もうLookMLは手書きしない。Claude Code×Looker MCPでBI開発を自動化してみた
投稿者:杉山
目次
1.はじめに
こんにちは、杉山です。
近年、生成AIを開発ワークフローに組み込む動きが急速に進んでおり、BI(ビジネスインテリジェンス)の領域でも「AIエージェントと対話しながら開発を進める」というスタイルが現実味を帯びてきました。
今回は、最新のLookerアップデートである「Looker Extension for VS Code」と「Looker マネージド MCP サーバー」を活用し、実際に「Claude Codeと対話しながらダッシュボードを一気に作り上げる」という検証を行いました。本記事では、その検証結果と、AI駆動によるBI開発のリアルな可能性・課題について共有します。
2.従来のBI開発の壁(なぜ時間がかかるのか?)
これまでのBI開発では、ダッシュボードが完成するまでに多くの工数と時間を要していました。その主な要因は以下の通りです。
① 要件定義:ステークホルダーとの認識合わせや、そこで生じる手戻り
② データモデル設計:膨大なLookMLの記述や、命名規則の統一などの作業負荷
③ ダッシュボード開発:UIの微調整やマニュアルによる手作業
特に、データモデル設計におけるLookMLの記述は専門知識を要し、ダッシュボードの初期構築においても試行錯誤が必要なため、リードタイムが長くなりがちでした。
3.Lookerの最新アップデート:AI駆動開発を支える2つの新機能
こうした課題を解決に導くのが、Lookerに追加された2つの新機能です。
⚠️ ご注意:本記事で紹介する「Looker Extension for VS Code」および「Looker マネージド MCP サーバー」は、いずれもLooker 26.8時点でプレビュー(Preview)機能として提供されているものです。仕様が変更される可能性があるため、本番環境でのご利用は最新の公式ドキュメントをご確認ください。
機能1Looker Extension for VS CodePreview
ローカルのVS Code等でLookML開発が可能になる拡張機能です。リアルタイム同期や構文ハイライトに対応しており、開発体験が大きく向上します。
最大のポイントは、Claude CodeやCursorといったAIエージェントとの連携が容易になる点です。使い慣れたエディタ上で、AIの支援を受けながらLookMLを記述できるようになります。

機能2Looker マネージド MCP サーバーPreview
これまでAIツールとLookerを接続するには、個別のミドルウェアを用意する必要がありました。このLooker マネージド MCP サーバーは、そうした接続をLooker管理下で安全かつシームレスに実現する機能です。
これにより、AIエージェントがLookerのデータやモデルに安全にアクセスできる基盤が整い、AI駆動開発の実用性が一段と高まりました。
(Claude Code等) → Looker マネージド
MCP サーバー
(Looker管理下で安全に仲介) → Looker
▲ AIエージェントとLookerを、Looker管理下で安全かつシームレスに接続
4.実践!Claude Codeとのおしゃべりでダッシュボードを生成
それでは、実際にAIと対話しながらダッシュボードを構築していきます。
| シナリオ | 花屋の売上ダッシュボードの新規構築 |
|---|---|
| 前提条件 | 要件定義済み/BigQueryにデータが格納済み |
Phase 1LookML生成
まずは、ヒアリングの議事メモやサンプルデータをAIに読み込ませます。すると、AIがモデリングルールに沿ったLookMLのたたき台を生成してくれます。
📌 ここでいう「モデリングルール」とは?
命名規則、JOIN方針、データの粒度、アクセス制御などに関する取り決めのことです。これらは組織やプロジェクトごとに異なるため、どこかに自動的に定義されているものではありません。AIに期待どおりの成果物を生成させるには、ルールを明示的に渡してあげる必要があります。
今回は、Claude Codeの skills 配下にルールを記載したファイルを配置し、それを参照させる形にしています。作り方としては、公式ドキュメントとこれまで自分たちがモデリングしてきた既存のLookMLコードをAIに読み込ませ、それらを「正」としたルールをファイルに落とし込むイメージです。
なお、現在はLooker(LookML)向けに公式が提供しているskillファイルもあるため、まずはそれを読み込ませるだけでもある程度は対応できます。
ただし、自社固有の命名規則や運用ルールまでは当然カバーされないため、足りない部分は各ユーザーがこれまでの知見をもとに補完していく形になります。ここが、AIに任せきりにできない=人間側のナレッジが効いてくるポイントです。

対象となるテーブルの一覧化や、推奨されるJOIN構成などもAIが提案してくれるため、データモデル設計の初動が劇的にスピードアップします。

Phase 2LookMLダッシュボード生成
Phase 1で生成したLookMLをベースに、今度は要件に沿ったダッシュボードを自動構築します。
どのグラフをどこに配置するか、といった初期レイアウトまでAIが提案してくれるため、これまで手作業で行っていた配置検証の手間が大幅に削減されました。



5.AI駆動開発のポイントと今後の課題
今回の検証を通じて見えてきた、AI駆動開発の「効果」と「変わらない部分」、そして「運用上の注意点」を整理します。
効果劇的に削減されること
✅ ゼロからのLookMLタイピング
✅ 仕様書の書き起こし
✅ ダッシュボード初期配置の検証リードタイム
本質変わらないこと
一方で、AIに任せきれない「人間の役割」も明確になりました。
👤 要件抽出(何を分析したいのかの見極め)
👤 ユーザー受入テスト(UAT)
👤 DWHにおける「正しいデータマートの設計・定義」の合意形成
注意運用上のガバナンス
⚠️ AIが誤った情報を生成するハルシネーションを検知するための最終レビューは必須
⚠️ AIに渡すデータには機密情報を含めないマスキング設計を徹底
6.まとめ
今回の検証により、最新機能を活用することで、BI開発が「コードを書く作業」から「AIと対話して設計する作業」へと進化していることを実感しました。エンジニアはタイピングそのものではなく、より本質的な「設計」や「合意形成」に集中できるようになります。
とはいえ、要件抽出やデータマートの定義、そして最終的な品質担保といった「人間にしかできない領域」の重要性は変わりません。AIを賢く活用しつつ、ガバナンスを効かせることが、これからのBI開発の鍵となります。
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