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【デネクトの和】#13「完璧なExcelデータ集計」より、みんなで触れる「生きたデータ」に。AIエージェント×最新BIで始めるセルフサービス分析

投稿者:danect⁺コラム


「AI=電気や水道のような当たり前の存在」となりはじめた今、ふとデスクトップを見ればいくつものExcelファイル。DXや生成AIといった新しい取り組みや技術で業務改革や新しいツールが導入されても、私たちの指先は相変わらず手動のコピペや集計作業から離れられずにいるケースはまだ多く残っています。
例えば、苦労して作ったExcelの棒グラフに対し、上司から「先週Aエリアの中でも売上不調がだった店舗はどこ?」と問われ、「持ち帰って再集計します」と答えた瞬間に会議の生産性は一気に下がります。 なぜツールがあっても、私たちは「Excel=静止画」を頼りに会議を進めてしまうのでしょうか。
今回は「Excel業務」と「セルフサービス分析」について解説していきます。

1.多くの人がExcelを好む理由=「個人の思考ツール」として優秀だから

前回のコラム(#12)でも触れましたが、多くの企業が最新のBIツールを導入しても、結局現場ではExcel作業が残るというパラドックスが発生しています。なぜでしょうか?
それは、Excelが個人の思考整理ツールとしてあまりにも優秀だからです。
セルに数字を打ち込み、計算式を入れ、自分の手でデータを「こねる」感覚。そして、会議資料として印刷したときに一番美しく見えるようにフォントや色を調整する。このプロセスそのものが、いつしか「仕事」だと錯覚されてしまうのです。自分の手で加工したデータには愛着が湧きますし、苦労して作ったグラフには達成感があります。
しかし、厳しい言い方をすれば、ここで出来上がるのは「死んだデータ(Static Data)」です。
Excelファイルになった瞬間、データは鮮度を失います。前日の夜にシステムからダウンロードしたCSVデータは、今の瞬間も動き続けているビジネスの実態とは乖離しています。 さらに致命的なのは、そのグラフが一方通行であることです。
「なぜ?」と問われても、Excelのグラフは答えを持っていません。 画像として貼り付けられたグラフをクリックしても、ドリルダウン(詳細への掘り下げ)はできませんし、その場でフィルタ条件を変えて「もしキャンペーンを除外したら?」といったシミュレーションをすることも不可能です。
そこにあるのは、「過去の結果」をきれいにラッピングした報告書であって、「未来の意思決定」のためのコックピットではないのです。

2.「見る」だけじゃ足りない。「触る」分析への転換

では、最新BIツールの世界とはどのようなものでしょうか。 ここで誤解していただきたくないのは、BIツールを単なる「きれいなグラフが表示されるダッシュボード」だと思わないでほしい、という点です。ExcelをそのままWeb画面に置き換えただけでは、本質的な解決にはなりません。最近のトレンドである「セルフサービス Explore(探索)」機能こそが、Excelとの決定的な違いを生み出します。

  1. グラフは「静止画」ではなく「入り口」
    最新のBIツールにおいて、画面に表示されているグラフは「結果」ではなく、分析の「入り口」に過ぎません。
    例えば、「関東地方の売上が悪い」ことを示す棒グラフがあったとしましょう。Excelならそこで終わりですが、セルフサービス分析に対応したツールなら、その「関東地方」の棒グラフをクリックするだけで、次のようなアクションが可能になります。
      「関東地方の内訳は?(県別ドリルダウン)」
      「どの店舗が不調なのか?(店舗別ドリルダウン)」
      「特定の商品カテゴリが影響しているのか?(商品別ドリルダウン)」
    会議中に「この原因は?」と聞かれたら、その場でクリックして「あ、A店舗で特定の商品が在庫切れを起こしていた影響ですね」と回答できる。これこそが、データドリブンな会議です。
  2. 全員が「同じ数字」を見る(Single Source of Truth)
    Excel業務で最も恐ろしい現象をご存じでしょうか? それは、「部長の持っているExcelと、課長の持っているExcelで、同じはずの売上数字が微妙に合わない」という事件です。
    それぞれが独自の計算式を入れたり、フィルタのかけ方を間違えたりして、「俺のExcel」を作ってしまうため、どれが正解かわからなくなる。これを「データのサイロ化」と呼びます。
    モダンなBIツールでは、データの定義(ロジック)を一元管理します。「粗利」の定義は全社で一つだけ。誰がいつ分析しても、必ず同じ定義に基づいた正しい数字が出てくる。これが「Single Source of Truth(信頼できる唯一の情報源)」です。 数字の整合性確認に時間を費やすのは、もう終わりにしましょう。

3.対比で見る「Excel業務」vs「セルフサービス分析」

今回、分かりやすく比較表をご用意いたしました。

比較項目Excel中心の業務(Before)セルフサービス分析(After)
データの鮮度「昨日のデータ」をCSVでDLして加工
会議の時点ですでに古い
DWHに直結しており、常に最新(リアルタイム)
会議中も更新される
質問への対応「持ち帰って再集計します」
回答は翌日のメール
「その場でクリックして見てみましょう」
会議内で原因特定・意思決定が完了
作業の比重データの整形・転記・グラフの色調整に
8割の時間を使う。考える時間は2割
データ準備は自動化
人間は「なぜ?」を考える分析に100%集中できる
共有方法ファイルをメール添付
「最新版_v2_final.xlsx」が乱立
URLをSlack等で共有するだけ
全員が常に同じ最新画面を見る
分析の深さ「何が起きたか(集計)」で止まる
定型レポートの枠を出ない
「なぜ起きたか(発見)」へ進める
セルフサービスで未知の知見を探せる

いかがでしょうか。 Excelが決して悪いツールというわけではありません。手元の数行のデータをさっと計算したり、個人のメモとして使ったりするには最強のツールです。しかし、組織の意思決定や、膨大なデータを扱う「分析」においては、もはやExcelは限界を迎えているのです。

4.心理的な壁をどう乗り越えるか?3ステップで変われます

ここまで読んでも、「頭ではわかるけど、現場はExcelに慣れ親しんでいるから…」と躊躇する方もいるでしょう。 人間は変化を嫌う生き物です。新しいツールを覚えるより、面倒でも慣れたExcel作業を続ける方が「楽」だと感じてしまうのです。
この壁を乗り越えるカギは、「小さな成功体験」と「環境整備」にあります。


ステップ1:「苦痛なルーティン」から解放する
いきなり「高度な分析をしろ」と言っても現場は動きません。 まずは、「毎週月曜の朝に1時間かけてやっているExcel集計作業」をBIツールに置き換えてあげてください。 「月曜の朝、画面を開けばすでにレポートができている」という体験こそが、現場を動かす最大のインセンティブになります。

ステップ2:分析の前段階、「データ準備」を怠らない
前回のコラム(#12)でも強調しましたが、分析ツールの導入失敗の多くは、「データが汚い」ことに起因します。 ツールを入れただけで魔法のように分析ができるわけではありません。その裏側で、Dataikuのようなデータ・オーケストレーションツールを使ってデータをきれいに整形し、BIツールが読み込みやすい形(データマート)にしておく必要があります。 「分析の8割を決めるデータ準備」をおろそかにしては、どんなに高機能なBIツールもただの「空の箱」になってしまいます。

ステップ3:AIの力を借りる
さらに2026年の今、私たちの味方になってくれるのが「AIエージェント」です。 Excelのマクロを組むのが大変なら、watsonx OrchestrateのようなAIエージェントに任せるという手もあります。
「このデータを集計してSlackに投げて」と指示するだけで、AIが裏側で動いてくれる。GUI操作だけでエージェントを作成し、ルーティンワークを自動化できる世界がすでに到来しています。 BIツールの分析結果をAIに解釈させ、要約コメントを生成させるような使い方も、これからのスタンダードになるでしょう。人間がやるべきは「転記作業」ではなく、データを見て「判断すること」です。

おわりに:データを「報告」から「発見」の道具へ

最新のBIツールを使って、データを触り、動かし、その奥にある「ビジネスの真実」を探索する。 そんな「セルフサービス分析」の文化が根付いたとき、あなたの会社は真のデータドリブン組織へと生まれ変わるはずです。
もし、「そうは言っても、ウチのデータはぐちゃぐちゃで…」「どのツールを選べばいいかわからない」とお悩みであれば、ぜひ私たちにご相談ください。 データの整備(Data Management)から、BIツールの導入、そしてAIエージェントの活用まで、新しい社名のもと、総力を挙げてサポートいたします。
2026年が、皆様にとって「脱・Excel集計」元年となりますように。


  お客様のデータ利活用やAI導入をご支援します

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