【OVE+Fusion】「AI活用を見据えて考える」脱VMware―成果につなげる“戦略的なハイブリッドクラウド”実現法
投稿者:クラウド事業本部 クラウドビジネス部

今回は、TechTargetに掲載されたインタビュー記事を紹介します。
既存の仮想化環境のモダナイズをご検討の方向けに、AI時代に適したハイブリッド基盤(仮想化+コンテナ)がどのようなものであるべきかご紹介します。
是非、ご覧ください。
以下、アイティメディアからの転載記事
「コスト削減とDX推進」を無理なく両立するには
「AI活用を見据えて考える」脱VMware
―成果につなげる
“戦略的なハイブリッドクラウド”実現法
「脱VMware」を検討する上では、コスト削減だけではなく、DX を推進できる基盤の整備が必要だ。特にAI 活用を見据えると、戦略に基づいた「意図的なハイブリッドクラウド」の発想が求められるという。そのメリットと、実現方法を探る。
Broadcom によるVMware買収やその後のライセンス変更に伴い、「脱VMware」を検討する動きが加速している。後継製品として複数の選択肢があるが、ここで考えたいのは、「自社にとって脱VMware とは何か」という点だ。
多くの企業は「これまでVMware 上で仮想マシン(VM)として稼働してきた既存システムが動く、別の器が欲しい」と考えているのではないだろうか。確かに、既存システムが動くことはもちろん必須だが、この移行を単なる「器の入れ替え」で終わらせてしまってよいのか。
重要なのは、DX(デジタルトランスフォーメーション)をどう進めたいのかという視点だ。脱VMware はDXと無関係ではない。なぜなら、VMware で動かしてきた既存システムを生かすことが、DX を“ 深化” させるために不可欠だからだ。
「DX につながる新しいことは全てパブリッククラウド上でやる」という企業も多いが、生成AI(人工知能)の登場で潮目が変わりつつある。日本では、セキュリティやガバナンスの観点からオンプレミスあるいはパブリッククラウドとのハイブリッドで進める動きが活発化しているためだ。
「脱VMware を、自社のDX を加速させるための促進剤にする」。こういった視点を持つと、後継基盤の選び方は変わってくる。
人手不足や生産性向上が喫緊の課題となる中で、企業のシステム基盤に求められる要件が大きく変わりつつある。変化への迅速な追従、今やビジネスの必須要素となったAI 活用──。こうした要求に応えられる基盤を整備することが、DX 推進の鍵を握る。
多くの企業が、VMware からの脱却を検討している。しかし、移行先の選定において「近視眼的な判断」に陥っていないだろうか。NTT インテグレーションの河野浩氏(クラウド事業本部 クラウドビジネス部部長)と灘波誠二氏(クラウド事業本部コンサルティング営業部部長)は、脱VMwareを単なるコスト削減の機会と捉えず、将来のビジネス展開を見据えた戦略的な判断をすべきだと強調する。

右:NTT インテグレーション クラウド事業本部 クラウドビジネス部部長 河野浩氏
システムは「生き物」──既存資産を生かす視点
河野氏は、かつてユーザー企業の経営層から言われた「われわれのシステムは『生き物』だ。IT ベンダーはより良いシステムがあると既存システムを捨てる提案を持ってくるが、ユーザーが真に必要としているのは、既存システムを生かしながら新しい時代に対応することだ」が、今でも心に残っているという。
この指摘は本質を突く一方で、新しい時代に対応するためには、システム基盤そのものを刷新しなければならないケースはある。だが、経営層に基盤刷新の重要性を理解してもらうのは難しい。
このジレンマを解消するカギとなるのが、「AI 活用」や「生産性向上」といった経営層も関心の高いテーマだ。河野氏はこれらを「基盤刷新という、これまで伝わりづらかった投資の必要性に説得力を持たせ、背中を押してくれる材料」と位置付ける。短期的な視点だけではなく、AI 活用や生産性向上に直接貢献できるといった視点を持つことが重要だとする。
「近視眼的な移行」では未来が描けない
では、それらを見据えて脱VMware を検討できている企業はどの程度あるのか。灘波氏によると、直近では、コスト削減を主目的とし、アプリケーションのシステム構成を変えずに仮想化基盤のみを移行させるケースが増加傾向にあるという。
しかし、それは基幹システムなど変更の頻度が低いシステムに限った話だ。
外部環境が目まぐるしく変化する今、顧客接点となるシステムでは、使いやすいUI(ユーザーインタフェース)の提供や顧客体験(CX)の向上を目指すことが欠かせない。コンテナ技術のようにアプリケーションを分散的に構築・運用し、迅速な開発、改善を可能にする仕組みが不可欠だ。「今あるものを守り、外部環境の変化にも適応できる、両方のニーズを満たす基盤が必要です」と灘波氏は指摘する。
AI活用にはオンプレミス環境が不可欠
特に注目すべきなのが、AI を活用するための基盤整備だ。灘波氏は「AI を活用する場合、自社のデータが基になるため、オンプレミス環境が必要」と強調する。パブリッククラウドに載せられるシステムはクラウドで動かしてもいいが、AIは企業独自のデータを分析・活用するため、データをオンプレミスに置く必要性が高い。
河野氏も「オンプレミスに置くべきデータはオンプレミスに置き、クラウドに置いてもいいデータはクラウドに置く。ユーザー自身の判断が重要です」と語る。これは単に「クラウド移行を進めた結果、一部がオンプレミスに残っている」という消極的なハイブリッド環境ではない。DX の観点から「用途に応じて意図的にオンプレミス環境にシステムを配置する」という、戦略に基づいた「意図的なハイブリッドクラウド」の発想が求められる。
単純にライセンス費用を比較して安価な仮想化基盤に移すだけで、本当に十分なのか。AI の本格活用を見据えて基盤を整備することが、真のDX 推進には欠かせないのではないだろうか。灘波氏は「脱VMware を踏まえ、AI を活用しやすいオンプレミス環境を整備することが、DX 促進の起爆剤になる」と展望する。
ベンダーロックインのリスクを避けよ
移行先を検討する上で河野氏は、「システムは『生き物』だからこそ、ベンダーの都合で使い続けられなくなることは避けたい。次に選択するアプリケーション基盤は、特定ベンダーに依存しない技術であるべきです」と指摘する。
実際、パブリッククラウドベンダーに対して、ベンダーロックインの懸念を持つエンジニアも多いという。「パブリッククラウドにデータを持ち込むのは安いが、データをクラウドの外に移動させるのは高額」といった問題もある。
こうしたリスクを回避する選択肢となるのが、OSS(オープンソースソフトウェア)をベースとするコンテナ実行環境だ。
Red Hat OpenShiftがもたらす「2段階移行」の道
コンテナ技術はアプリケーションを分散的に構築・運用し、迅速な開発を可能にする仕組み。既に多くの企業がミッションクリティカルな用途に採用しており、信頼性は実証済みだ。コンテナ実行環境の一つに、「Red Hat OpenShift」(以後、OpenShift)がある。
OpenShift の特徴は、VM の実行機能を維持しながらコンテナも実行できる点だ。灘波氏は「コンテナ環境でVM を動かせます。いったんVM をOpenShift 環境で実行させ、その後、本格的なコンテナ開発に取り組むという2 段階移行も可能です」と説明する。
「VMware から移行するための受け皿を探しているが、当面はVM のまま運用を続けたい」というユーザーには、VM実行に特化した廉価版の「OpenShift Virtualization Engine(OVE)」がある。

既存システムをVM のまま使い続ける。そして、準備が整ったアプリケーションから段階的にコンテナに移行する。新規開発するアプリケーションはコンテナをベースにする。こういった柔軟性に応えられるのが、OpenShift の強みだ。
変更の頻度が少ないアプリケーションはVM のまま移行する。顧客体験に直結し、ユーザーのニーズに応じて迅速に開発する必要があるアプリケーションは、柔軟な開発、改修ができるOpenShiftのコンテナで開発する。あるいはSaaS型クラウドサービスとの連携も視野に入れながらインフラ環境を構築する。結果として「意図的なハイブリッドクラウド」が実現する。
灘波氏は、ある事例を紹介した。この企業の基幹システムは、日次バッチで生成した在庫情報を1 日1 回、フロントエンドのシステムに転送していた。しかし日次バッチではタイリーではない。そこで、新たなシステムの構築に当たっては、API でリアルタイムにデータ連携し、最新の在庫状況を可視化する提案をしている。
「システムはユーザーの資産です。既存システムの業務ロジックを生かしつつ、新サービスの基盤となるコンテナ環境も用意する。この両立が重要です。加えて、既存システムのデータを、AI アプリケーションなど変化の速いシステムと連携させる役割も担うのが、OpenShift です」(灘波氏)
ストレージ管理の課題を解決する「IBM Fusion」
DX の基盤となるOpenShift だが、オンプレミスで運用する際の課題にストレージ管理の複雑さがある。河野氏は「オンプレミス環境でOpenShift を運用する場合、データ保管領域の運用や更新などの作業が発生し、ハードルが高くなります」と指摘する。
この課題を解消するのが「IBM Fusion」だ。中核となるのはストレージソフトウェアとデータ管理機能。OpenShiftの運用で特に負担となるストレージ管理の仕組みをオールインワンで提供する。オンプレミス環境のストレージやクラウドストレージなど各種ストレージを束ねて1 つの論理ストレージとして扱うことも可能だ。
灘波氏によると、IBM Fusion は「VM が稼働するOVEの世界と、コンテナが動くOpenShift の世界との橋渡し役」も担うという。OVE を構築する際にストレージとしてIBM Fusion を採用すれば、OVE からOpenShift 環境に移行した後も使い続けられる。バックアップ/リストア、暗号化、DR(災害復旧)環境の構築など、ストレージ運用に必要な機能を包括的に提供する点も心強い。
オンプレミス、クラウドと適材適所でデータを配置・移動する──こうした柔軟なデータ管理をIBM Fusion が実現する。

移行から運用まで一貫してサポート
NTT インテグレーションは、脱VMware を検討している顧客の課題解決を包括的に支援する。VM からVM の移行、VMからコンテナへの移行、OpenShift の導入といった具体的な施策や、環境構築はもちろん、コンテナアプリケーションからVM 上の基幹システムへとAPI で連携する仕組み作りも支援する。
河野氏は「当社はアプリケーション開発だけでなく、インフラの構築・運用まで含めた支援を、基幹系システムを中心に提供してきました」と語る。灘波氏も「安定性、セキュリティの堅牢(けんろう)性、移行後の運用サービスを得意としており、移行後もシステムが安全に稼働するよう支援していきます」と続ける。
OpenShift を中核とすれば、システムをオンプレミスに置く場合でも、複数のクラウドと組み合わせる場合でも、一貫した方法で管理できる。どこに配置しても統一的な運用が可能になる。その際のストレージ基盤としてIBM Fusion が有力な選択肢となる。
コスト削減とDX推進を両立させる道筋
VMware からの移行は、単なるコスト削減の機会ではない。将来のAI 活用を含むDX 戦略全体を見据えた、システム基盤の再構築の好機と捉えるべきだ。
ベンダーロックインのリスクを回避しながら、既存のVM資産を生かしつつ、将来的なコンテナ移行への道筋を確保する。そして、企業固有のデータを活用したAI システムをオンプレミスで構築できる柔軟性を手に入れる。OVE とIBM Fusion の組み合わせにより、こうした戦略的な選択ができるようになる。
「システムは生き物」という言葉が示す通り、企業のシステムは時代とともに進化し続けるべきものだ。今回の移行を、次世代アーキテクチャへの第一歩と位置付け、長期的な視点で選択をしたい。
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転載元:
※この記事は、2025 年10 月に掲載されたアイティメディア編集局制作コンテンツを再構成したものです。
https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/2510/30/news01.html
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