NI+C EDIシリーズ<第6弾>
これなくしてEDIは始まらない?!
~EDIの要となる伝送のフォーマットに迫る~
投稿者:畠中
こんにちは。
日本情報通信 バリューオペレーション本部 EDIサービス部の畠中です。
今回は、EDIのデータ交換において「要」であるといっても良い、伝送フォーマットについて取り上げたいと思います。また、伝送フォーマットはそれぞれの企業様で使われている種類が異なりますので、代表的なものとして自動車業界で使用されている「EDIFACT」 を取り上げたいと思います。
目次
1 EDIとはなにか?伝送フォーマットとの関係性
2 伝送フォーマットについて
3 伝送フォーマットの1つ「EDIFACT」
4 自動車業界における「EDIFACT」
5 おわりに
1 EDIとはなにか?伝送フォーマットとの関係性
EDIとはElectronic Data Interchange(電子データ交換)の略です。
従来、商取引や、これら取引に伴う情報の交換手続きについて、紙を用いて行っていましたが、紙の特性上、大量のデータ処理が難しいことや、書類の送付、受領といった作業が逐一発生するためタイムリーに処理しづらい課題がありました。つまり取引の実施に多くの時間を必要としていました。
しかし、EDIの実現に伴い、紙で行っていた情報交換の手続きをコンピューターや通信回線で代替・活用することにより、取引量や速度を大きく向上させました。まさにEDIはビジネススピードの向上に貢献したと言えます。
次に、EDIで取引や手続きを行う場合に欠かせないルールや手順について2点挙げさせていただきます。
① データ項目:交換 したデータ内容を示すもの(品名、取引名称等・・・)
② 伝送フォーマット:データを構成するための文法を表します。次項に記載いたします。
主に、これらの2要素を合わせて「ビジネスプロトコル」と呼びデータを交換する上での必要なルールとなります。伝送フォーマットはこのルールを構成する1つと言えます。次項では伝送フォーマットについて記載をします。
2 伝送フォーマットについて

(左図)伝送フォーマットが統一されていない場合 (右図)統一された場合
伝送フォーマットとは、「複数の取引先とのデータ交換を円滑にするために定める共通のメッセージ形式」となります。もし、複数の取引先とデータの交換を行う際に、それぞれの取引先が異なるメッセージ形式を使用していた場合、そのメッセージ形式の分だけデータ交換に対応した処理が必要となってしまいます。
例えば、海外の方と仕事や、会話をするためには同じ言語を用いて会話する必要があります。ある国際的なプロジェクトで様々な国籍の方と打合せをするとします。その打ち合わせを進めていく中で日本語のみでコミュニケーションを取るのは難しく、各国の方と意思疎通をするためには、それぞれが理解できる言語を用いる必要性があります。(※相手が日本語を話せれば別ですが・・・)その国籍の方に応じて言語を話すことができれば良いですが、これが10か国、20か国と増えれば増えるほど言語学習が増えるので大変になってしまいます。
そこで、もし共通語である定義で用いれば、多数の言語を覚える必要がなくなりコミュニケーションが円滑に進むようになります。
取引の中でも、このように相互にの理解できるメッセージでやり取りをする必要があります。まさに、伝送フォーマットとは、コミュニケーション摩擦を減らすための共通語に近いイメージであり、業界ごとに標準的な形式を定めて業務の効率化をしています。
伝送フォーマットの例
・EDIFACT:次項で記載いたします。
・CII :日本情報処理開発協会の産業情報化推進センターによって定められた国内でのEDIの標準規格
・流通BMS:流通業界向けに旧JCA手順というものに替わり、定められたフォーマット
…など様々な種類が存在しています。
今回は、主に自動車業界などで使用されている、「EDIFACT」について紹介したいと思います。
3 伝送フォーマットの1つ「EDIFACT」
「EDIFACT」とは、国連欧州経済委員会で開発をされた国際的なEDI標準で、今回挙げた自動車業界だけでなく、実は世界的に幅広い業界でも使用されています。また、なぜ「EDIFACT」という伝送フォーマットが開発されたのか?理由は以下の2点と考察します。
・国際間における貿易の手続きを簡単にする
・物流の合理化を進める
「EDIFACT」のデータは、機械的処理だけでなく、人がデータを見た場合もなるべく理解しやすいよう、データ項目ごとに2文字~3文字で項目の略称を記載しています。ここで一つ、固定長データと「EDIFACT」データを比較して見てみましょう。
固定長の場合
固定長とは、フォーマットのデータの長さをあらかじめ決め、その中に埋めていくものです。そのため、企業間でどの箇所にどういった情報を挿入されているかを、細部まで把握する必要があります。
「EDIFACT」の場合
記載しているデータと項目の内容は少々専門的になってしまうので、初めて見た方には「暗号みたいなのが増えてしまって、結局よくわからない」と感じてしまうのですが、一度EDIFACTの構造を理解してしまえば固定長よりもデータが見やすくなります。「EDIFACT」では、データ間に修飾子を挟むことで、データが何の項目を表しているかが、人の目で見ても分かりやすいよう、文法を統一化することで固定長に比べて理解しやすい構造となっています。
4 自動車業界における「EDIFACT」
日本の自動車業界で主に使用している標準伝送フォーマットは「EDIFACT」です。ただし、各社それぞれ標準フォーマットに対し、若干のオリジナリティを持たしているのが特徴です。
このように、「EDIFACT」を基本とする伝送フォーマットを用いることで取引や手続きを実現しています。しかし、ここで疑問が一つ浮かび上がります。
「自動車業界内での取引は「EDIFACT」で完結できるけれども、自社システムに取り込む際や他の業界と取引する時に正常に情報を受発信できないのでは?」
その疑問を解決するために登場する技術が、「データの変換」となります。この「データの変換」を行うことで自社システムへ取り込むこと、業界を超えてデータの授受をすることが可能となります。
「データの変換」の詳細については、また機会がありましたらお届けしたいと思います!
5 おわりに
今回、伝送フォーマットを中心にお届けしましたがいかがだったでしょうか。商取引を行うには業界ごとに様々な種類のフォーマットがあることが理解いただけたと思います。
EDIに関するご相談がございましたら、以下からお願いいたします。
それではまた次回EDIサービス部の記事をご期待ください。