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『教えてヒロさん!』特別編(後編) ~現実のEDIってどんな形で行われていますか?~

投稿者:藤野裕司

教えてヒロさん!藤野裕司のEDI・データインテグレーション追っかけ塾 データインテグレーション編~データ連携・データ統合の現状と未来~特別編(後編)

今回は、普段目にすることのないEDIが、実際どのような形でつながっているのか、しっかり考えてみたいと思います。

前回のお話「特別編(前編)」で、EDIは私たちの生活の見えないところで大活躍しているということをお伝えしました。

確かに、コンピュータというと目の前にあるパソコンしか思いつかないことでしょう。
でも、産業界で使われているコンピュータは、みなさんが訪れることのないコンピュータセンターや、ビルの片隅にあるマシンルームでひっそり稼働していることがほとんどなんです。

たとえ、それらのコンピュータを実際に見ることができても、そのなかでEDIが動いているなんて、とても想像することはできません。 でも、現実にスーパーの棚の商品が揃えられたり、自動車がたくさん街の中を走っていたり、お部屋に家電が数えきれないくらい並んでいたりするのも、実はEDIのおかげなんです。

コンピュータとコンピュータが、ネットワークを経由してつながっているのは、なんとなく想像できるのではないでしょうか。たとえば、パソコンがインターネット経由でいろんな情報を表示してくれたり、メールが、スマホにもパソコンにも届いたり。

このようなことから、コンピュータとネットワークの関係は、なんとなく理解できると思います。
そのような流れの延長線上にEDIがあるとイメージしてください。

● EDIが支える社会の基盤

まず、産業社会の膨大な情報処理は、前編でお話ししたように1台のコンピュータで処理できるものではないのです。 たくさんのコンピュータがつながりあって、それぞれがお互いの役割を確実に果たせてこそなしえる仕組みになっています。

さて、そのコンピュータとコンピュータをつなぐひとつの方法がEDIなのですが、よく見かけるEDIの説明は、以下のような図ではないでしょうか。

図1:EDIとは

これは、弊社でよく使っているものですが、これはあくまで理解しやすいように簡素化した図です。

ここで勘違いしやすいのは、「ああ、取引関係だから、バイヤーとサプライヤーの1対1の関係なんだな」と思い込んでしまうことです。

でも、企業の取引先って、1社だけではありません。数社、数十社、数百社と複数の企業と取引することが大半でしょう。それらの企業とEDIで取引しているわけです。
その取引先もその先につながる、数社、数十社、数百社とEDIで取引をしています。 さて、それを重ねていくとどのようなネットワークになるのでしょう。
EDIでは、企業と企業がm対nのメッシュ状につながりあっているのです。

● 複雑に絡み合うEDIのネットワーク

製造業を例にとって考えると、図2のようになります。
これも、あくまで簡単な例です。
現実には、もっともっと複雑なつながりをしています。

図2:EDIはm対n接続

流通業では[消費財メーカ]→[卸]→[小売]という経路で、多くの商品が流れています。
同じように、石油化学業界も化学品・繊維業界も鉄鋼業界も機械製造業界も建設業界も設備業界も事務用品・工具業界も、その他ほぼすべての業界でEDIは使われているんです。

前回数字で表現したように、

ショッピングセンター(SC):約4,000店舗
GMS(総合スーパー) :約1,000店舗
食品スーパー :約21,000店舗
コンビニエンスストア :約55,000店舗
百貨店 :約200店舗
ホームセンター :約5,000店舗
ドラッグストア :約22,000店舗
家電量販店 :約6,000店舗
大手衣料品専門店 :約4000店舗
自動車部品専門店、外食チェーン、オンラインショップ、、、

自動車の場合、日本で1日に3万台がコンスタントに作られている。
家電や化学品は、各家庭の中に数えられないくらい。

これらのものを作る会社・売る会社、原料や製品を取り扱う会社など、私たちの生活を取り巻く環境にEDIはなくてはならないものになっています。

● 進化が求められるEDIの現状と課題

このように様々な場面で利用されているEDIですが、課題もいっぱい抱えています。 EDIは、大きく分けてデータ交換型EDIとWeb型EDIがあります。

  • データ交換型EDIは、ハードやソフトの準備が必要で、業界ごとの標準の理解や技術面での修得が難しい。今は、業界の垣根もなくなり、標準の扱いも難しい。
  • Web型EDIは、コスト面は比較的安価に利用できるが、人手がかかるためのミスや時間的ロス、取引先との関係性で運用の融通性に差が出てくる。

など現状レベルでも課題が山積みです。

あわせて、今後のことも考えると、

  • インターネットの高速・大容量・低遅延・同時多接続の特性を活かさないといけない
  • リアルタイム性を活かしたいろんな業務と連携したい
  • 自分でコントロールするのも煩雑なので、幅広くサービスを利用したい

など、いろいろ思いが溢れています。

これまでのEDIは、NTTの電話網(PSTN)を中心に利用されていましたが、2024年1月より、EDI利用の電話網はインターネット網に切り替わりました。 それらの環境を考えると、現状のEDIは変革の時期に来ています。

今後の流れについては、『TechBlog_教えてヒロさん! データインテグレーション編』で書き続けています。

注目点は、

  • 従来型EDIと次世代型Web APIは融合
  • 業務は、バッチからリアルタイムへ
  • 企業間、社内、クラウド間はシームレス

になると考えられるでしょう。

是非『TechBlog_教えてヒロさん!』本編の方で理解を深めていってください。
よろしくお願いします。

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