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NI+C EDIシリーズ<第23弾> “‐流通BMS 基本形Ver2.1の更新点についてご紹介‐”

投稿者:向出

 

こんにちは。

日本情報通信 EDI事業本部 システム開発部の向出です。
弊社のEDIサービス製品であるEDIPACKの開発を担当しております。

2023年10月1日から「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」が導入されることもあり、
お客様より流通BMS「基本形Ver2.1」のメッセージを使用したいというご要望をいただくことが増えてきました。

そこで今回は、2009年10月に公開以降、長らく主流として使用されていた流通BMS「基本形Ver1.3」と、2018年11月公開の消費税軽減税率(区分記載請求書等保存方式)対応版である「基本形Ver2.0」から、さらに「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」対応版として更新された最新版「基本形Ver2.1」とを比較して、主な更新点をご紹介したいと思います。

 

目次
1.流通BMSとは
2.基本形Ver1.3からの更新点について
3.請求鑑メッセージについて
4.返品/返品受領メッセージについて
5.支払メッセージについて
6.終わりに

 

1.流通BMSとは

流通BMSとは、流通業界(メーカー・卸・小売の3者)で統一的に使用できるEDIの標準仕様です。
(BMSはBusiness Message Standardsの略となります)

使用されるメッセージとして発注、出荷、受領、返品、請求、支払などがあり、データの形式はXML形式となります。

通信プロトコルとしてはJX手順、ebXML MS、EDIINT AS2があり、インターネット通信でデータを送受信します。

 

2.基本形Ver1.3からの更新点について

流通システム標準普及推進協議会より提供されているスキーマ定義、運用ガイドラインをもとにVer1.3からの更新点を簡単にまとめました。

「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」の以下要件に対応するために、メッセージの追加・更新が行われています。

≪基本形Ver1.3からの更新点≫
・適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び「登録番号」の記載が必要
・「税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)、及び適用税率」と「税率ごとに区分した消費税額等」の記載が必要
・「売上げに係る対価の返還等を行う年月日及びその売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」の記載が必要

≪Ver2.0の更新≫
・請求鑑メッセージの新規追加

≪Ver2.1の更新≫
・返品メッセージの更新(項目追加:譲渡年月1,譲渡年月2)
・返品受領メッセージの更新(項目追加:譲渡年月1,譲渡年月2)
・請求鑑メッセージの更新(項目変更:適格請求書発行事業者登録番号⇒適格請求書発行事業者登録番号1、適格請求書発行事業者登録番号2)(項目追加:鑑請求内容(備考))
・支払メッセージの項目セットの方法を提示(メッセージの項目追加・変更はない)

 

3.請求鑑メッセージについて

「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」施行に伴い、請求書単位に「税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)、及び適用税率」と「税率ごとに区分した消費税額等」の記載が必要になりますが、請求メッセージでは請求書単位に複数の税率ごとの合計金額を扱うことが出来ません。

その対応として新規追加されたのが「請求鑑メッセージ」です。

「請求鑑メッセージ」では請求書の税率ごとの合計金額とそれぞれの消費税額を表現できるようになっています。

以下は、メッセージ情報部分の項目一覧です。(赤字はVer2.0からVer2.1の変更点です)

 

4.返品/返品受領メッセージについて

「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」施行に伴い、「売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」の記載が必要になります。

その対応として返品メッセージ及び返品受領メッセージに、返品される商品の「譲渡日(元納品日)」を格納する「譲渡年月1」「譲渡年月2」が追加されました。

「譲渡日(元納品日)」に格納する年月日ついては、「適格請求書を交付した売上げに係るものについては、課税期間の範囲で一定の期間の記載で差し支えない」という内容に基づき、月単位や「○月~△月分」といった記載も認められているため、格納項目名は「譲渡年月1」「譲渡年月2」とされています。

そのため「譲渡年月1」「譲渡年月2」はYYYYMMの6桁です。年月日(YYYYMMDDの8桁)ではありません。

 

5.支払メッセージについて

「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」施行に伴い、「税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)、及び適用税率」と「税率ごとに区分した消費税額等」の記載が必要という要件に対し、「支払内容(個別)」「支払内容(個別名称)」を自社独自コード(※)に個別設定することにより、8%(軽減税率)支払額合計、10%(標準税率)支払額合計をデータ上で表現できるとされています。

※8%(軽減税率)仕入明細(税抜)、10%(標準税率)仕入明細(税抜)といった内容のコードを設定し、支払金額を設定する

また、適格請求書発行事業者の「登録番号」の記載が必要という要件に対しては、「支払内容」「支払内容(個別)」「支払内容(個別名称)」で設定することで、「支払内容(個別名称カナ)」にデータで表現できるとされています。下記がその設定方法です。

参考)
流通システム標準普及推進協議会のHP(https://www.gs1jp.org/ryutsu-bms/)及び、
流通システム標準普及推進協議会より提供されている各種資料(運用ガイドライン(基本編) 第2.1版、メッセージ別項目一覧(基本形Ver_2.1)、Ver2.1 リリース一覧)

※「流通ビジネスメッセージ標準」ならびに「流通BMS」は一般財団法人流通システム開発センターの登録商標です。
国税庁 適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_tebiki.htm

 

6.終わりに

今回は流通BMS 基本形メッセージのVer1.3からVer2.1の更新点についてご紹介いたしました。

NI+Cでは多種多様なファイル形式の相互変換を実現する汎用メッセージ変換ツール Translatorで使用する流通BMSの各種メッセージの汎用定義を無償で提供しております。

Translatorについてはこちら(https://www.niandc.co.jp/sol/edipack/)をご確認ください。

それではまた、次回のEDI事業本部の記事をご期待ください。

EDIに関するご相談は
日本情報通信にお任せください。

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