【NIC x Ops(にこぷす)通信】(Terraform編)自律型AI「IBM Bob」を使いこなす!基本操作からCLAUDE.mdでのプロジェクト規定、MCP連携でのリアルタイムドキュメント参照まで完全解説
投稿者:清水
目次
- はじめに:Terraform × IBM Bobが拓く、次世代のインフラ開発
- IBM Bobの基本と、簡単5分導入ステップ
- 迷わない!3つの作業モード(plan / ask / agent)
- 実戦で役立つ!Bob IDEの画面構成と便利スラッシュコマンド
- 成果を最大化する!「plan ➔ agent」黄金の開発ワークフロー
- プロジェクト規定をAIに叩き込む!「CLAUDE.md」の作成と活用ガイド
- 最新情報とつなぐ!MCP(Model Context Protocol)サーバー連携ガイド
- ミニマムに理解する!Bobcoins(ボブコイン)の概要と節約術
- まとめと次回予告
皆さま、こんにちは!
このテックブログでは、IT運用に関する内容を連載、「にこぷす通信」をお届けしています。
「NIC x Ops(にこぷす)」とは?
『NIC x Ops(にこぷす)』とは、
私たちの会社であるNTTインテグレーション(NI+C)の運用ノウハウと、
IBMさんの強力なソリューションを
Collaboration(コラボレーション)させた、IT運用高度化シリーズ(Ops)のニックネームなんです。
現代のIT運用の現場は、システムの複雑化や人手不足など、課題が山積みです。そんな現場を少しでも楽に、そしてエンジニアの皆さんが笑顔で「攻めの運用」ができるように支えたい。そんな想いがこの「にこぷす」には込められています。
「にこぷす」には、Instana(可観測性)のほかにも、Turbonomic(リソース最適化)やTerraform(インフラ自動化)など、IT運用を劇的に変える製品がたくさんあります。
これからもこの通信を通して、「IT用語は難しいけれど、中身を知ればこんなに便利で面白いんだ!」というテクニカルな内容をご紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。
1.はじめに:Terraform × IBM Bobが拓く、次世代のインフラ開発
Infrastructure as Code(IaC)のデファクトである Terraform ですが、ゼロから構築する際には以下のような課題が生じます。
- 初期設計の負担: ディレクトリ構成や CLAUDE.md などガバナンス設計に時間がかかる。
- 手動検証の漏れ: fmt や tflint、terraform-docs の実行忘れ・手間。
- 最新仕様の追従困難: クラウド事業者の頻繁なアップデートによるエラー。
- tfstate や destroy の誤操作リスク: 自律実行時のリソース破壊への不安
自律型AIエージェント 「IBM Bob」 は、単なるコード生成にとどまらず、開発ライフサイクル全体を支援することで「人間が承認・レビューするだけの自律型IaC」を実現します。
🚀 5つのフェーズで見る Terraform × IBM Bob の未来
設計・スキャフォールド
要件から最適な構成案とガバナンスルール(CLAUDE.md)を自動生成
コーディング
モジュール雛形生成、for_eachキー・型設計のアドバイス
検証・レビュー
plan結果の自然言語解説、fmt / tflint の全自動実行
デプロイ・運用
importコマンド自動生成、安全なstate操作手順の提示
リファクタリング
構成のモジュール分割提案、READMEの自動同期更新
本シリーズ(全3回)では、この強力な連携による開発効率化を順を追って解説します。
- 第1回(本記事):導入編 — 自律型AI「IBM Bob」を使いこなす!基本操作からCLAUDE.mdでのプロジェクト規定、MCP連携でのリアルタイムドキュメント参照まで完全解説
‣ IBM Bobの基本と、Terraform連携を可能にするコア機能の理解 - 第2回:環境構築編 — 環境構築スクリプト(setup.ps1)と pre-commit × AI自律化で実現するコード品質管理ガイド
‣ ワンコマンド環境構築スクリプト(setup.ps1)と pre-commit × AI自律化による品質管理 - 第3回:実践検証編 — 【Terraform × GCP】YAMLドリブンな動的リソース作成!IBM Bobと進めるAI自律デプロイ実践検証
‣ YAMLを活用した動的複数リソース作成の自動化検証
2.IBM Bobの基本と、簡単5分導入ステップ
IBM Bobのインストールは非常にシンプルで、たった3つのステップで完了します。
無料トライアル登録申請
「IBM Bob 無料トライアルページ」へアクセスし、IBMidで登録申請を行います。案内メールが届いたら準備完了です。
アプリのダウンロード
「bob.ibm.com/download」より、お使いのOS(Windows / macOS)用インストーラーを入手します。
インストール&起動
インストーラーを実行してログインし、メニューの [File] > [Open Folder…] から作業ディレクトリを指定して開発を開始します。
3.迷わない!3つの作業モード(plan / ask / agent)
IBM BobのUI右上にある3つのタブで、目的に合わせたモードの切替えを行います。
plan (計画)
要件定義や設計。タスクの細分化やロードマップを作成するモード (ファイル変更なし)。
ask (質問)
コードの解説やエラーの原因分析。安全な一問一答・相談用。
agent (エージェント)
ファイル作成・コード修正・コマンド実行・テストまでを全自動で行う自律実装モード。
4.実戦で役立つ!Bob IDEの画面構成と便利スラッシュコマンド
Bobで使えるスラッシュコマンドの一覧をご紹介します。チャット入力欄に直接入力するだけで素早く呼び出せます。
| 📋タスク管理 | |
| コマンド | 説明 |
|---|---|
| `/todo` | TODOリストの表示・更新(Agentモード) |
| 🔄モード切替 | |
| コマンド | 説明 |
|---|---|
| `/agent` | コードの実装・修正・ファイル操作が可能なAgentモードへ切替 |
| `/plan` | 設計・アーキテクチャ・仕様策定に特化したPlanモードへ切替 |
| `/ask` | 質問・説明・コード分析に特化したAskモードへ切替 |
| 🛠️よく使うパターン | |
| コマンド | 説明 |
|---|---|
| `/new` | 新しい会話を開始(コンテキストをリセット) |
| `/compact` | コンテキストを圧縮して長い会話を継続 |
- `/agent` → ファイルの作成・編集、コマンド実行、テスト実行などの実作業が可能
- `/plan` → コードは書かず、仕様・設計・ブレインストーミングに集中
- `/ask` → 説明・分析・概念理解に最適(コード変更なし)
スラッシュコマンドはチャット入力欄に直接入力するだけで使えます。何か特定の作業を始めたい場合は、適切なモードに切り替えて進めましょう!
5.成果を最大化する!「plan ➔ agent」黄金の開発ワークフロー
意図しないファイルの乱発や迷走を防ぐための鉄則フローです。
1. 【planモード】でタスク分解: 「〇〇機能を作りたい」と入力し、AIが提示するステップ(ロードマップ)を人間が確認・調整して合意。
2. 【agentモード】で自律実装: モードを切り替え、「計画のステップ1を進めて」と依頼。自動テストと自己修正をAIに任せます。
6.プロジェクト規定をAIに叩き込む!「CLAUDE.md」の作成と活用ガイド
AIエージェントにプロジェクトの文脈やルールを理解させる際、開発現場でよく用いられる指示ファイルとして AGENTS.md や CLAUDE.md があります
- AGENTS.md : OpenAI Codex などの一部AIエージェントで慣習的に用いられる指示ファイルですが、IBM Bob は AGENTS.md を自動参照・自動読み込みしません。
- CLAUDE.md : もともと Claude Code 等で広く使われているプロジェクト指示ファイル形式です。IBM Bob はこの CLAUDE.md 形式の自動読み込みに対応しています。
※ CLAUDE.md は Bob 専用の独自ファイルというわけではありませんが、Bob ではセッション開始時にリポジトリ直下の CLAUDE.md を自動検知して読み込む仕様になっています。そのため、プロジェクトの共通規定を記載する際は CLAUDE.md として作成・配置する必要があります。
毎回プロンプトで「ビルドコマンドは〇〇で、命名ルールはcamelCaseにして」と説明する手間がゼロになり、AIの脱線や勝手なアーキテクチャ変更を防ぐことができます。
📄 CLAUDE.md の作成例
プロジェクトルートに CLAUDE.md を作成し、以下のような規定を記載します。
# CLAUDE.md — Terraform プロジェクト共通規定
## 1. プロジェクト概要
- 用途: [対象システム / インフラ / アプリケーション] の管理および開発
## 2. ファイル編集ルール
- `.tf` ファイルはアーキテクチャ変更時のみ編集する
- `.tfstate` や `.terraform/` は絶対にコミット・編集しない
## 3. シークレット管理
- パスワードやAPIキーをコードにハードコードしない(`sensitive = true` を付与)
## 4. Plan / Apply 規定
- `terraform apply` 前に必ず `terraform plan` を確認する
- `destroy` を含む変更は人間に警告・確認を求める
## 5. Bobによるコード品質の自動実行規定
.tf ファイルや variables.tf を変更した場合、Bobは完了前に以下を【必ず自動実行】すること:
1. `terraform fmt -recursive` でコード整形
2. `variables.tf` 変更時は `terraform-docs` で `README.md` の入力/出力表を更新
3. `tflint` による静的解析の実行
ビルドエラーが発生した際の解消コマンドや「絶対に触ってはいけないレガシーフォルダ」を明記しておくことで、Agentモードが自律実行する際の事故率を劇的に下げることができます!
これで、Bobがセッション開始時に自動的にプロジェクトの文脈や制約事項を理解した状態で作業を開始してくれます。
7.最新情報とつなぐ!MCP(Model Context Protocol)サーバー連携ガイド
MCP(Model Context Protocol)を設定することで、AIの学習データに含まれていない最新のクラウド仕様(Terraform/GCP等)やGitHub情報をBobにリアルタイム参照させることができます。
| MCP なし | MCP あり |
|---|---|
| Bobの学習データの範囲内でのみ回答 | リアルタイムで最新ドキュメントや外部APIを参照 |
| 古いライブラリやパラメータを出力するリスクあり | 常に公式の最新仕様を取得して正確に回答 |
① 前提条件:Node.js のインストール
MCPサーバーの多くは Node.js (npx) で動作します。事前に準備しておきましょう。
1. nodejs.org/ja から LTS版 をダウンロードしてインストール。
2. ターミナルを再起動し、バージョン確認を行います。
node --version # 例: v22.x.x
npm --version # 例: 10.x.x
npx --version # 例: 10.x.x
② 設定ファイルの場所と構造
MCPの設定はJSONファイルで管理します。ワークスペース個別、または全体共通で配置します。
| スコープ | ファイルパス | 適用範囲 |
|---|---|---|
| ワークスペース(推奨) | .bob/mcp.json | 現在のプロジェクトのみ適用 |
| グローバル | ~/.bob/settings/mcp.json | すべてのワークスペース共通 |
③ Context7 MCP(公式ドキュメントリアルタイム参照)
Terraform、GCP、各種言語ライブラリの最新公式仕様を参照させる超おすすめMCPです(パッケージ名: @upstash/context7-mcp / 認証不要)。
【設定方法】.bob/mcp.json に以下を記述:
{
"mcpServers": {
"context7": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@upstash/context7-mcp"]
}
}
}
保存後、Ctrl + Shift + P (MacはCmd + Shift + P) でコマンドパレットを開き、Developer: Reload Window を実行します。再読み込み後、Bobパネルの ⚙️ (歯車アイコン) で● Connected (緑色) になれば準備完了です!
使い方のコツ: プロンプトに use context7 と添えて、「use context7 で google_compute_instance の最新パラメータを調べてコードを作成して」のように指示すると、最新ドキュメントを参照しながらAgentが自律実装します。
④ GitHub MCP(リポジトリの自律操作)
Bobから直接GitHubのPR一覧確認やIssue検索、コード差分確認を行えるようにするサーバーです(パッケージ名: @modelcontextprotocol/server-github)。
【設定サンプル(両方組み込み済の完成形)】
{
"mcpServers": {
"context7": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@upstash/context7-mcp"]
},
"github": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-github"],
"env": {
"GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN": ""
}
}
}
}
Personal Access Token (PAT) を記述した .bob/mcp.json は、必ず .gitignore に追加してコミット対象外に指定してください。
⑤ よくあるトラブルと対処法
Q. Connected(緑色)にならない / npxが見つからない
Node.jsインストール後にターミナルやVS Codeを完全に再起動してください。また、ワークスペースフォルダを開いていないとMCPは起動しません。
Q. PowerShellで script execution エラーが発生する
PowerShellを管理者実行し Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope CurrentUser を実行してスクリプト許可を設定してください。
8.ミニマムに理解する!Bobcoins(ボブコイン)の概要と節約術
Bobcoinsは、BobのAI利用量(トークン消費)をわかりやすく標準化した課金単位です(1 Bobcoin = 0.50 USD)。
※上限を超えて使い続けたい場合は、管理画面から超過(Overage: 0.50 USD/コイン)をオンに設定できます。
プロジェクト全体ではなく「src/main.pyのみ修正して」とピンポイント指定。
話題が変わる際は /clear で文脈をリセットし重複消費を防止。
Bobパネル右上のゲージアイコンで現在のコイン残数をチェック。
9.まとめと次回予告
今回は第1弾として、Terraform × IBM Bob がもたらす開発の未来像、基本操作、そして「CLAUDE.md」や「MCP」による制御・連携の仕組みを解説しました。
🚀 次回予告:環境構築編 — 第2回「環境構築スクリプト(setup.ps1)と pre-commit × AI自律化で実現するコード品質管理ガイド」
次回は、開発メンバー全員の環境をワンコマンドで揃える PowerShell自動構築スクリプト (setup.ps1) と、コミット前の誤操作を防ぐ pre-commitフック、そしてAI自律実行を組み合わせた二重の品質チェック機構の構築手順をお届けします。
🔮 第3回予告: 実践検証編 — 【Terraform × GCP】YAMLドリブンな動的リソース作成!IBM Bobと進めるAI自律デプロイ実践検証
さらに第3回では、整えた環境上で 「YAMLファイルを活用した動的複数リソース作成」 の自動化・自律化を実際に検証していきます。ぜひ次回もお楽しみに!
「にこぷす通信」について
「NIC × Ops(にこぷす)通信」は、隔週で皆さまに情報をお届けします。
このシリーズでは、Instana(可観測性)をはじめ、Turbonomic(リソース最適化)やTerraform(インフラ自動化)など、IT運用を劇的に変える製品をピックアップしていきます。
これからも最新の技術検証をチームで継続し、皆さまの現場ですぐに役立つ「有益な知見」を全力で共有していきます。 次回の連載もお楽しみに!