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『教えてヒロさん!』特別編 新年のご挨拶レポート(2026年)

投稿者:藤野裕司

みなさま、新年あけましておめでとうございます。
今回のTechblog「教えてヒロさん!」は、年頭のご挨拶メールをブログとしてアップしております。
この本文をすでにメールでお受け取りになられた方もおられるかと思いますが、ご容赦ください。

さて、本年のレポートは、昨今、多くの企業様からご相談をいただく「サプライチェーンの高度化」と、それを支える「データ連携」の最前線について、じっくりと掘り下げてみたいと思います。
「モノは届いているのに情報が来ない」「必要なデータが揃わず、経営判断が遅れる」。 こうした現場や経営者の悲鳴が、あちこちから聞こえてきます。
今回は、なぜこのような現象が発生しているのか、どうすれば解決するのか、あたりを考えてみたいと思います。
結論から言うと、サプライチェーンにおいて「データの精緻化」を追求し、そのうえで「自律分散型社会」を目指さなくてはならなくなってきたと考えています。

Ⅰ.サプライチェーンの現状と「データの精緻化」

まずは、現状の課題から整理してみましょう。

昨今のサプライチェーンは極めて複雑化しています。 その結果、一部のデータ欠落が発生したり、必要なデータがどうしても揃わないという事態が頻発しています。また、「情報とモノのギャップ」も深刻です。 情報よりもモノが先に届いてしまい、ネットワークやデータの遅れがシステム運用、ひいては実業務の足を引っ張る場面が見受けられます。 これでは、迅速かつ最適な経営判断などできるはずもありません。

そこで不可欠となるのが「データの精緻化」です。これは単にデータを集めることではありません。
「正確性(Accuracy)」、「最新性(Recency)」、そして業務の「効率化と損失防止(Efficiency)」を実現することです。正確なデータがビジネスの精度を高め、鮮度の高いデータが誤った判断を回避させます。
これを実現するためには、従来のバッチ処理的な連携ではなく、「リアルタイムのデータ連携」がどうしても必要になるのです。

Ⅱ.「縦」の連携から「横」の連携へ

これまでのシステムは、企業固有のアプリや業務サービスが縦割りで存在し、それぞれの内部でデータ加工や編集が行われる「縦の連携」が主流でした。しかも、業界ごとの慣習に応じて業務がまとめられてきました。しかし、ここにきて業界の壁がなくなりつつあるのです。

自動車部品がホームセンターで売られたり、機械工具がオンラインショップで販売されたりしています。消費者からすると何の違和感もありませんが、それらメーカーからすると、今までと違う取引形態に対応しなければならないのです。
しかも、顧客のニーズが多様化し、スピードが求められる現在、あちこちに散在するデータを従来通りの「縦」扱いでは、業界の壁に突き当たり、スムーズな流通・物流に対応できません。もっと素早く正確に「横」のつながりを持つ必要があるのです。
データの種類を問わず、企業間・企業内・クラウドサービス間を業界を越えてシームレスにつなぐ「リアルタイム業務連携」へのシフトです。

これを実現するのが「データ連携プラットフォーム」です。
もちろんこれまで非対応だったIoT、AI、SaaSなどの多様なデータをも自在に集め、加工編集したうえで、高いセキュリティのもと迅速に次の業務へとつなぐ基盤が求められているのです。

Ⅲ.産業システムの自律分散とWeb API

では、前述の環境を実現するのに必要な要素を考えてみます。
ここでご紹介したいのが「自律分散」というキーワードです。

最近、「Web3」や「DAO(自律分散型組織)」といった言葉を耳にすることが多いと思います。 ここでいう自律分散はブロックチェーン技術を利用した概念ですが、あくまで「個人格」を対象としたものです。
われわれが扱う産業システムは「法人格」であり、大量のデータを対象とし、既存の資産も膨大です。ここにそのままブロックチェーンを適用するのは、現時点では不向きと言わざるを得ません。

産業システムにおける「自律分散」とは、 「独立した機能やデータを連携することにより、システムを柔軟に作り上げること」。 もっと平たく言えば、「みんなのいいとこどり」をする仕組みです。
すべてをゼロから巨大なシステムとして開発するのではなく、既存の優れたシステム(例えば会計管理や生産管理)はそのまま残し、外部サービス(営業支援や輸配送管理など)から必要な機能のみを連携して活用する。 既存機能を流用し、追加機能のみを開発すればよいのです。こうすると、開発コストを抑えつつ、変化に強いシステムを構築できます。
この「いいとこどり」を実現するための接着剤となるのが、「Web API」です。

Web APIとは、プログラムとプログラムがHTTP/HTTPSを介して直接会話をする方式をいいます。 人がブラウザを操作するのではなく、プログラム同士が直接Webサービス(プログラム間の連携機能)を利用して会話をするため、企業間やクラウド間の業務ををシームレスにつなぐことができます。
従来のEDI(電子データ交換)と比較すると、その差は歴然です。 専用の設備が不要で、インターネット経由で接続でき、バッチだけでなくリアルタイム処理も可能。何より、グローバル展開やクラウドとの親和性が高い点が強みです。
もちろん、アプリケーションの作りについては、工夫が必要となります。

市場予測でも、API市場は今後数兆円規模にまで拡大すると言われています。

Ⅳ.Web APIとデータ連携基盤による具体的活用事例

では、このWeb APIとデータ連携基盤(例えば、弊社が提供するIRIS Connectなど)を組み合わせることで、具体的にどのような業務改革が可能になるのか。 3つの事例をご紹介しましょう。

1.Web EDIの手作業自動化

これまで、Web EDIといえば担当者がPCからブラウザを開き、手作業でファイルのアップロードやダウンロードを行っていました。 これをWeb APIで自動化します。 PCから手作業で行っていたファイル送受信を、プログラムが直接実行することで、人為的ミスをなくし、処理の遅延を防ぎ、何より貴重な人件費を削減できます。 「人がやらなくていいことは、機械に任せる」。基本ですが、効果は絶大です。

2.EDIが難しい中小企業とのデータ連携

業界を問わず多くの中小企業との取引では、依然として電話、FAX、メールが主流となっています。 大手企業がEDIを求めても、中小企業にとってその導入ハードルは高いのが現実です。 そこで、Web APIの出番です。 発注側は業務サービスを利用し、受注側(中小企業)との間にはデータ連携基盤(IRIS Connect)を介在させます。 これにより、取引先への見積依頼、発注、納品、請求といった業務データをすべて集約・自動化できます。 アナログな手段をデジタルな「横の連携」に変えることで、双方向の業務効率が劇的に向上します。

3.在庫確定システム(外部倉庫の見える化)

これが今、最もホットな話題かもしれません。 自社倉庫の在庫は把握できていても、外部倉庫に預けている在庫データは、システム連携が難しく「月1回の報告」でしか把握できない、というケースが多くあります。 これでは、移動中の在庫も含めた正確な供給可能数を把握できません。 解決策として、データ収集DB(データレイク)を活用します。 各倉庫からの入出荷確定データをWeb APIで日々集約し、荷主ごとに個別のDBを作成。荷主はそれを参照することで、移動中の在庫も含めて最新状態を把握できるようになります。 まさに、「情報の鮮度」がビジネスの判断を変える好例です。

Ⅴ.自律分散社会がつくるエコシステム経済圏

これからは、すべての環境が常時接続でフラットにつながる時代です。
個々の企業がデータを抱え込むのではなく、価値あるデータを公開し、それを互いに活用し合う。 生産者、メーカー、加工産業、卸・商社、小売・販売店、オンラインショップ、サービス、物流、金融、行政、そして消費者までもがプラットフォーム上でつながる。 これこそが「エコシステム経済圏」です。
そこでは、「価値あるデータを公開し、活用したもの」が勝者となります。

藤野は、今年もこうした新しい「データの精緻化」と「自律分散」の形を、みなさまと一緒に作り上げていきたいと考えています。 「つなぐ」ことで生まれる新しい価値を、共に創造していきましょう。
具体的な内容は、いつでもお問い合わせください。

■■■ 藤野のもろもろ・・・・ ■■■

いよいよ本レポートも終わりに近づいてきました。 ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。あともう少し。。。

★★ お仕事~

相変わらず、お客様の「おもひをITでカタチ」(NI+Cの心)にするコンサルティングを楽しんでおります。 特に最近は、Web APIを活用したデータ連携のご相談が増えてきました。 「うちの古いシステム、捨てずに活かしたいんだけど…」 「バラバラのクラウドサービス、なんとかならない?」 そんなお悩みがあれば、ぜひ気軽にお声がけください。 みなさまの「困った」を一緒に解決するのが、藤野の何よりの喜びです。

★★ 生活全般

プライベートでは、今年も健康第一で、自然とのふれあいを大切にしていきたいと思っております。 毎朝のストレッチで身体を整え、休日は愛車の電動アシストで「ちゃりサンポ」に出かけるのが楽しみです。 行き先を決めずに走り出し、季節の風を感じながら、趣味のバードウォッチングを楽しむ。また、最近は自炊も始め(今更かい?!)、少しずつ料理のレパートリーを増やそうと思っています。そんな時間が、仕事への新たな活力にもなっているんです。

もし、仕事以外でも「野鳥」「健康」「料理」なんてキーワードにピンときたら、ぜひ雑談でもしましょう。 みなさんとお話しできることを楽しみにしています。

こんな藤野ですが、今後ともどうかよろしくお願いします。

ありがとうございました。

(藤野裕司)

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