【HubSpot Fall Spotlight 2026】注目アップデート情報|HubSpotの進化したAI機能のご紹介
投稿者:shiori nitta
NI+Cマーケティングソリューションチームです!
本Tech Blogでは、HubSpotソリューションを紹介していきます。
AIを業務に取り入れる企業は急速に増えました。しかし、実際に使われているのはコンテンツ生成やメール作成といった「始めやすい用途」に偏りがちで、営業やマーケティングの生産性がどれだけ上がったのかと問われると、手応えを説明しきれない組織も少なくありません。
本記事では、HubSpot社が年2回実施している製品アップデート発表のうち、Spotlight 2026 Fallとして公式に発表された新機能の内容をご紹介します。日本語ウェビナーで共有された説明とデモの内容をもとに、コンテキストホーム、Smart CRM、マーケティングスタジオ、購買グループ、取引進行、Breezeによるレポート・資料作成といった注目のアップデートを整理しました。
いずれの機能にも共通しているのは、AIの進化を「作業の置き換え」ではなく「業務プロセスそのものの効率化」に結びつけようとする設計思想です。自社での活用を検討する際の判断材料としてお役立てください。
目次
UNBOUNDとSpotlightとは
今回のアップデートは、HubSpot社が米国ボストンで3日間にわたり開催したグローバルイベント「UNBOUND」での発表が中心です。従来「INBOUND」という名称で開催されていたイベントが改称されたもので、1万4,000人以上が参加し、300を超えるセッションが実施されました。
また「Spotlight」は、HubSpot社が年2回実施している製品アップデートの発表のことを指します。半年間にリリースされた機能を個別に紹介するだけでなく、今後どの方向を目指すのかを一つのストーリーとして伝える位置づけとされています。
キーノートでは、AIを活用している企業の割合がすでに90%に達する一方で、革新的な成果を出せている企業は6%にとどまるという数字が示されました。この差を埋める鍵として挙げられたのが、AIが参照する「コンテキスト」を整えることです。ここからは、その考え方が具体的にどの機能として実装されたのかを順にご紹介します。
コンテキストホーム:AIに自社を理解させる土台
AIモデルそのものの性能が向上するなかで、出力の差を生むのは「AIにどれだけ自社のことを正しく理解させているか」です。その前提情報を一元的に管理する仕組みとして紹介されたのがコンテキストホームです。コンテキストとは、AIが回答を組み立てる際に参照する背景情報を指します。
管理できるのは、自社がどのようなビジネスを展開し、どの製品を扱い、どんなシステムを利用しているかといった情報に加え、ターゲットとなる顧客像やペルソナ、営業で用いている手法、そしてHubSpotを使うユーザー自身の役割などです。これらをHubSpotが共通の前提条件として参照するため、AIを使うたびに自社の説明を書き足す必要がなくなります。
さらに、一度登録して終わりではありません。資料や顧客とのやり取りをもとに「この情報を追加した方がよいのではないか」といった提案がAIから行われ、承認するだけでコンテキストが更新されます。ビジネスの変化に合わせて前提情報を最新に保ちやすい設計です。
ポイント:
顧客レコードからBreezeアシスタントに「提案できそうな商品を紹介するメールを作成して」と依頼するだけで、自社情報・製品・ペルソナ・自身の役割を踏まえたメールを生成することができます。

出典:【Fall Spotlight 2026】HubSpot新機能紹介ウェビナーAI × コンテキストで加速する、組織の生産性向上と成果創出(2026年10月6日)
Smart CRM:会話の内容から顧客情報を自動更新
自社情報に加えて重要になるのが、日々の活動から生まれる「顧客側のコンテキスト」です。
従来、商談後は担当者が内容を整理し、予算や決裁者、次のステップをCRMへ手入力する必要がありました。Smart CRMでは、会話の記録から更新候補が自動的に抽出され、承認するだけでレコードへ反映されます。
- STEP 1:更新ルールを自然言語で設定する
設定画面で「予算の情報が出た場合、この項目を更新する」といった指示を自然言語で記述しておきます。 - STEP 2:会話の記録を取り込む
モバイルアプリの音声メモのほか、メールやWeb会議のやり取りも同じ設定で取り込むことができます。 - STEP 3:文字起こしと更新候補の提示
文字起こしが生成され、そこから更新すべき項目の候補がAIによって抽出されます。 - STEP 4:承認してCRMへ反映する
内容を確認して承認ボタンを押すと、CRMの項目が更新されます。人の確認を挟む設計です。
Google MeetやTeams、Zoomなどのミーティング文字起こしを連携してCRMを自動更新することも可能です。自社で利用中の会議ツールやメールツールを連携できるかは、個別に確認することをおすすめします。
Breezeアシスタント:さまざまな業務に特化したエージェント
整えたコンテキストを成果につなげる入り口となるのがBreezeアシスタントです。今回の進化点は、単なる会話型AIにとどまらず、業務内容を理解したうえで進め方そのものを導く点にあります。その裏側では、キャンペーンエージェントやコンテンツエージェントなど、各業務に特化したエージェントが稼働します。
マーケティング領域での活用例:マーケティングスタジオ
マーケティングスタジオでは、キャンペーンに関する指標が増え、複数キャンペーンを比較しながらどこがネックになっているかを確認できるようになりました。あわせて、キャンペーンの状況や課題、改善ポイントがAIからインサイトとして提示されます。
「リード獲得数を増やしたい」といった課題が見つかった場合、Breezeアシスタントに依頼すると、対象製品、重視する点、訴求軸、案内内容、実施期間など、マーケターが企画時に議論するポイントを順番に質問してきます。ユーザーが指示の出し方を考えるのではなく、AI側が必要な確認事項を把握している点が特徴です。
回答を終えると、目標、訴求内容、オーディエンス、KPI、作成アセットを含む計画が提示されます。さらにコンテンツエージェントが動き、ブログ記事、ランディングページ、メールといった必要なコンテンツがそのまま作成されます。AIで「作れる」段階から、AIが「業務プロセスを支援する」段階へ進化しました。

出典:【Fall Spotlight 2026】HubSpot新機能紹介ウェビナーAI × コンテキストで加速する、組織の生産性向上と成果創出(2026年10月6日)
営業領域での活用例:購買グループ・取引進行・資料作成
営業では、誰にアプローチすべきかと、次に何をすべきかを素早く判断することが成果を左右します。今回は、その判断を支える機能が複数アップデートされました。
購買グループ
BtoBの商談に関わる意思決定者、推進者、利用者といった関係者と役割を可視化します。今回のアップデートで作成がさらに簡単になりました。
取引進行
ミーティングやメールの内容から取引情報を最新に保ち、次に取るべきアクションまで提示します。履歴を一件ずつ追う必要がありません。
レポート・資料作成
Breezeへの依頼でフェーズ別金額などのレポートを作成し、そのまま上長報告用の資料まで生成できます。
複数名の担当者が紐づく企業に対し、Breezeへ「コンタクトの役職を踏まえて購買グループを作成して」と依頼すると、役職や過去のアクティビティをもとに組織図が生成されます。さらにアクティビティのヒートマップを重ねると、接触できていない人物が一目で把握でき、その場で新規アプローチのメール作成まで進むことができます。

出典:【Fall Spotlight 2026】HubSpot新機能紹介ウェビナーAI × コンテキストで加速する、組織の生産性向上と成果創出(2026年10月6日)
取引進行では、ミーティング内容から抽出された更新候補をまとめて承認することで、取引情報が一括で更新されます。項目の更新にとどまらず次に実施すべきタスクまで作成され、例えば部門長を交えた商談の日程調整メールをワンクリックで用意できます。
また、取引一覧からレポートを作成し、そのまま報告資料まで仕上げることも可能です。データを探し、レポート化し、別ツールで資料にするという分断された作業を、Breezeを起点に一本化できる点が生産性向上につながります。
新機能を生産性向上につなげる進め方
今回のアップデートは、いずれも単体で完結する機能ではなく、組み合わせることで効果が大きくなる設計になっています。一方で、すべてを同時に立ち上げようとすると現場の負担が増え、かえって定着しにくくなります。
Spotlight 2026 Fallで繰り返し語られたのは、AIの利用そのものではなくビジネス上の成果から逆算するという考え方でした。この視点に沿って、自社で活用を広げる際の現実的な進め方を整理します。
- STEP 1:成果につなげたい業務を1つ決める
「商談化率を上げたい」、「キャンペーンの立ち上げを早めたい」など、改善したい指標を先に決めます。
使う機能から考えるのではなく、成果から選ぶことが起点になります。 - STEP 2:その業務に必要な前提情報を棚卸しする
自社の製品情報、ターゲット顧客像、営業プロセスなどが社内のどこにあるかを確認します。散在している情報を集約できれば、AIの出力精度は安定します。 - STEP 3:小さな範囲で試し、出力を評価する
特定のチームや案件に絞って運用し、提案内容が自社の実態に合っているかを確認します。各エージェントの実行結果は設定画面で確認できるため、改善の手がかりを得られます。 - STEP 4:運用ルールを整えて対象を広げる
承認の担当者や確認のタイミングを決めたうえで、他チームへ展開します。人が最終判断を担う前提を明確にしておくと、定着が進みやすくなります。
この進め方を支えているのが、HubSpotの特徴であるスモールスタートしやすい環境です。今回紹介した機能は日本語に対応している直感的なUIであり、Breezeアシスタント自体は無料プランから利用できるため、まずは触れてみるという形で検証を始められます。
ポイント:
CRMの情報が十分でない段階でも利用は可能です。ただし蓄積されたデータが多いほど提案は自社の実態に近づくため、使いながらデータを育てるという発想が成果への近道になります。
なお、会話の録音や文字起こしを業務で扱う際は、社内の運用ルールや顧客への説明方法を事前に整理しておくと安心です。取り扱い方針については、必要に応じて法務部門や情報システム部門へ確認しながら進めることをおすすめします。
まとめ
Spotlight 2026 Fallで発表された新機能を振り返ると、個別の機能追加というより、AIが業務の中でどう振る舞うかという設計思想そのものが更新されたことが分かります。最後に、検討にあたって押さえておきたい視点を整理します。
AIは「作る道具」から「業務を前に進めるパートナー」へ。
コンテキストホームが自社の前提を、Smart CRMが顧客との会話を受け止める。その土台の上で、マーケティングスタジオや購買グループ、取引進行が各部門の業務を前に進めます。
探す、整理する、作り直す。こうした付随作業が減った分だけ、判断と実行に時間を使えます。
まずは成果に直結しそうな業務を1つ選び、必要な前提情報が社内に揃っているかを確認してみてください。小さく試し、手応えのある領域から広げる。その進め方が、無理のない定着につながります。
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