるスーパーマーケットの売上データを使った分析のデモ画面に沿ってみていきましょう。

1) データ準備

ご利用のクラウド上のDBサービスから連携、またはcsvなどのファイルをアップロードして分析対象のデータを読み込みます。

スプレッドシートのような画面で「データの型変換」や「不要な列の削除」、「データの補完」などが直感的に可能です。

2) データ分析・機械学習

Dataiku上で加工したデータは生成AIを利用した自然文でのデータ分析や、ノーコードのAutoML /カスタマイズ可能なフルコードの機械学習モデル構築等、スキルレベルに応じた様々な手法で活用されます。もちろんDataiku以外のツールにて加工済みのデータをそのまま利用することも可能です◎

  • 画面左上に自然言語で知りたい結果を入力→自動的にSQLが生成され画面下部に結果を表示(日本語可)
参照元:https://knowledge.dataiku.com/latest/code/sql/concept-ai-sql-assistant.html
  • AutoMLまたはカスタムで機械学習モデル構築を選択可

今回はノーコードのAutoMLを用いて『ワインを購入する人の特徴』を分析するモデルを構築してみます。AutoMLを選択すると、複数の機械学習手法を用いた結果が表示されるため、制度を比較しながら「最も適した」手法をユーザーが選択して活用することが可能です。

ランダムフォレストの結果から、さらに決定木モデルにて分岐を可視化することも可能です。以下の結果から『ワインを購入する人の特徴は、菓子類は購入せず、購入点数は1点~4点(いずれも小数点以下は切り上げ)である』という示唆を得られました。

3) 運用とアクションへの接続

AIモデルは、ビジネスで活用して初めて価値を生みます。Dataikuは、分析結果を実際の業務アクションにつなげるための機能も充実しています。

  • AIエージェントによる運用の自動化

    ステップ2までで作成した予測モデルを『AIエージェント』と組み合わせることで、チャットボット形式でいつでも簡単に結果の参照が可能です。普段分析業務に慣れていないユーザーも、使い慣れたチャット形式の画面から予測結果を確認することができるため、データの民主化に最適です。
参照元:https://www.youtube.com/watch?v=TZCUL-PNfT0
  • アクションの自動化

    例えば、先ほどの『ワインを購入する人』の予測モデルを使い、AIエージェントが生成した顧客リストをAPI連携で外部システム(例:MAツール)に自動で送信。「ワインを購入しそうな顧客」に対し、最適なタイミングでクーポンを配信する、といった施策までを完全に自動化できます。
  • 結果のダッシュボード化

    予測結果や重要な指標をまとめたダッシュボードを作成し、関係者とリアルタイムで共有。マーケティング担当者はいつでも最新の状況を把握できます。
参照元:https://blog.dataiku.com/interactive-web-apps-dashboards
  • 精度のモニタリング

    一度作ったモデルの精度が時間と共に落ちていないかを自動で監視。精度が低下した際にはアラートを出し、再学習を促すなど、AIの価値を継続的に維持します。
参照元:https://www.dataiku.com/ja/%E8%A3%BD%E5%93%81/key-capabilities/mlops/

そして、これら「データ準備〜分析〜運用」までの一連の流れは、すべて下図のようなフローで可視化されます。これにより、業務の引き継ぎが容易になるだけでなく、プロジェクト全体の透明性が保たれます。

参照元:https://www.youtube.com/watch?v=TZCUL-PNfT0

4.こんな業務にすぐ使える!Dataiku活用シナリオ例

Dataikuは、特定の部署だけでなく、企業のあらゆる部門で活用できます。例として以下4部門とそれぞれのユースケースをご紹介しておりますが、記載の限りではなく、幅広い部門または全社的にご利用いただくことが可能です。

営業部門

  • 過去の受注実績データから「受注確度の高い見込み顧客リスト」を自動で作成し、営業活動を効率化

マーケティング部門

  • 顧客データから解約確率を予測し、退会防止キャンペーンを最適なタイミングで実施

製造部門

  • 機器のセンサーデータから故障の予兆を検知し、工場のダウンタイムを最小化する予知保全を実現

経理部門

  • 請求書や領収書のデータを読み取り、手作業による仕訳作業を自動化

5.【層別メリット】Dataikuがもたらす3つの変革

では、Dataikuを導入することで、AI活用の壁はどのように乗り越えられるのでしょうか?「誰に」「どのようなメリット」があるのかを具体的に解説します。

【業務部門の担当者向け】”自分ごと”としてAIを活用

  • 専門知識のハードルを低減

    Excelのピボットテーブルのような感覚で、データ集計や可視化、さらには将来予測までを自分自身の手で行えます。
  • 業務知識をフル活用

    「このデータとこのデータを組み合わせれば、新しいインサイトが得られるのでは?」といった現場ならではのアイデアを、すぐに試して形にできます。
  • 納得感のあるAI活用

    専門家が作成した分析プロセスもビジュアルで確認できるため、アウトプットの根拠を深く理解でき、自信を持ってビジネスのアクションに繋げられます。

【データサイエンティスト/専門チーム向け】”本来の業務”に集中

  • 定型業務からの解放

    データの前処理やレポート作成といった時間のかかる作業を効率化・自動化し、より高度な分析やモデル開発という創造的な業務に集中できます。
  • 円滑なコラボレーション

    業務部門からの要件定義やフィードバックが、共通のプラットフォーム上で行えるため、認識の齟齬や手戻りを大幅に削減できます。
  • ナレッジの共有と再利用

    作成した分析フローやコンポーネントを組織の資産として蓄積・共有できます。これにより、プロジェクトの属人化を防ぎ、組織全体の分析レベルを底上げします。

【マネージャー/経営層向け】AI投資のROI(投資対効果)を最大化

  • プロジェクトの可視化とガバナンス強化

    誰が、いつ、どのようなデータを使って分析を行ったかが全て記録されるため、プロジェクトの進捗管理とAI活用の統制を両立できます。
  • 迅速な価値創出

    PoCから本番展開までのサイクルを高速化し、ビジネス成果に繋がるまでの時間を劇的に短縮します。
  • 全社的なAI人材育成

    ツールを使うことを通じて、社員のデータリテラシーが自然と向上します。これは、外部からの採用に頼るだけでなく、社内でデータ活用文化を醸成し、持続的な成長を促すことに繋がります。

6.さいごに

Dataikuは、単なる高機能な分析ツールではありません。多様なスキルを持つ人々が協業し、組織全体でデータから価値を生み出すための「文化」そのものを育むプラットフォームです。専門家と業務部門が同じ土俵に立ち、それぞれの知見を掛け合わせることで、AIは初めて真のビジネス価値を発揮します。Dataikuは、そのための最適な環境を提供し、貴社のAI活用を次のステージへと導きます!

弊社では導入検討~活用促進まで、お客様のデータ活用を成功に導くための各種サービスを提供しております。
「まずは説明のみ聞いてみたい!」といった方も、ぜひ下記問い合わせフォームよりお問い合わせください。


 

ページのトップへ