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IBM MQv10紹介セミナーに参加してきました。

投稿者:Integration担当

IBM MQのV10.0リリースされましたので、拡張された機能についてご紹介いたします。

V10.0はどのようなものなのか

V10.0は以下のような特徴を持っています。

・Native HAがより便利に!
・Kafka連携がより楽に!
・Agent機能がトラブル対応をサポート!
・耐量子暗号への対応により、セキュリティがより堅牢に!

本バージョンで利用できるようになった機能

本バージョンで利用できるようになった主要な機能は以下の5点です。

1.Native HA 

 一言でいうと、MQ単体で高可用性を実現する「Native HA」が、Linux仮想マシン(VM)上でも利用可能になりました。

MQにおける高可用性(HA)構成は、これまで以下のように発展してきました。

従来型(サードパーティ構成): クラスタウェア(LifeKeeper等)や共有ストレージ(サードパーティ製品)を組み合わせて構築する一般的なアプローチ。

RDQM(部分依存型): 共有ストレージを不要にし、3ノード同期を実現したものの、ヘルスチェックやデータ同期にサードパーティ機構(Pacemaker / DRBD)を利用。

Native HA(完全独立型): サードパーティ製ソフトを一切排除し、MQ単体(3ノード間)の機能だけでデータ同期と高速自動フェールオーバーを実現。

完全独立型であるNative HAはこれまでコンテナ環境限定という制約がありましたが、V10.0にてEC2などのLinux仮想マシン(VM)まで拡張されました。これにより、コンテナ化していない既存システムもそのまま高可用性を保ってクラウドへ移行できるようになり、活用の幅が大きく広がりました。

2.Kafka連携 

Kafkaとの違いについて

 KafkaとMQはメッセージングを扱う製品ですが、設計思想が異なります。MQは信頼性の高い「非同期メッセージング」、Kafkaはイベントデータの「分散ストアおよびストリーミング処理」を得意とします。
最大の違いはデータの保持方式です。MQは処理完了後にデータを即時削除しますが、Kafkaはレプリカを持つデータストアとして一定期間データを保持します。両者は対立するものではなく、組み合わせることで相互の強みを活かせます。

Kafka連携の進化点

一言でいうと、Kafka Connectを利用した連携において、MQクライアント(送信側アプリ)側の開発コストを削減できるようになりました。

 従来、XML形式データを送受する場合、MQクライアント側でデータ変換や分割処理を実装する必要がありました。V10.0では「XML Converter」が標準搭載されたため、クライアント側のコードを追加・改修することなく、そのままKafkaへデータ送信が可能です。


さらに、キューマネージャー側でメッセージの複製を自動生成する「Streaming Queue」を活用すれば、既存のMQクライアント(アプリ)に手を加えることなく、取引データを分析基盤(Kafka)へ複製・連携できます。

3.Agent機能 

一言でいうと、障害発生時の原因切り分けや運用保守をAIがアシストし、管理者の負担を大幅に軽減します。

 障害発生時にチャット形式でAIが支援してくれるため、MQの専門知識が浅い担当者でも障害対応を行えるようになりました。操作はMQのWeb管理画面からチャット形式で行うことができます。

Agent機能は以下3つの強みを持っております。

 問題判別の支援:チャネル障害やキューの滞留状況などを自然言語で問い合わせると、分析結果と原因の見立てを提示

 環境の可視化:分散したMQ環境全体を横断的に捉え、システムの健全性を一目で把握

 運用判断のガイダンス:状態表示だけでなく、次に何を確認・実施すべきかを提示 

なお、1構成で最大20のキューマネージャーを管理でき、管理対象のMQはサポート対象であればバージョンを問いません。
利用条件として、OpenShift / EKS 等のコンテナ環境上の MQ Console でなければ使用できません。利用にはAIのランタイムが別途必要です。

4.耐量子暗号(ML-KEM)

 TLS 1.3 において、耐量子暗号アルゴリズムML-KEMによる鍵交換に対応。将来の量子コンピュータによる暗号解読・盗聴リスクに備えます。アプリケーションを変更せずに適用できる点も利点です。

5.2拠点向け高可用性機能「IRR(In-Region Replication)」

 同一リージョン内の2データセンター(拠点)間における非同期データレプリケーション機能です。クラスタ構成を伴わずに 2 ノード間でのデータ同期と手動フェールオーバーをサポートします。

※広域災害対策向けのCRR: Cross-Region Replicationと異なり、同一リージョン内でのDR対策に特化しています

所感

今回のメジャーバージョンアップは以下の3つに焦点が当てられていると感じています。

コスト削減

・Native HAの採用により、サードパーティ製クラスタウェアや共有ストレージの購入・保守費用を削減できるようになりました。
・Kafka連携において、既存のMQクライアント(アプリケーション)側を改修せずにデータを連携できるため、アプリケーション改修やテストに伴う工数・コストを削減できます。

属人化解消

・MQの内部構造やログ解析に詳しいエンジニアに頼らずに障害対応をできるようになりました。

セキュリティ強化

・耐量子暗号(ML-KEM)などの登場により、量子コンピュータを用いた攻撃にも対応でき、より堅牢になりました。

総括

 今回のアップデートにより、IBM MQは「より安く、より運用しやすく、より安全な基盤」へ進化したと感じます。

近年はサプライチェーン全体を狙ったサイバー攻撃が増加しており、企業の規模を問わず、取引先も含めた堅牢なセキュリティ対策が強く求められています。「自社の重要なデータを守り、取引先からの信頼を高める」という観点からも、今回のV10.0は企業の大小を問わず非常に価値のあるアップデートだと考えております。

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