Looker 会話分析とTableau Agentは何が違う?生成AI分析を比較してみた
投稿者:鈴木
目次
1.はじめに
2.前提
3.検証
4.おわりに
1.はじめに
こんにちは、鈴木です。
近年、BIツールにおける生成AI機能は急速に進化しており、自然言語でのデータ分析が現実的な選択肢になってきています。
本記事では、以下の2つの機能を対象に、実データを用いた比較検証を行います。
- Lookerの「会話分析」
- Tableauの「Tableau Agent」
なお、筆者は普段Looker開発をメインにしているため、若干Looker寄りの視点が含まれる可能性があります。その点を踏まえつつ、可能な限りフラットな比較を心がけて整理した内容を共有します。
2.前提
2-1. 利用ツール
今回比較するのは、両ツールの「会話型インターフェース」です。
- Looker 会話分析:自然言語によるデータ探索・分析
- Tableau Agent :自然言語による分析・Viz生成
本記事では、第一弾としてLookerの会話分析と性質が近い「Tableau Agent」のみを比較対象としています。今後、Tableau Pulse(要約・インサイト配信)やLookerの生成AI機能とも比較していこうと思います。
各ツールのバージョンは以下の通り
- Looker:26.4.17
- Tableau Desktop:2026.1.0
2-2. 生成AI機能の利用におけるライセンス
- Looker 会話分析:Looker利用者であれば標準機能として利用可能
- Tableau Agent:「Tableau+」の追加ライセンスが必要
2-3. 利用データ
本検証では、以下4テーブルのドラッグストアのサンプルデータを使用します。
- 売上データ(t_sales)
- 商品マスタ(m_product)
- 顧客マスタ(m_customer)
- 店舗マスタ(m_store)
売上・商品・顧客・店舗といった、小売分析の典型的なユースケースを想定しています。
また、両ツールでは下記設定を統一しています。
- データを取りこみ日本語名のラベルを定義
- 分析用の基本指標は「売上金額 = amount × price」を作成(どちらの製品でも同じ定義に固定して比較します)
- ※Lookerではdescriptionの定義はしていない
3.検証
3-1. 比較観点
以下の観点で評価を行います。
- 自然言語理解
- 曖昧な質問への対応
- Viz生成
- 深掘りのしやすさ
- ビジネス文脈の理解
- インサイトの提供(示唆の質・自動性)
※⑥については、Tableau Agent単体では限定的な評価となる点に留意
3-2. 検証プロンプト
両ツールで同様の意図になるよう、以下のプロンプトを使用しました。
- 基本分析:売上の月次推移を教えて
- セグメント分析:年代別の売上構成比を出して
- ドリルダウン:売上が一番高い商品カテゴリは?その中で上位5商品を教えて
- 曖昧な質問:最近調子いい店舗ってどこ?
- 仮説検証:売上が伸びている要因を分析して
3-3. 検証結果
〇基本分析:売上の月次推移を教えて
<Looker表示結果>


<Tableau表示結果>


<結果>
どちらも問題なく想定通りの結果が返ってきました
〇セグメント分析:年代別の売上構成比を出して
<Looker表示結果>




<Tableau表示結果>


「年代」で回答してもらうために指示を変えてみます。結果は以下の通り。


<結果>
- Looker:「年代」というデータがない中、質問の意図をくみ取り生年月日をもとに年代別の構成比を表示
- Tableau:作成済みのフィールドをもとに構成比を表示(「年代」というフィールドを作成してからVizを作成)
〇ドリルダウン:売上が一番高い商品カテゴリは?その中で上位5商品を教えて
<Looker表示結果>


<Tableau表示結果>


Tableauは誤った結果を返したので指示を変えてみます。「年代」のときと同じく1つずつ指示をすれば想定通りの結果が出ました。結果は以下の通り。



<結果>
- Looker:1つの指示内で複数の意図を解釈し、段階的に分析を実行
- Tableau:複数の意図を同時に処理しようとすると、解釈が不安定になるケースあり。1つずつ指示を出せば想定通りの結果を表示
根拠


〇曖昧な質問:最近調子いい店舗ってどこ?
<Looker表示結果>


<Tableau表示結果>


<結果>
- Looker:売上金額の変化率を自動的に生成し曖昧な指示に対してインサイトを提示
- Tableau:要因を分析するためのグラフを提示(1つ目の質問では回答してくれなかったので、期間の指示を追加しました)
〇仮説検証:売上が伸びている要因を分析して
<Looker表示結果>



<Tableau表示結果>


<結果>
- Looker:様々な観点でデータを分析しインサイトを提示
- Tableau:売上が伸びている要因を分析するためのグラフを提示
3-4. 検証まとめ
| Looker 会話分析 | Tableau Agent | コメント | |
| ① 自然言語理解 | ・数値+サマリー+インサイトまで一体で出力 ・「何が起きているか」を文章で説明 | ・ユーザーの意図をVizに変換 ・説明は最小限 | Lookerは“回答”、Tableauは“可視化”を返す |
| ② 曖昧な質問への対応 | ・「直近+成長率+売上規模」を自動定義 ・複数の観点(トップ・成長率)で回答 | ・指標を明示せず、売上比較のVizを生成 | Lookerは問いを再定義する |
| ③ Viz生成 | ・必要十分なシンプルなグラフ | ・リッチで視覚的に優れたグラフ | 可視化表現ではTableauの強みが出る領域 |
| ④ 深掘りのしやすさ | ・会話の流れで連続的に分析可能 ・コンテキストを維持 | ・Viz単位の操作に寄る傾向 ・コンテキストの連続性はやや弱い | Lookerが優位 |
| ⑤ ビジネス文脈の理解 | ・semantic layerにより指標定義が明確 ・ビジネスロジックを前提に会話できる | ・データ構造ベースの理解 ・文脈はユーザー側に依存 | Lookerが優位 |
| ⑥インサイトの提供 | ・自動で要因分析・示唆を生成 例: ・季節性の指摘 ・カテゴリ別の成長要因 ・エリア別の異常値検出 | ・基本はグラフ生成のみ ・インサイトはユーザーが読み取る前提 ※「Create Dashboard Narratives with Tableau Agent」(Beta)では改善の兆しあり(もしくはTableau Pulseの利用) | Lookerは“考察まで出す”、Tableauは“材料を出す” |
今回の検証を通じて、以下のような使い分けが見えてきました。
- Looker:分析して答えを出すAI
- Tableau:分析のための可視化を行うAI
今回の実データ検証においては、Lookerの方が優位と感じる場面が明確に多い結果となりました。特に以下の領域では差が顕著です。
- インサイトの自動生成
- 要因分析
- 曖昧な問いの解釈
- ビジネス文脈の補完
一方で、以下の領域についてはTableau Agentが優位です。
- 可視化の表現力
- 探索の自由度
4.おわりに
本記事では、Looker と Tableauの生成AI機能を、実データを用いて比較しましたがいかがでしたでしょうか。
今回の検証観点においては、Looker 会話分析の方が優位と感じる場面が多い結果となりました。
特に、指標ベースの分析やインサイトの提供といった「意思決定に直結する領域」では、安定した強みが見られます。
一方で、Tableau Agentは可視化や探索の自由度に強みがあり、試行錯誤しながら気づきを得るような分析体験においては非常に有効です。
両者は単純な優劣ではなく、
- 正確な指標に基づいて意思決定を支援する Looker 会話分析
- 探索的にデータから発見を促す Tableau Agent
というように、設計思想そのものが異なるツールであると感じました。
生成AIの進化によってBIツールの役割は大きく変わりつつありますが、重要なのは「どちらが優れているか」ではなく、自社の分析文化や意思決定プロセスにどちらが適しているかです。
今後は、Tableau Agentのダッシュボード理解機能や、インサイト生成機能の進化によって、この評価も変わっていく可能性があります。引き続き検証を行いながら、アップデートしていきたいと思います。
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