【実践編】Dataikuで実現する「AIエージェント×データ分析」~売上課題の発見から生成AIによる施策実行まで:販促高度化~
投稿者:杉山
目次
- はじめに:小売業界を悩ませる「ツールの分断」と「AI活用の壁」
- Dataikuとは?:分析から実行までを統合する「AIオーケストレーション」基盤
- なぜDataikuか?:マルチエージェント管理とLLMの最適化
- 実践!AIを活用した次世代の販促フロー
- 製造・金融でも応用可能:全業界共通の「勝ちパターン」
- アーキテクチャのご紹介
- さいごに
1.はじめに:小売業界を悩ませる「ツールの分断」と「AI活用の壁」

変化の激しい小売・流通業界において、売上最大化のミッションを背負うマーケティング担当者の業務は複雑化の一途をたどっています。 日々蓄積される膨大な購買データ、顧客データに向き合い、最適な施策を打つ。しかし、現場では以下のような「非効率」が常態化していないでしょうか。
ツールのサイロ化
- 「売上分析はBIツール」「ターゲティングは分析専用ツール」「施策実行はMA(マーケティングオートメーション)ツール」「効果検証はまた別のExcel……」といった具合に、ツールとデータが分断されている。
プロセスの断絶
- ツールを行き来するたびにデータの加工や変換が必要となり、本来最も重要な「どんな施策を打つか(企画)」に割くべき時間が奪われている。
また、多くの企業でAI導入が進んでいますが、「一部の専門家に業務が集中している」「現場担当者が使いこなせていない」という課題も根深く残っています。
本記事では、この分断されたプロセスを一つのプラットフォームで統合し、最新の「マルチエージェント」技術を活用して業務を劇的に効率化する「Dataiku」のアプローチをご紹介します!
2.Dataikuとは?:分析から実行までを統合する「AIオーケストレーション」基盤

Dataikuは、単なるデータ分析ツールではありません。データの準備からAIモデルの構築、そしてビジネスアクションの実行までを、単一のインターフェースで完結させる統合プラットフォームです。
最大の特徴は、専門的なコードを書くデータサイエンティストと、ビジネスの現場を知る業務担当者が、同じ場所で協業できる「コラボレーティブ(協業)」な環境である点です。 ビジュアル操作(ノーコード)でのデータ処理と、高度なコード記述が共存できるため、属人化を防ぎながらプロジェクトを推進できます。
これにより、「分析」「予測」「実行」「検証」というこれまで分断されていたプロセスが、単一のワークフローとして統合されます。

各機能に関する説明は、前回のブログ『なぜ、あの企業はAIを全社展開できるのか?Dataikuが実現する「データ分析の民主化」とは』をご参照ください。
3.なぜDataikuか?:マルチエージェント管理とLLMの最適化
昨今の生成AIブームにより、GeminiやChatGPTなどを個別に利用している企業も多いと思います。では、なぜ企業として「Dataiku」というプラットフォームが必要なのでしょうか? その答えは、「マルチエージェント管理」と「LLM(大規模言語モデル)の統制」にあります。
1)LLMの切り替えと最適化
ビジネスの課題は多岐にわたり、一つのAIモデルですべてを解決することはできません。Dataikuでは、分析には分析特化のモデル、文章生成や画像生成にはクリエイティブ特化のモデルといったように、用途に応じて最適なLLMを切り替えて利用することが可能です。また、新しいモデルが登場した際も、プラットフォーム上でスムーズに移行・検証が行えます。
2)AIエージェントの統合管理(オーケストレーション)
作成されたエージェントを一元管理することで、社内に多数のAIエージェントが乱立してしまうリスク(野良AI化)を防ぎ、誰が・いつ・どのモデルを使って・どんな処理を行ったかを確認することが可能です。企業として安心してAIを全社展開できます。
4.実践!AIを活用した次世代の販促フロー
では、Dataikuを活用することで、小売業界の販促業務はどう変わるのか!具体的な4つのステップで見てみたいと思います。
Step 1:分析(課題の発見)

- BIツールを開くことなく、Dataiku上で店舗・商品・顧客データを統合します。「2025年の渋谷区エリアの店舗別売上を比較して」といった自然言語での問いかけで、AIエージェントが即座にグラフを描画します。


- 内部データや外部データとも組み合わせながら分析が可能です。


- 定期的に確認したい指標についてはレポート形式(Dataiku内のInsights)で保存し、アドホックな分析以外にも活用が可能です。




※追加開発が必要な機能です。『6.アーキテクチャのご紹介』にて解説を記載しています。
Step 2:予測(ターゲットの特定)

- 分析フェーズで「勢いがない商品(例:アルコール飲料)」を特定し、DataikuのAutoML(自動機械学習)機能でアルコール飲料を購入する確率が高い顧客を予測します。ここではチャット画面で「20歳未満を除外する」といったビジネスルールを追加することも可能です。

Step 3:施策実行(アクションへの接続)

- キャンペーン用の画像生成(例:クラフトビールの画像)や配信メールの文面作成も、エージェントがその場で実行します。



- 実際にMAツールでメルマガを配信するために、Step 2 で得た結果をCSVにエクスポートしたりダウンロードする必要はありません。DataikuからシームレスにMAツール(例:TreasureData)へ連携します。


Step 4:効果検証(結果の確認と学習)

- MAツールにて配信したメルマガの効果測定も結果をDataikuに戻すことで同じチャット画面から確認が可能です。


ご紹介した Step 1から Step 4 までは、すべてDataikuのAgent Hubという1つのI/Fで指示・実行しています。ツールのサイロ化やプロセスの断絶に悩まされていた方々にとって、このPDCAサイクルの高速化はとても魅力的ではないでしょうか?

5.製造・金融でも応用可能:全業界共通の「勝ちパターン」
今回ご紹介した「データの統合 → AIによる予測 → アクションの自動化」という流れは、小売業界に限ったものではありません。Dataikuはあらゆる業界で同様の変革を実現します。
- 製造業(予知保全)
センサーデータの収集(統合)→ 故障の予兆を検知(予測)→ メンテナンス担当者へのアラート通知や部品発注(実行)といったプロセスを自動化し、工場のダウンタイムを最小化します。 - 金融業(不正検知・与信管理)
取引データのモニタリング(統合)→ 不正利用や貸し倒れリスクのスコアリング(予測)→ 取引の一時停止やアラート発報(実行)をリアルタイムに行い、リスク管理を強化します。また、AIエージェントを活用した社内規定の照会などにも活用可能です。
6.アーキテクチャのご紹介
構成図
今回はPOSデータやマスタのデータの置き場所としてGoogle BigQuery、社内ドキュメントの置き場所としてGoogle Drive、メルマガ配信を行うMAツールとしてTreasure Dataを利用しています。名前の通り、DataikuのAgentHubがそれぞれのツールのHubとなり、分析~効果検証までを単一のI/Fで実行している図が以下の通りです。

Dataiku内の詳細な構成イメージは以下2つのFlow画面を用いてご紹介します。
1)売上分析
- トランザクションデータ(POS)と各種マスタデータ(店舗、顧客、商品)を、Join recipeを用いて1つのテーブルに結合します。
- 結合したデータをVisual recipeを用いてクレンジングします。これにより、AIエージェントがデータ分析する際の精度を高めます。
- GoogleDrive等の社内ドライブに接続し、Embed recipeを用いて内部データをエンベディングします。これにより、売上データのみならずドキュメントデータ(売上計画等)も加味した分析が可能です。

2)購入予測
- 商品の購入確度の高い顧客Predict recipeを用い、AutoMLでデータ抽出をします。
- 抽出した結果は、Prepare recipeやSync recipeを用いてクレンジング→DWHへ戻すような処理をします。

その他今回作成したエージェント(全7種類)を以下にまとめてみました。いずれも上記の3つのエージェントと同様にFlowにて定義されており、データの源泉からどういった処理がされたかを一目で把握することが可能です。
| 売上分析エージェント | ・売上データベース(BigQuery)に接続し、実績データの抽出や分析を実施する ・社内GoogleDriveで管理する売上計画を参照し、予実達成状況を明らかにする |
| Google Searchエージェント | ・Google Search(外部情報検索)を行う |
| Insight生成エージェント | ・チャット画面で作成したグラフを、DataikuのBI機能にデプロイする(BIとして継続管理する) |
| 購入予測エージェント | ・顧客ごとの商品の購入予測結果を抽出する |
| MA連携エージェント | ・購入予測エージェントで抽出した顧客セグメントをMAツール(TreasureData)に自動連携する ・過去実施した施策情報(反応の良かった文章、施策効果の高かった割引率)を元に、メルマガ配信コンテンツ内容の作成を支援する |
| 画像生成エージェント | ・画像を生成する |
| 施策効果検証エージェント | ・施策の効果検証 |
実装のポイント
Agent Hub上で作成したグラフはDataiku上のInsightsに保存不可であるため、『Insight生成エージェント』を開発して実装しています。 ※2025/12/26時点
〇『Insight生成エージェント』
- ChartGenerateで作成したグラフのSQLを解析
- Insight設定用のJSONを作成
- APIでInsight作成
Agent Hub上で動かすエージェントのLLM切り替えは標準機能では不可であるため、同じ目的のエージェントを利用頻度の高い2種類のLLMで作成しています。 ※2025/12/26時点
〇『売上分析エージェント』『MA連携エージェント』実装のポイント
- ユーザーがLLMを選択して切り替えられるように『Gemini版』と『GPT版』の2種類を実装
- 利用頻度の高いエージェントをAgent HubのMonitoring機能で確認し乱立を防止
Dataikuには、ビジネスユーザが自身で実装しやすい標準GUIベースのエージェントツール /AIエージェントに加え、開発ユーザ向けにオリジナルのエージェントツール /AIエージェントを開発する自由度の高さもあります。本ブログでは2つの方法を組み合わせて実装した例になりますので、ぜひご参考になれば幸いです。
7.さいごに
「分析」だけでなく、その先の「アクション」までをAIエージェントが繋ぐことで、データ活用のスピードと質は劇的に向上します。弊社では導入検討~活用促進まで、お客様のデータ活用を成功に導くための各種サービスを提供しております。Dataikuを活用した販促の高度化にご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
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▼ 【動画】Dataikuで実現する統合ワークフローのデモ
本記事で解説した小売業界向けシナリオを、実際のDataiku画面を使って実演したデモ動画です。AIエージェントがどのように業務をつなぐのか、ぜひその目でご確認ください。
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