若手SEがSDPFにHyper-Vを構築した!(前編)
投稿者:安部
目次
- はじめに
- ベアメタルサーバーのプロビジョニング/構築
- Hyper-Vとは
- Hyper-Vのインストール
- 仮想スイッチの作成
- 仮想マシンの作成
- まとめ
はじめに
みなさん、こんにちは!突然ですが、SDPFをご存じでしょうか?
SDPFとはSmart Data Platformの略でNTTドコモビジネス (旧NTTコミュニケーションズ) が提供するクラウドプラットフォームサービスです。AWSやMicrosoft Azureと同じような位置づけのパブリッククラウドと考えていただけると分かりやすいと思います。SDPFでは、データの収集から蓄積、管理分析に至るまで、データ利活用に必要な機能をワンストップで提供しています。
今回はSDPFで提供されるベアメタルサーバーを使用します。ベアメタルサーバーとは物理サーバーを専有できるサービスです。
特徴としては以下の点が挙げられます。
・初期費用なしで利用可能
・既存環境からの移行がスムーズ
・占有環境がポータルからオンデマンドに利用可能
ベアメタルサーバーのプロビジョニング/構築からHyper-Vのインストール/仮想マシン作成までの一連の流れを前編・後編に分けてご紹介いたします。前編では、ベアメタルサーバーのプロビジョニング/構築についてご説明いたします!
以下に示す図において、赤枠で囲まれた部分が今回の構築対象範囲となります。
※SDPFを利用するにあたり、まず、NTTドコモビジネス ビジネスポータルの利用申し込みが必要です。利用開始後、SDPFサービスの申し込みを行います。その後、ワークスペースとテナントを作成します。これにより、サーバーなどのリソースが利用可能となります。今回はテナントまで作成されている状態です。
※ベアメタルサーバーを構築するにあたり、事前に接続するロジカルネットワークを作成する必要があります。本環境ではすでに作成されています。

今回はHyper-Vホスト上に仮想マシン(VM)を作成します。Hyper-Vホストであるベアメタルサーバーは、以下の画像のように物理NICポートを4ポート搭載しています。それぞれロジカルネットワークにおける、データプレーン接続用に2ポート、ストレージプレーン接続用に2ポートを利用することが可能です。データプレーンはデータ通信用、ストレージプレーンはストレージ・サーバー間通信専用のロジカルネットワークです。ネットワークカード1に収容されているポートのみを利用することも可能ですが、物理NICポートやスイッチに障害が発生した際には通信が途絶してしまうリスクがあります。そのため、SDPFでは冗長構成を組むことを推奨しています。今回はデータプレーン接続用の2ポートをチーミングし、2つのロジカルネットワークに接続します。1つ目は主に一般的なデータ通信に使用するLogicalNet-01です。2つ目はデータのバックアップを取得する際に使用するLogicalNet-02です。

ベアメタルサーバーのプロビジョニング/構築
※本稿で使用しているSDPFの操作画面の画像は公式ナレッジセンターに掲載されているものとなります。読者の皆様がイメージをつかみやすいように掲載していますが、実際の設定値とは異なりますので、その点ご了承ください。
プロビジョニング
SDPFポータルにログインし、ヘッダーにある「メニュー」を展開し、「物理サーバー」の中の「ベアメタルサーバー」をクリックします。
「物理サーバー」はページを少し下にスクロールすると表示されます。

利用するリージョンを選択します。今回はjp8リージョンに、サーバーをプロビジョンするため、「jp8リージョン(日本/西日本)」の「選択」をクリックします。

「サーバーリスト」画面に遷移したら「+サーバーの新規作成」をクリックします。

「サーバーの新規作成」画面が開いたらまず、「詳細」タブを入力します。こちらではベアメタルサーバーのOS上のホスト名や、起動イメージの指定、ベアメタルサーバーを設置するグループ/ゾーンの設定を行います。今回はHyper-Vを構築するので、Hyper-Vのシステム要件を満たすフレーバーとOSのオフィシャルイメージテンプレートを使用しています。
※Hyper-Vのシステム要件に関する詳細は以下をご確認ください。
Windows および Windows Server での Hyper-V のシステム要件
本環境での設定値は以下となります:
2-1. サーバー名:bms-sdpf-01
2-2. フレーバー:General Purpose 2 v4
2-3. イメージ:WindowsServer-2019_Datacenter_64_include-license_baremetal-server_01
2-4. ゾーン/グループ:zone1-groupb

次に「アクセスとセキュリティー」タブに移動し、任意の「管理者パスワード」を入力します。こちらはOSの管理者パスワードとなります。
※「パスワードを表示」にチェックを入れるとパスワードが表示されます。

続いて、「ネットワーク」タブにてサーバーが属するネットワーク、およびIPアドレスの指定を行います。今回はLogicalNet-01とLogicalNet-02に接続をしますが、ベアメタルサーバー作成時には1NICにつき1つのロジカルネットワークしか設定できないため、ここではまずLogicalNet-01を指定します。
本環境での設定値は以下となります:
4-1. ロジカルネットワーク1:LogicalNet-01 Plane:Data,(10.0.32.0/24)
4-2. IPアドレス1:10.0.32.5

「ディスク」「Post-Install script」「メタデータ」「パーソナリティー」タブの設定は今回は変更しないため、既定値のままにします。最後に、右下の「サーバーの新規作成」をクリックし、プロビジョニングを開始します。

「サーバーリスト」画面に移動するので、作成したサーバー情報が表示されてることを確認します。
本環境では「bms-sdpf-01」が表示されています。
また、作成が完了するとステータス欄が「稼働中」、タスク欄が「なし」に変わります。

次に物理NICポートに接続するロジカルネットワークの追加を行います。
ベアメタルサーバーの作成時は、1つのNICに対して指定できるロジカルネットワークは1つのみです。そのため、複数のロジカルネットワークを接続したい場合は、サーバー作成後に追加のロジカルネットワークを設定する必要があります。
サーバーリストから対象のサーバーをクリックし、「物理NICポート」タブを選択します。

ロジカルネットワークを追加したいポートの「ポートをベアメタルサーバーに追加」をクリックします。

「ポートをベアメタルサーバーに追加」画面が出てきたら各項目を入力します。
今回はタグVLANを使用しセグメントを分割するため、「セグメント種別」に「vlan」を設定し、「セグメントID」にVLAN IDを入力します。入力が完了したら「ポートをベアメタルサーバーに追加」をクリックします。
本環境での設定値は以下となります:
ポート名:LogicalNet-02
ポートの説明:記載なし
ポートのタグ:記載なし
ロジカルネットワーク:LogicalNet-02(172.18.14.0/24)
セグメント種別:vlan
セグメントID:405
IPアドレスを自動で割り当てる:チェックしない

新しく「LogicalNet-02」というポートが作成されていることを確認します。対象ポートの右側アクション欄にある「+ポートの編集」を選択します。
Fixed IPタブに移動し、固定IPアドレスを設定します。設定が完了したら「ポートの編集」をクリックします。
「物理ポートの詳細」画面にて、ポート(LogicalNet-02)に固定IPが設定されたことを確認します。
次にベアメタルサーバー作成時に指定したロジカルネットワークの設定を変更します。現時点では固定IPが振られているのみで、「ポート名」「セグメント種別」「セグメントID」は初期設定となっているためです。
ベアメタルサーバー作成時に作成されたポートの右側にあるアクション欄から「ポートの編集」をクリックします。
「ポートの編集」画面が開いたら「基本情報」タブの各項目を入力します。
完了したら「ポートの編集」をクリックします。
本環境での設定値は以下となります:
ポート名:LogicalNet-01
ポートの説明:記載なし
ポートのタグ:記載なし
セグメント種別:vlan
セグメントID:105
「物理ポートの詳細」画面にて、「LogicalNet-01」に設定した項目が反映されていることを確認します。設定が完了したらステータス欄の「更新中」が「稼働中」となります。
SDPFが提供するオフィシャルイメージテンプレートを利用する際には、ライセンス認証を行うために共通機能ゲートウェイへの接続が必要です。そのため、必要に応じて共通機能ゲートウェイの作成も行ってください。
作成手順については以下の公式ナレッジを参考に実施してください。
共通機能ゲートウェイ構築手順
構築 ~NICチーミング~
Windowsの設定を行います。まず初めに、ベアメタルサーバーにリモートコンソールアクセスをします。詳細な手順は以下の公式ナレッジに記載されておりますので、本稿では割愛しております。
ベアメタルサーバーへのアクセス方法
ベアメタルサーバーにアクセスできましたら、必要に応じて言語・地域を日本語・日本に設定します。こちらも手順を割愛させていただきます。
次にNICチーミングを実施します。
NICチーミングとは、サーバ等に搭載した物理NIC(ネットワークアダプタ)を1つの仮想的なNICとして束ねる技術のことです。耐障害性を高めたり、帯域幅を拡張したりすることができます。SDPFでは前述したとおり、ベアメタルサーバにおいて物理NICポート4ポートが利用可能です。今回はデータプレーン2ポートをNICチーミングして、冗長構成を組んでいきます。
サーバーマネージャーを開き、「ローカルサーバー」タブの「NICチーミング」の「無効」をクリックします。

「チームのプロパティ」のポップアップが開くので、チーム名、チーム化するネットワークアダプターを選択します。また、「追加のプロパティ」を展開して、「チーミングモード」「負荷分散モード」「スタンバイアダプター」を選択します。「追加のプロパティ」の設定値についてはSDPFのナレッジセンターに記載されている以下のURLをご参考にしてください。今回はスタンバイアダプターを「Network 3」に設定しています。
Windows Server * 2012 */2012 R2 */2016 */2019 * に対応した NIC チーミングのセットアップ
※SDPFから提供されたデータプレーンの2ポートがOS上のどのNICに対応しているかは、SDPFポータル上の「物理NICポート」に記載されているMACアドレスと照らし合わせて確認をお願いいたします。

次に、チームインターフェイス(VLAN)の追加を行います。今回は「TEAM-A VLAN-105」と「TEAM-A VLAN-405」の2つ作成します。
まず、「TEAM-A VLAN-105」を作成します。「チーム」欄にてVLANを作成するチームを選択して、「アダプターとインターフェイス」欄の「チームインターフェース」タブに移動します。「タスク」をクリックし、プルダウンメニューから「インターフェースの追加」を選択します。

「新しいチームインターフェイス」画面が開いたら、VLANの名前と、「特定のVLAN」にVLAN IDを入力します。

チームインターフェースが作成されてることを確認します。

「TEAM-A VLAN-105」の手順と同様に「TEAM-A VLAN-405」も作成します。
作成が完了したら「コントロールパネル」を開き、「ネットワークとインターネット」をクリックします。画面が移動したら「ネットワークと共有センター」を選択し、「アダプターの設定の変更」をクリックします。「ネットワーク接続」の画面が表示され、チームインターフェースが作成されていることを確認します。

次に作成したチーミングのインターフェイスに対し、IPアドレスなどの設定を行っていきます。
まずは「TEAM-A VLAN-105」に設定します。「TEAM-A VLAN-105」を右クリックし、「プロパティ」をクリックします。「TEAM-A VLAN-105」のプロパティが表示されたら「ネットワーク」タブから「インターネット プロトコル バージョン 4 (TCP/IPv4)」を選択します。続けて「プロパティ」をクリックしたら以下の画面が表示されます。

「次のIPアドレスを使う」のラジオボタンを選択し、各項目を入力します。DNSサーバーを指定したい場合は「次のDNSサーバーのアドレスを使う」のラジオボタンを選択し、各項目を入力します。入力が完了したら「OK」をクリックします。

「TEAM-A VLAN-405」も同様に設定を行い、設定完了となります!ここまででベアメタルサーバーの基本的な設定が完了しました。次回は後編として「Hyper-Vとは」からをご紹介いたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも皆様のお役に立てる内容であれば幸いです。
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