製造現場の「分析の壁」をなくす ― Lookerダッシュボードエージェントによる技術継承
投稿者:岩丸
目次
1.はじめに
今回は「Lookerダッシュボードによる、製造現場の技術継承課題の解決」についてご紹介します。
製造現場では、「ベテランは勘で上手く対応できるが、その理由を言葉で説明できない」「若手が一人前になるまで時間がかかる」といった、技術継承の課題が根強く残っています。さらに、その勘の正体を探ろうにも、原因が複数のデータに散らばっており、分析には専門知識が必要でした。
今回は、こうした製造現場の技術継承の課題を、LookerのAIチャット機能「ダッシュボードエージェント」で誰でも簡単に解決できるという流れをご紹介します。
2.前提
| 製品 | Looker |
|---|---|
| 取り上げる課題 | 技術継承の不完全さと、ベテラン・若手の歩留まり率乖離の原因究明に時間がかかること |
| 解決アプローチ | ダッシュボードエージェント(会話形式での要因分析) |
| ペルソナ | データ分析に不慣れだが、ベテランの技術を若手へ引き継ぎたい生産管理者・現場作業者 |
3.動画内容
歩留まり率が低下したとき、その原因は「設備の設定値」「作業者ごとの差」「工場内の気温や湿度などの環境要因」など、複雑な条件が絡み合っていることが多いです。ベテランはこれらを経験から無意識に判断できますが、その判断基準は本人の中に閉じており、若手には伝わりません。本動画では、この「ベテランの勘の見える化(技術継承)」を、ダッシュボードエージェントがいかに簡単に実現するかをご覧いただきます。
課題ベテランの判断根拠が、複数のデータに散らばっている
題材は、ある工場の歩留まり率改善のためのダッシュボードで、3つのエリアで構成されています。
① 歩留まり率エリア:日別・担当者(ライン)別に確認
② 設定値エリア:ベテランと若手の機械設定値(温度値・圧力値など)を比較
③ 外部要因エリア:工場内の気温・湿度を確認
ベテランの判断の根拠を読み解くには、これら3つのエリアを行き来し、順番に原因を絞り込む必要があります。
これには手間と分析スキルが求められ、普段データ分析に携わっていない方にはハードルの高い作業でした。
解決AIに話しかけるだけで、ベテランの勘が言語化される
そこで活躍するのがダッシュボードエージェントです。実際にAIへ入力したのは、以下の一文のみです。
「歩留まり率が低い日がある原因を教えて」
専門用語も細かい指示も用いない、簡単な問いかけです。
これに対し、AIは散在する複数のデータを横断し、次のように回答しました。
| 異常日の特定 | 5月5日に歩留まり率が低下 |
|---|---|
| 原因の分析 | 若手のラインで、ベテランと温度・圧力値の設定が相違 |
| 真因の解明 | 背景に、当日の気温上昇と湿度低下 |
| アクション提案 | 環境条件に応じた設定マニュアルの整備を提言 |
実際に5月5日のデータを確認しても、AIの分析が正確であることがわかります。注目すべきは、「ベテランは、気温が高く湿度が低いという環境変化に応じて設定値を調整していた」という、これまで言語化されてこなかった勘の正体が明らかになった点です。本来3つのエリアを行き来して導くこの結論を、AIは一度の質問で、数秒のうちにまとめて回答したのです。
仕組みなぜ的確に答えられるのか
このダッシュボードエージェントには、エージェントの管理画面にあらかじめ“答え方のルール”を設定しています。といっても「分析の観点」「異常とみなす基準」「最後に今後のアクションを提示すること」といった一般的な命令文や現場のビジネスルールを、データ分析の専門用語は使わず日常的な言葉で伝えているだけです。
このように回答ルールを記載しておくことにより、利用者は難しい指示を考えることなく、素朴な疑問を投げかけるだけで、ベテランと同じ手順の分析結果を得られます。これまで一部の熟練者に属人化していたデータ分析が、現場の誰もが行えるようになるのです。
4.最後に
ベテランの勘や経験の技術継承は、これまで「若手に伝えるのが難しい」「若手と何が違うのかの分析も困難」という大きな壁がありました。
しかしLookerのダッシュボードエージェントを使えば、AIに話しかけるだけで、その勘がデータに基づいて言語化され、若手や組織全体が再現できる形に変わります。これにより、ベテランの勘・経験のマニュアル化や、若手育成に繋げることができ、結果として歩留まり率の改善にもつながります。
専門知識がなくても、ベテランの技術を組織の力に変えられる。そんな一歩先のデータ活用を、ぜひ皆様の現場で始めてみてはいかがでしょうか。
NTTインテグレーションでは、生成AIを活用したLookerの分析環境構築や、現場への定着化(データ民主化)支援を行っています。ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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