【watsonx Orchestrate】ADK (Agent Development Kit) をインストールして開発環境を構築する
投稿者:和田
こんにちは。
D&A事業本部の和田です。
これは、 Team xG Advent Calendar 2025 19日目の記事です。
今回は、IBMのAIエージェントツールである watsonx Orchestrate の開発キットであるADK (Agent Development Kit) の導入手順についてまとめたいと思います。
ADKを使用すると、YAML定義でエージェントを設計したり、Pythonでカスタムツールを作成したりと、watsonx Orchestrateのエージェント開発をローカル環境で効率的に行うことができます。
◼️前提条件
ADKを利用するには、以下の環境が必要です。
- Python 3.11 以上: インストールされていない場合は、公式サイトからインストーラーをダウンロードする等してインストールしてください。
- watsonx Orchestrate アカウント: SaaS版(IBM CloudやAWS)またはオンプレミス版の環境へのアクセス権が必要です。
1. ADKのインストール
ADKはPythonパッケージとして提供されているため、pip コマンドで簡単にインストールできます。
環境を汚さないために、今回は仮想環境(venv)を作成してインストールします。
◼️仮想環境の作成と有効化
# プロジェクト用のディレクトリを作成
mkdir my-adk-project
cd my-adk-project
# 仮想環境を作成 (.venvという名前で作成する場合)
python -m venv .venv
# 仮想環境を有効化 (Mac/Linux)
source ./.venv/bin/activate
# 仮想環境を有効化 (Windows)
.\.venv\Scripts\activate
◼️パッケージのインストール
仮想環境が有効化された状態で、以下のコマンドを実行してADKをインストールします。
pip install ibm-watsonx-orchestrate
インストールが完了すれば、orchestrate コマンドが利用可能になります。
2. 環境設定
インストールができたら、ローカルのADKをwatsonx Orchestrateのインスタンスに接続するための設定を行います。
◼️接続情報の取得
接続には サービス・インスタンスURL と APIキー が必要です。
手順は以下の通りです。
- watsonx Orchestrateの画面にログインします。
- 右上のユーザーアイコンをクリックし、設定を選択します。

- APIの詳細 タブを開きます。

- サービス・インスタンスURL をコピーします。
- API キーの生成 ボタンをクリックし、APIキーを生成・コピーします。
◼️環境の追加
取得した情報を使って、ADKに環境を追加します。ターミナルで以下のコマンドを実行してください。
# <environment-name>: 任意の環境名(例: dev-env)
# <service-instance-url>: コピーしたサービス・インスタンスURL
orchestrate env add -n <environment-name> -u <service-instance-url> --type ibm_iam --activate
- –type オプションは環境によって異なります。
- IBM Cloud: ibm_iam
- AWS: mcsp
- オンプレミス: cpd (またはAPIキー認証の場合は指定なしで自動判定)
- –activate オプションを付けることで、追加と同時にその環境がアクティブになります。
もし環境の切り替えを行いたい場合は、以下のコマンドでアクティブ化できます。
orchestrate env activate <environment-name>
コマンドを実行すると、APIキーの入力を求められます。
ここで、先ほど取得した APIキーをペーストして Enter キーを押してください。 (※セキュリティのため、入力したキーは画面に表示されない場合がありますが、そのままペーストして実行してください)
3. 動作確認 (Hello World エージェントの作成)
設定が正しく行われたか確認するために、シンプルな「Hello World」エージェントを作成してデプロイしてみましょう。
◼️エージェント定義ファイルの作成
プロジェクトフォルダ内に agents というディレクトリを作成し、その中に hello-world-agent.yaml というファイルを作成します。
spec_version: v1
kind: native
name: Hello_World_Agent
description: 挨拶をするエージェント
instructions: "あなたは watsonx Orchestrate ADK の使い方を学ぶチュートリアルのために作成されたテストエージェントです。ユーザーが「あなたは誰ですか」と尋ねたら、次のように答えてください:私は Hello World Agent です。watsonx Orchestrate ADK 入門チュートリアルの完了おめでとうございます!"
llm: watsonx/meta-llama/llama-3-2-90b-vision-instruct
style: default
collaborators: []
tools: []
◼️エージェントのインポート
作成したYAMLファイルがあるディレクトリで、以下のコマンドを実行してエージェントをwatsonx orchestrate環境にインポートします。
orchestrate agents import -f hello-world-agent.yaml
成功すると、以下のようなメッセージが表示されます。
[INFO] - Agent 'Hello World Agent' imported successfully
◼️ブラウザで確認
watsonx Orchestrateの画面に戻り、「ビルド」を開きます。一覧に「Hello_World_Agent」が追加されているはずです。

チャット画面で「こんにちは」と話しかけて、設定した通りの返答が返ってくれば成功です!

まとめ
これでwatsonx Orchestrate ADKのインストールと初期設定が完了しました。
ADKを使うことで、エージェントの構成をコードで管理できるため、バージョン管理やチーム開発がしやすくなります。 また、ADKを使わないと設定できない項目もあるため、より高度で柔軟なエージェントを開発するためには必須のツールと言えます。ぜひ、ADKを活用して、より高度で柔軟なエージェント開発にチャレンジしてみてください!!



